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カビ、酵母、細菌~微生物にも色々あります

さて、前回は こうじ(麹)、こうぼ(酵母)、こうそ(酵素)の違いについて説明しました。


今回は、発酵に関わる微生物にも色々あります。と言う話をしたいと思います。

微生物も色々サイズがあるのだ。

 まず、微生物=細菌と思っている人多いと思います。微生物といっても人間から観れば「ちっちゃい」でも、倍率を上げていくと大きい小さいがあります。

まず、大きさの比較をする前に麹菌の拡大画像をご覧ください

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 これを模式化するとこうなります。

麹菌模式図大きさ比較

 図中で示した麹菌の胞子、これが以前ご紹介した麹菌の緑の粉の招待です。そして、酵母菌がだいたい同じ大きさ。球菌(食中毒を起こす黄色ブドウ球菌という名前は聞いたことあるでしょうか?)という細菌だとその5分の1。さらに、話題のウイルスはこの模式図でもドット、ピクセル単位のレベルになります。単位もマイクロメートル㎛からナノメートル㎚になっています。逆に、微生物と呼ばれる中で、比較的大きな物だとゾウリムシなんかも微生物に入ってきます。ゾウリムシは90~150㎛なので、この模式図だと、画面スクロールしないと入りきらないサイズです。でも、微生物です。

 一口に微生物と言っても、さらにサイズ感が大きく違う、ということが分っていただければ大丈夫です。

発酵に関わる微生物は三種類

さて、微生物が色々ある中で、発酵に関わる微生物については、大きくカビ・酵母菌・細菌に分かれます。

 麹菌はカビの仲間です。麹菌以外にも発酵に使われるカビは色々あります。チーズなどが思い浮かぶところでしょうか。また、カビ(麹菌)と酵母菌の違いは前回説明したのでここでは省略します。

 細菌と一口にまとめてしまいますが、細菌も色々あります。ヨーグルトなどの乳酸菌、納豆を作る納豆菌などが細菌の仲間です。

 さて、どの微生物がどの発酵食品に使われているかを図にしたのが下の図です。(ざくっとした分類なので意図しない混入とかは一旦無視します。)


三種の微生物

 主にカビを使った発酵食品としては、鰹節(←発酵食品なんです)、東南アジアで観られるテンペ、それから麹だけで甘酒を造った場合もカビだけを使ってることになります。

 酵母菌については、ビールやパンそれから多くの酒類があります。ワインやウイスキーなど酒類製造の際には意図的かどうかは別にして、乳酸菌(細菌の仲間)と組み合わせになることが多いです。

 細菌については、納豆菌による納豆、乳酸菌によるヨーグルトやくさやなどがあげられます。チーズは種類によってはカビを生やすこともあります。

 図を見て分るとおり、複数の微生物を使う発酵食品も多いです。この図には当然全部の発酵食品が書かれているわけではありません。さて、このど真ん中に味噌と醤油と清酒がいます。そう、味噌、醤油、清酒などの発酵食品は3種類の微生物を利用して造られています。意外とイメージがないのですが、実は、味噌、醤油、清酒にも乳酸菌が使われています。ちなみに、米酢になると細菌の仲間で酢酸菌というのがやってきて4種類とかになります。

 この3種類の微生物を利用するというのが、味噌や醤油、清酒や酢などの特徴の一つです。この3つの微生物が役割をそれぞれ持っているところが、発酵食品が出来る仕組みが理解しづらくしている原因かもしれません。1つの微生物が、「僕がアルコールを造ります!」「僕が乳酸を出します!」だけにならない単純さがありますものね。

 さらにいえば、「日本酒は麹が造る」という言い方も見かけます。そのくらい重要な役割を担っていますが、かえって、この表現により、「日本酒造りには麹しか関わってない、麹菌がアルコールを出すのだ」という誤解をしている人も見受けます。あるいは、「1つの発酵食品に関わる微生物は1つと思い込んでいる」ために、『「麹」と「酵母」が両方存在している』という発想にならず、『麹』と『酵母』が同じ物だと思っていたりするのかなと思います。


 では、日本の発酵食品はどのように3種類の微生物を利用しているのでしょうか。また、微生物たちはどのように関わり合いながら発酵食品をつくってくれているのでしょうか。

 その話はまたの機会に。

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