バパクミスのインドネシア日記

2024年9月から1年間インドネシアに滞在。ジョグジャで暮らしつつ、あれこれ考えます。建築・都市計画・まちづくりが専門。UGMに籍を置いています。

バパクミスのインドネシア日記

2024年9月から1年間インドネシアに滞在。ジョグジャで暮らしつつ、あれこれ考えます。建築・都市計画・まちづくりが専門。UGMに籍を置いています。

マガジン

  • ヘリテージを通してみるインドネシア

    インドネシアの様々な文化遺産(ヘリテージ)との出会いを通して、変わるものと変わらないものについて考える

  • カンポンの生活世界

    インドネシアの都市にはカンポンと呼ばれる低層住宅の続く生活世界が広がっている。ジョグジャのカンポンで生活しながら、その日々の記録からカンポンの生活世界を描き出したい。

  • インドネシアの食文化を考える

    インドネシアでの生活の中で日々口にする食を通して、インドネシアを考えます。

  • 原点としてのロンボク島バヤン村

    30年以上前から交流が続くロンボク島バヤン村。今回のインドネシア滞在中に何度訪れることができるか。

最近の記事

建築家エコ・プラウォト氏によるジャワ島中部地震の震災復興コアハウス

ジョグジャカルタのギビカンngibikan村の災害復興コアハウス。うちの家主のアグンさんの論文を読んでみた。 これをコアハウスと言っていいのか、わからないが、論文中ではコアハウスと位置づけられているので、その文脈で紹介してみたい。 プロジェクトの概要 2006年5月27日に発生したジャワ島中部地震の復興プロジェクトである。インドネシアのメディア「コンパス」の人道支援基金によって実現したものである。 地震発生直後からプロジェクトが立ち上がり、4ヶ月で集落内の被災住居65

    • ジョグジャカルタで見られるコア・ハウス

      一昨日、ズームで打ち合わせをしていて、インドネシアのコアハウスについての情報が欲しいとの話が出た。調べてみると言いつつ放置していたので、いい機会と捉えて情報収集してみた。 コアハウスとは、生活する上で最低限必要なスペースを用意した上で提供される住居である。不法占拠地区などを対象に居住環境改善を行う際に採用される手法として知られている。 不法占拠地区やいわゆるスラム地区の居住者に対して、他の地区に土地を確保し、土地と最低限の居住スペースを提供するものである。水回り関連の設備

      • イワン・ファルスの怒りといま

        今朝、6時に市場に行って買い物をしていると、ラジオからイワン・ファルスのボンカールが流れてきた。 イワン・ファルス ボンカールは私が初めてインドネシアに訪れた頃に流行っていた曲である。イワン・ファルスの歌であるが、正確にはイワン・ファルスらが参加して1989年に結成されたバンドSWAMIの曲である。 イワン・ファルスは1961年生まれ。「流し」として生活していたが1980年前後から知られるようになり、1989年のボンカールで爆発的にヒットする。社会の抑圧を歌うミュージシ

        • スラカルタの都市遺産を垣間見る日帰り旅行

          今日は日帰りでスラカルタ旅行。まともに計画を立てることもなく、勢いで行ってきた。KAIで片道1時間8000ルピア(80円)の旅である。 7時に家を出て、19時に帰ってきた。チャンディ・セトなどの寺院群に行くことも検討したが、遠く離れているので今回は諦めて、カウマン地区、スラカルタ王宮、グデ市場、ラウェヤン地区の4箇所に行ってきた。 時間的にはもう少し回れたと思うが、昼過ぎから大雨が降って、市場で足止めされたので、時間をロスしてしまった。ただ、暑かったり移動の要領を得なかっ

        マガジン

        • ヘリテージを通してみるインドネシア
          29本
        • カンポンの生活世界
          34本
        • インドネシアの食文化を考える
          19本
        • 原点としてのロンボク島バヤン村
          18本

