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インドネシアで高齢化を考える

ミタ先生とメッセージのやり取り。アートジョグ2024の会場である国立博物館の東側のエリアを調査対象地にして、住民による緑化や屋外への椅子の設置の状況を調査されており、高齢者の屋外の居住環境に関心があるとのこと。

日本の高齢化率は現在30%程度であるのに対して、インドネシアは10%に満たず、高齢化の度合いはまったく異なるが、将来のことを考えると、高齢者の毎日の生活のQOLを高めるためにも、まちなかの居場所やコミュニティの場がどのように形成されているのかを明らかにする研究は重要だと言える。8月に学生たちと行ったカウマンの調査について、情報提供しつつ、互いに共通する認識を確認した。カウマンで我々が最初に着目したのは、それぞれの住居の前面に配置されているブッbukの存在である。住居前面に設けられている30cm程度の段差であるが、ここが周囲の人々が腰掛け語り合う場として重要な役割を担っているのではないかというのが最初の気づきである。実際調べてみると、居場所として使われているブッは必ずしも多くなく、多くは植木鉢が置かれる場所として活用されていたりする。いずれにしても、ブッとテラスとセットバックスペースとが各住居に存在し、そこが植栽のための空間や人々の居場所として活用されることで、住居がまちに開かれ、まち全体がコミュニティの場となることに貢献していると言え、彼女の視点と近いものを感じたのであった。

彼女とのやり取りの中で、インドネシアにおいて高齢者のための外部空間のあり方を研究することの意義が大きいことには賛同したが、日本の高齢化率が30%なのに対して、インドネシアはまだ10%である。さほど高齢化問題は重大な問題とはなっていないと思われる。ただ先を見越して、高齢化の先進国である日本で、学生たちが学ぶ意義は大きいのではないかと思う。福祉施設や在宅介護のための住宅改造などハードの問題もさることながら、健康寿命を延ばすためのまちやコミュニティの役割、福祉を支えるサービスや制度の話など、学ぶべきことは多いであろう。

関連して、日本のまちづくりの先進性についてここ数日考えている。それはまた明日。240905

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