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【読書】たやすみなさい/岡野大嗣

「たやすみなさい」は"たやすく眠れますように"の意で、自分にかけてあげる言葉らしい。
そのタイトルの通り、寝る前に少しずつ少しずつ読み進めていたら、読み終わるまでに半年もかかってしまった。

さて、この本は「私は日常のこんなところが好き」を表している本だ。
俳句(あるいは川柳)という形で、日常のこんなところが素敵だ、エモい、寂しい、楽しいを表現していた。
経験していないけど分かることと、経験したけど分からないことのオンパレードで、とても楽しかった。

読んでまず思ったことは、私が今感じている"日常のこんなところが好き"という感情は誰かに気がついてもらえるのかということだ。
私の心の中にしかないんだから気づかれる訳ないんだけど。

私が素敵だと思っていたことが誰にも知られないままなくなってしまうのは、その対象の価値が知らぬ間に下がってしまうようで勿体無いと思った。
だから、「日常のこんなところが好き」をきちんと書いておこうと思って、書くならやっぱり友達のことかなと思った。

ので、正直本とは何も関係がないのだけれど、
最近会った友達のことを書こうと思う。


ーーー

旅をした時に大学の部活の同期と1年半ぶりに会った。

旅先が彼の地元だったこともあったと思うけれど、それを踏まえてもとても良くしてくれた。
連れて行きたい場所を事前にたくさんリストアップして選ばせてくれ、旅のプランのほとんどを立ててくれ、お家に招待してくれた。

私が一番嬉しかったのは、小樽でガラス屋さんに入った時のことだ。

ずっと"白くて中が見えない、無色透明の1〜3輪くらいのお花が活けられる花瓶"が欲しかった。
大矛盾、そんなものある訳ない。
が、小樽にあった。

シンプルに一目惚れをした。

でも旅先で割らずに持ち帰る自信がなかったので、買うことをとても躊躇した。
花瓶を持ったまま動かない私を見て、彼は郵送できるかをわざわざレジまで聞きに行ってくれた。
「郵送できるって」「一目惚れしたんでしょ?買ってきなよ」と決めきれない私の背中を押した後に、「あと、そこに同じデザインの風鈴もあったよ」と教えてくれた。
(私が風鈴好きなのどうして知ってるの?大好きありがとう)と思った。

ちなみに風鈴はちゃんと花瓶とはデザインが違っていて、(これを同じという所は彼らしいな)と懐かしい気持ちになった。

私が花瓶を買おうと買うまいと彼には何も関係がないのに、人のためにすぐ動けるところがとても素敵だ。
嬉しかった。


ーーー

外に出ることを意識し始めたら、本を読むのがありえないほど遅くなった。
そして外出することで刺激が増えたからか考えることも増えて、お気持ち表明のnoteを勢いで書いて下書きに保存する回数がぐんぐん上がった。
公開できないけど。

でも友達に会って幸せだった話は忘れないうちに書いて、きちんと公開していきたい。
もし今私がいなくなっても、私が友達からもらったはっぴーな気持ちが誰にも知られずになくならないように。
(会えて嬉しかったよあなたのそんなところが素敵で大好きだよ)をちゃんと外に出しておきたい。

そしてあわよくば社会人になって簡単に会える環境じゃなくなっても会いたいと思って行動を起こしてもらえる相手でありたい。
先々を考えるとやっぱり寂しい。



おわり。