        記事

          W杯アジア最終予選インドネシアー日本戦をTVで見るにいたるまで

          11月15日はジャカルタでサッカーの試合があるとのことで、ジョグジャカルタのまちは湧きかえっていた。 試合があることを知ったのは11月3日のことである。カンポン・カウマンを学生たちと歩いていたら、向こうからムハマディア大学の学長が歩いてきた。あ、久しぶりですみたいな感じで、学生たちを交えつつ、立ち話をひとしきりしたが、その時の話題の一つがジャカルタのサッカーであった。 今度の金曜日にサッカーの試合があるけど、見にいくのか?と冗談まじりに聞かれたのである。インドネシアと日本

          W杯アジア最終予選インドネシアー日本戦をTVで見るにいたるまで

          インターネットというより、スマホが村を変えてしまった

          インターネットが普及しはじめて、私がプロバイダーと契約したのが、1996年の初めだっただろうか。携帯電話をはじめて持ったのも、そのころからだったか。その後、スマホの普及まで、15年を要したようである。 インドネシアとは、インターネット以前からのつきあいであるが、その頃と比べると今は隔世の感がある。すでにあの頃のようなつきあい方はできないなと思いながらも、まだあの時の感覚を忘れられない自分がいる。 今回は、かつての私のインドネシアとのつきあい方を思い起こしながら、そこから何

          インターネットというより、スマホが村を変えてしまった

          勉強してみたらプランバナン遺跡がとても面白いことに気がついた

          先日、プランバナン遺跡に行ってきた。市内からバスで行くことができる。1時間程度である。プランバナンだけに行くのであれば、バスで往復するのがリーズナブルである。乗り換えが必要であるが、片道3600ルピア(36円)で行くことができる。 ボロブドゥールは、上にあがるのには予約が必要なので、今回はプランバナンにしてみた。過去に何度か行ったことがあるが、今回は滞在時間を少し延ばして、エリア内の他の遺跡にも行ってきた。 相変わらずの不勉強で行ってしまったが、エリア内にあるいくつかの遺

          勉強してみたらプランバナン遺跡がとても面白いことに気がついた

          ガジャマダ大学のデンタル・クリニックで、歯を修復した話

          11月1日 朝6時の飛行機でジョグジャへ向かう。ジョグジャとロンボクとは時差が1時間ある。飛行時間は2時間弱だが、朝6時に出て、6時台にはジョグジャにつく。空港から都心部へは数年前に開通した電車で移動。8時にはジョグジャカルタ駅に着いた。 アグンさんやティティさんのアドバイスではガジャマダ大学(UGM)のデンタルクリニックがいいという。日本語を喋れる先生もいるとのことで、その先生の名前も教えてもらった。 WhatsAppで予約を取ろうと連絡したが、その先生は木曜日のみの勤

          ガジャマダ大学のデンタル・クリニックで、歯を修復した話

          ロンボク島の山奥で歯が折れた話

          10月29日午前中、家のテラスで作業をしていると、Kさんが家の中から出てきて、滑って顔を強打した際に前歯が折れたと、泣きそうな半笑いの顔でいう。ロンボク島のバヤン村での話である。 一大事である。 その気配を察したのか、隣の台所で料理の準備をしていたイブ・ティサが出てきて、何があったのかと聞いてきた。 Kさんは折れた歯を見せ、滑って転けたのだと説明した。イブ・ティサは驚くとともに、かける言葉もないと言った感じで、近づいてきた。隣のミヤティも事態を察して、テラスにやってきた

          ロンボク島の山奥で歯が折れた話

          自分の関わったまちづくりについて、インタビューを受けた

          先日、まちづくりを学ぶ大学生からズーム・インタビューを受けた。私が関わってきたまちづくり活動に関するインタビューである。日本のまちづくりをインドネシアに伝えるためにも、自分の活動を相対化する必要がある。インタビューは、だいぶ思いつきでしゃべっているので、まとまらない話も多かったと思うが、改めてその時のことを思い起こしながら、補足的に勝手に色々付け加えながら、自分の活動について文章にしてみたい。実際にされた質問と異なったり、質問と答えが噛み合ってなかったりするが、まあ、それとそ

