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書評シリーズ

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自作の書評記事のみ集めました。ビジネス、思想。
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#読書感想文

サンプリングの『中世哲学入門』で現代思想入門を

サンプリングの『中世哲学入門』で現代思想入門を

けっこう難しい入門書。山内志朗氏のこの作品は、『現代思想入門』と関連して読めば解るのかもしれない。

そう思いました。索引によると、ドゥルーズが11回(フーコーはおまけとして4回)登場しているが、それだけではない。

テーマの存在論が、やはりハイデッガー以降の哲学と、それに先行するフッサールを思弁的実在論(ここではハーマン)で考える現代人の思考パターンが前提だと感じるからです。

哲学史として、私

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宇野重規『西洋政治思想史』を読んで

宇野重規『西洋政治思想史』を読んで

危機の時代には、自由は制限され、国家権力に従わなければならない。でも、それは一時的なものだ。

マルクス・ガブリエルがこう言ったのは、哲学者の言葉というよりも、民主主義の当たり前を表現した言葉に思われます。

ですから、政治的なものは、政府と市民の信頼関係が重要ではないでしょうか。

この本の作者宇野重規氏は、東大教授で、博覧強記の持ち主です。古代の政治思想から現代までの歴史をたったひとりで書いて

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クズの社会学 宮台真司他『音楽が聴けなくなる日』

クズの社会学 宮台真司他『音楽が聴けなくなる日』

家で過ごすひととき、音楽を楽しもうとしたら、無音。

配信が停止されて聞くことが出来ない。

世の中には、いろいろな自粛があります。この本のテーマは、音楽を含むアートの自粛です。

まずは、クズの定義から始めます。(約2700文字)

始めに:クズを定義するまず注意するべきなのは、「クズ」という用語の一般的な意味との区別です。哲学や思想用語と同様、専門用語と捉えて下さい。

日本の現状として、社会

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