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博士課程進学のメリットとメリット

こんにちは。Dr.エンジニアです。

博士(工学)を取ってみたい。

研究が好きだったり、学ぶことが好きだったり、資格の延長として考えてみたり、「博士の学位を取ってみたい」とおぼろげながら思う人は、結構いると思います。

しかしながら、修士の学生から見える学位取得者は、大学の先生などアカデミックなポストで活用する研究者・教育者に限定されることが多く、将来の職業として、研究者・教育者を目指す人以外は、博士課程に進学する機会がないのが実態です。しかし、博士課程へ進学した人のすべてが、アカデミックの分野にいるわけではなく、学位取得後に、民間企業で活躍するエンジニアや、研究者に振れる機会がないからだと思います。

そこで、博士号の学位を取得し、エンジニアリング会社でエンジニアとして(今は営業)働く私が、私の専門分野である建築構造系の学生さん向けに、博士課程進学のメリットを紹介したいと思います。

そもそも私が博士課程に進学した理由は、下記の3つです。
 0.大学教育の到達点として、博士になってみたかった。
 1.修士から始めた研究が、ただただ面白かった。
 2.構造系の一生の職業キャリアの中で、最初の3年ほど回り道をしてもよいと思った。
私自身、博士課程への進学の決断には、相当な勇気がいったし、学位取得後のキャリアにも不安がありました。

今となっては、学位取得はエンジニアとしてキャラ立ちする上で、とても有益な経験だったと心から感じており、SNSので垢名をDr.エンジニアとしているくらいです。

そこで、博士課程への進学を考えている学生さん向けに、普段触れることのない博士号もちのエンジニアが感じている、進学のメリットをご紹介しますので、ご一読ください。

1.アカデミックに足を踏み入れるハードルがかなり下がる。
 短い期間ではありますが、博士課程の学生として、アカデミックな分野に軸足を置くことで、先生方や企業の研究者とディスカッションすることのハードルがかなり下がります。また、研究開発に対する思い入れを持つことで、最新の研究などにも積極的にキャッチアップしていく素養が身につきます。

2.圧倒的人脈の構築
 指導教官や大学の先輩後輩だけでなく、同世代(他大学)のアカデミック系人材や学会や国際会議でご一緒なった先生など、かなり広い人脈が構築されます。同世代でアカデミックに残った友人は、その後どんどん偉くなり、卒業後20年ほどたった今、どこの旧帝大などにも気軽に電話やメールができる知り合いがいるような状況です。そんな先生方と雑談することもありますが、アカデミックな状況を理解しつつ、実務ベースに議論できる話し相手して、認識いただいており「真面目な話題を、実業界での状況を踏まえて、フランクに会話できる相手」と重宝されています。こういった人脈は、先生方との共同開発や、さまざまな情報収集などなど、時間を経るにしたがってとても有益な情報となっていると感じている今日この頃です。

3.エンジニアとしてキャラが立つ
以前の投稿、キャリアのポジショニング戦略 でも記事として書きましたが、エンジニアとしてのキャラ立ちに効果的です。例えば、スーパーゼネコンには300名程度の構造設計技術者がいる様ですが、その中で自分の得意分野を構築し、キャラ立ちしていくのはなかなか難しいのではないかと思います。社会人人生のスタートの時点で、特徴を明確に打ち出すことで、その後のキャリアの歩み方も変わってくるはずです。
 私も入社当初から、難しいプロジェクトばかりを担当することが多く、それらを乗り越えることで、スキルの向上につなげることができました。難しさや、困難さを楽しめる人材としての価値が活きてきます。

4.社外との関係
エンジニアとして働いていても、若い時期から学会等の社外活動に参加できる機会が多くなります。私も初めは、学会関東支部の鋼構造SGへお誘いを受けたのがきっかけでしたが、同世代の若い先生方&実務者と会話は楽しく、今も有益な関係を保っています。そんな伝手で、学生さんの就職活動イベントで、エンジニアとしての働き方の講演をしたり、大学の非常勤講師依頼なども何度かいただくことになります。私も、慶應義塾大学SFCにて「建築技術論」の非常勤講師を担当させていただきました。

5.思考のベース
自ら動いて、情報を探し、分析し、実践し、結果をまとめる。
研究内容によっては、上記に加えて、人を使う。こと。
仕事でも研究でも共通する物事の進め方です。当社にも私と同じようには学位を取得してから、民間企業のエンジニアとして働く同僚が数名いますが、皆同じように、自ら動く実践能力と思考力が圧倒的に高く、既存の業務の枠組みを変えるような貴重な人材となっています。そのベースには、時間が許す限り、調べたこと、苦しみながら考えたことの経験が役立っています。入社当初の自分の仕事ぶりは、自分ではわかりませんでしたが、「教えなくても何とか実践していく姿に驚いた。」とのちのち上司に言われました。その反面、時間が有限であり、時間によって費用が掛かるタイムチャージのが異変が欠落しがちなので、注意が必要です。

6.学振が取れて生活費の心配がいらなかったり、留学できたり
研究分野や競争率によりますが、私が博士課程の時は、日本学術振興会特別研究員に採用され、20万/月の生活費と100万/年の研究費および自分の給与手で生活することで(世帯年収が低い)、学費免除となりました。ないよりも準備が大事で、過去の合格者の申請書を分析し取り組むことで、私の所属する研究室では、連続で合格していたと思います。また、6月に学位取得ができたため、8月~翌年3月まで、ューヨーク州立大学バッファロー校にポスドク留学することができました。渡航費・滞在費は、上記から捻出できてました。(ポスドクは37万/月+150万/年でした)受け入れの大学も、費用負担のないFcultyとしてなので、ビザ発給なども特に難しいことはないと思います。周りの知人も、ニューヨーク、ロンドン、スペインなどに留学してていました。

番外編
その他のメリット・デメリットもいくつかあります。
・飛行機に乗るときに「Dr.〇○」と表示される。
・海外での入国審査がサクっと終わる。
・名刺に書いておくと話が弾み、覚えてもらえる。
  (事務)周りに博士がいないため、興味本位で話がはずみます。
  (博士同士)どんな研究だったかなど、同士として打ち解けます。
・ドロップアウト組も一定数いる。(向き不向きがあると思います。先生が乗り気でない場合は、あきらめましょう。)
・社会性がない。社会性が育たない。←完全に人によります。
・就職は何とかなる。建築構造系でいうと日本人は少ないので、アカデミックであろうと、民間就職であろうと、同世代は何とかなってます。マスな人材でないため、募集ポストは一般には公募されていませんが、アクションすることで採用ポストが用意されることも多いです。

最後に
 就職して定年までは30~40年、働くことになります。博士課程はそのうちの最初の3年間、多くの人は違う学びをすることで、その後の大きな武器になる素養を身に付けるができます。例えるならば、ドラゴンクエストのスタート時に、バイキルトとスクルトとルーラを覚えてゲームを始めるようなものです。普通にスタートしてもゲームはクリアできますが、皆の知らないチート技を身に付けて取り組むのも楽しいはずです。
 興味がある人は、トライしてみましょう。(責任は持ちませんがw)




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