          自分の関わったまちづくりについて、インタビューを受けた

          日曜市場サンモールUGMのにぎわい

          サンモールUGMに日本から来た学生たちと行ってきた。前も記事で書いたが、実態がよくわからなかったと思うので、今回は写真での解説をしてみたい。 仮設の店舗が軒を連ねる。車道の一部と歩道が使われる。決められているのかどうかはわからないが、それぞれ一方通行になっている。 手前に見えるのは、餃子、ワンタン、シュウマイの店。車道側には食べ物のテイクアウトの店が多い。歩道には物販の店と、ござを敷いてご飯を食べることのできる店舗が多い。 4本のポールを立てる形式が最も一般的か。机を2

          日曜市場サンモールUGMのにぎわい

          ジョグジャでアルコール販売が禁止

          10月23日にジョグジャで学生2人が酔った若者に刺される事件が発生した。飲酒していたという事実がクローズアップされ、アルコールに対する取り締まりの強化を求めるデモも起きている。 イスラーム関連団体も、アルコールの管理の徹底を望む声明を発表した。飲酒は、犯罪、事故、その他の損失を生み出す有害なものであり、オンライン、オフラインともに、学齢期の子どもを含む誰でもアルコールを購入できる状況にあり、改善を強く要求するというものである。 それに呼応するかたちで、ジョグジャカルタ特別

          ジョグジャでアルコール販売が禁止

          カンポン・カウマンの風景

          今日は8月に行ったカウマン調査の補足調査。エリア内のメインの路地を午前中調査。 カンポンの魅力は、その外部空間にある。道路ぎわの空間が、町並みにいろどりを与える緑のための空間となるとともに、地区の防災のための消火設備設置のために利用されている。住居前面の空間を活用し移動可能な簡易店舗ユニットを設置し、地区の人々のためのワルン(小規模飲食店)が営まれる。 オランダ時代の建築の特徴の一つとして、タイルがある。住居入り口の段差の立ち上がりの部分に特徴的なタイルが使われ、町並みの

          カンポン・カウマンの風景

          ザ・観光村サドゥは儲かってる?

          ロンボク島南部の伝統的集落である、中央ロンボク郡ルンビタン村サドゥ地区を訪問した。90年代に訪れた時は、小高い丘に斜面に沿って住居が建ち並ぶ農村集落であったが、今やロンボク島を代表する観光村の一つである。 詳しい情報は、また論文等を整理して書きたいと思うが、観光村になってから既に4回は訪れただろうか。観光村の醜悪さを理解する上でわかりやすい事例である。 車を駐車場に停めると、ガイドに声をかけられる。それが担当ガイドである。かつては、そのガイドに直接言い値でガイド代を払わさ

          ザ・観光村サドゥは儲かってる?

          コミュニティ・サービスでつながる地域と大学

          10月30日は役場での発表会であった。歩いて5分のところにバヤン村役場Kantor Desa Bayanはある。そこの2階に30人近くが集まっただろうか、アトマジャヤ大学の学生たちの成果発表会が行われた。 彼らは授業の一環でバヤン村に2ヶ月半滞在していた。8月下旬に我々が行った時には彼らはすでにいたし、9月のマウリッドの時も調査に励んでいた。10月も引き続き滞在しながら、伝統的な住居の調査を行っていたという。3年生5人である。もうすでに卒業に必要な単位数はおおかた取っていて

          コミュニティ・サービスでつながる地域と大学

          自分たちのルールで伝統を守る

          今日は朝からグマンタールGumantar村へ。カヤンガン区役所のコミュニティ・サービス担当責任者であるラデン・サウィンギ氏に9月に訪れた時から調査の段取りお願いしていた。カヤンガン区はバヤン区の西隣の区であり、いま泊まっている家のお父さんはカヤンガン区長の秘書官でもある。 お父さんに連れてってもらおうとお願いしたが、今日はタンジュン市に朝から用事があって行かないといけないらしくて、車で連れて行くのは無理だとのことであったが、タンジュンにはバイクで行くので車は使って良いとのこ

          自分たちのルールで伝統を守る