見出し画像

生命の木/教皇のカード


前回、悪魔のカードについてお話しました。

今回はその悪魔と対になる教皇のカードのお話。

教皇は聖職者の絵のカードです。(その中でもローマ協会の最高位を示していると言われています)当時の時代感から見て、神の教えを正しく伝えるだけでなく、政治体制も表しているカードです。

さて、教皇の教えの中にいることで、皆は共通の認識を得られて保護されますが、逆にルールから反する者は異端者扱いされてしまいます。


子供の頃にこんな経験ありませんでしたか?
小学生、放課後に外で友達と遊んでいました。17時の鐘が鳴ります。
17時は門限、お家に帰らなくてはいけないけど友達はもう少し遊ぼうよ!と誘います。
そんな時に『お母さんに怒られるからダメ!』と断った経験、または断られた経験はありますか?

この『お母さんに怒られる』というのがまさしく教皇的な思想なんです。

お母さんの言うことを守る。
子供にとってお母さんというのはとても大きな存在。
小さな子供の頃、親が自分の世界にとってのルールだった。ダメだと言われたから!と信じる力なんです。

逆を言えば教皇のルールに従う者は守られます。
みんな平等に愛される正義の世界。
みんなで同じものを信じる安心の世界。

生命の木で、教皇のカードはヴァウというパスに対応しています。ヘブライ語で『釘』という意味です。
神の代理人、地上と神を繋ぐ役割。私たちのいる地上と神のエネルギーを釘で打ち付けることで形を留める。つまり固定化させていく。

組織化された宗教体制で起こることはなにか?
それは強い欲望の抑制、異端者への偏見、権力政治です。すごく田舎の閉鎖的な村、みたいなかんじでしょうか。村のルールが正しい。他所から移住してきた奴らとは分かり合えない。村の有力者の言うことが絶対。

ここからがとても恐ろしいんです。
教皇のカードの世界観が目指しているものは神(崇高な教え)なので、教えを信じる人たちは堕落はしていません。そして社会的秩序をもらたします。正義のための楽園なんです。

誰のココロの中にも教皇はいます。

そして教皇が強ければ強いほど、自分の中の悪魔を否定します。悪魔も必ず私たちの中にいるんですが、その悪魔という強い本能的な欲求を否定すればするほど、実は欲望に取り憑かれている証拠だといえます。


私たちって『正しいと言われていること』を正当化して、他人を平気で差別したり自分たちと違う考えの人に偏見を持ったりするもんです。
ある意味それは自然なのですが社会的な『正義』を振りかざすことの残酷さを知らないといけません。


これは実際にあったニュースの話です。

歩きスマホをする人にわざとぶつかって『歩きスマホしてんじゃねぇよ』と怒鳴る人。
混んでいる電車内でリュックを背負ったままの人がいました。そこへ、背負っているリュックに上から体重をかけて『マナー守れよ』と転ばせようとする人。

また、公共マナーの悪い人を動画で撮影したり、その人の後を付けて住んでいる地域など個人情報をバラまいたり、SNSで晒し者にする人。

これは教皇のカードの恐ろしい部分が顕著に現れていると思います。
こういうことをする人はだいたい、自分の中の『正しい教え』に従っていて、やっていることは正義感ゆえだと思っている。

だけど実際はいわゆる異端者殺しとか、教皇の教えに従わない者を処刑をすることで、優越感を得たいという、教皇から悪魔が滲み出ている状態だと私は感じています。

歴史的に見ても、相手と自分が信じているものが異なるという理由で戦争や殺人がたくさんあったじゃないですか。
『善いこと』への信仰の強さがいかに恐ろしいか、人間の信じる力の強さと、その力が歪んでいくさまを見ているようです。(※宗教の否定ではありません)

さっきの歩きスマホの例で言っても、自分の中の教皇のイヤな部分を強くしてしまっているんですよね。
善い教えというのは自分を導いてくれるキレイな道です。みんな大好きです。道徳。世間的な美しさの基準、良いことの基準、悪いことの基準。

本当の教皇の力は自分の良心です。
人にも教えたくなる道徳です。
ピノキオのジミニー・クリケットです。

アイツ、見ててムカつくな!とか、誰かがみんなと同じルールを守らないことへストレスを感じたら、ふと自分の胸に手を当てて『良心』を感じてみてほしいんです。私はこの人に偏見を持ってないかな?そもそも正しいかどうかは大切かな?それって何か私に関わる問題かな?って。
相手を攻撃しちゃった時に、このやり方って人にもオススメ出来ることなのかなって。

ココロからの善きおこない。道徳心=教皇なんです。
差別や偏見で使うのは辞めたいところ。



いまの社会で道徳心はどこへ?
カメラを人へ向ける社会。善きココロはどこへ?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?