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向き合え、自分の「負」と。

自分の負の面と向き合え、って言われたら、
いや、それが大事ってことはわかるよ、
でも、そんな事言われても怖いじゃん…ってなります。

そうなったその先をきちんと教えてくれる映画をご紹介。

ドライブ・マイ・カー

原作は村上春樹さん。
友人に誘われて少し前に観に行きました。
ポスターを見て「ずっと車運転する映画かな」と思ったら違った。(知識ゼロ)

主人公の男性が、ずっと抱え続ける「弱さ」とか「つらさ」とか、そういう負の感情に、様々な出来事を通してゆっくり向き合っていく、そんな映画なんです。

弱さから逃げ続けることは、救われるけれど救われない。
弱さと向き合うことは、苦しいけれど前を向ける。
そんな、当たり前だけれど見て見ぬふりをしていたような、
人生において大事な価値観を、
映画体験として提供してくれる作品。

かつての私も負の経験から目を逸らし続けた時期があります。
目を逸らし続けたからこそ生きてこれたな、とも思うし、
目を逸らし続けたからこそ今なお苦しいのだろうな、とも思うのです。

ドライブマイカーを観ながら、いろいろな「負」を思い出しました。
あの時感じた表現しづらいような怒り。
悔しさ、悲しみ。
わけも分からず涙だけが流れたあの日。
「なんでもないよ、大丈夫。」で流した光景が、映画と一緒に流れてくる。それはなんだか軽い走馬灯みたいなもので。

あの時の私はつらかったんだ
大丈夫じゃなかったんだ
そんな中で、生きてこれたんだ

そう思えただけで、
少し呼吸は楽になって、もう少し遠くまで、
歩いていけそうな気がしました。

負の感情を抱いた自分と向き合うということは、
あの頃の自分を否定することじゃないし、
「こうすれば良かった」と1人で反省会をすることでもなくて
ただひたすらに「つらかったんだな」と思うことなんだと思います。

正しくきちんと落ち込んで、正しくきちんと悲しむ。
きちんと怒る、泣く。
その先にある道こそが、素敵な人生だったりするのかな。

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