父の愛は深いけど分かりにくい
推理や裁判モノが好きなので、これは面白そうと見始めた『ジャッジ 裁かれる判事』
でも、よくあるような激しくやり合う法廷ドラマではなく、父と息子(ハンク)、兄弟、家族みんなの母親への愛が丁寧に描かれたヒューマンドラマだった。
事件を扱う職種のドラマでは、家庭や友人関係がちゃんと見えるようなものが好きなので、この作品は正に当たりだった。終わるのが勿体なくて、何度も止めてエンディングまでをゆっくり味わった。
心が行き違う父とハンク。
けれど、ある時知る。愛を与えてくれた記憶がない父が自分を愛してくれていた証がそこに、弟の大事にしている8ミリフィルムから映し出されていた。
だから、またあの頃のように父と息子が二人っきりで過ごすシーンは良かった。悲しいけれど、良かった。
私が一番心に残っているのは、癌の治療の副作用なのか粗相をしてしまう父をハンクがシャワーで洗ってあげるシーンで、今まで隠れていた、守るべき者に対する優しさというものが父親から滲み出た繊細なシーン。
心配して入って来ようとする幼い娘にハンクはそんな様子を見せないように必死で止める。それでも子供のこと、何度言っても諦めない。
その時、ハンクのお父さんが、こう言ったらいいんだよとでもいうように囁くのだ。その通り娘に言うハンク。
悲惨でもあるはずのシーンの中でも、そのお爺ちゃんとお父さんと孫のとやり取りは優しさに包まれていた。
親はちゃんと子育てをしてくれてるんだ。自分が知らないだけで。
親から受けた愛なんて、思春期に反抗してたら強烈な記憶だけが上書きされて、微笑んでくれてた記憶なんて忘れてしまうものだ。
そんな時でも、どの親もそうやって慈しみ育んでくれる。
少しずつ解れていく感情。
本当に素晴らしかった。
ハンクの兄弟との関係性や愛憎なんかも深くて愛おしく
昔の恋人との心の動きが、不自然なくらいお決まりのようには動いていかなかったり
自分の愛娘が憎んでいた父と関係性を作っていくところなんかも
全てが素晴らしく
是非おすすめしたい作品でした。
対決する相手の検察官にビリー・ボブ・ソーントンが
ジャーンって映った時
あぁ…負けるかな…これは、と直感してしまったなぁ。
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