ライフヒストリアン・カン

記憶からライフヒストリーへ! 「自分の人生を語ることは、この上なく気持ちよく楽しい。」…

ライフヒストリアン・カン

記憶からライフヒストリーへ! 「自分の人生を語ることは、この上なく気持ちよく楽しい。」 口述自伝〈ライフヒストリー良知〉の制作者です。

最近の記事

自叙伝のデジタル化と書籍化

これまで顧客のライフヒストリーを聞き書きして、現在、WEB上に掲載している顧客の自叙伝を書籍にする契約をしました。 顧客の家系のかけがえのない宝物になるような本に編集していきます。 昔から、「東洋に自伝なし、自伝は西洋の文化的所産」と言われてきました。キリスト教を信仰する人たちが多い欧米では、自伝を著すことは神へ告白でもあったのです。 今私は、顧客のライフヒストリーを聴いて「聞き書きことば」で文章化したものを、知恵を絞って作ったWEBシステム上で、たくさんの写真と一緒に

    • No144.近・現代の渡来人/禹長春博士/韓国近代農業の父/キムチの恩人

      一昨年、仕事で京都にある老舗種苗会社の会長の自伝を制作する際、その方のライフヒストリーを聞き書きする過程で、〈韓国近代農業の父〉と呼ばれた禹長春(ウ・チャンチュン)博士の話が出て、禹博士にまつわるいろいろなエピソードを伺った。このお話をしたい。 昨年9月に投稿した文章に加筆する。 ◆◆ 禹長春の父は、乙未事変(朝鮮国王王妃・閔妃暗殺事件)に参加した軍人・禹範善(ウ・ポムソン)である。 禹範善が日本に亡命し日本人女性と結婚、その日本で生まれたのが禹長春で、育ったのは広島

      • 昔を懐かしむ傾向の個人差/社会におけるなつかしさの意義

        〔なつかしさ〕について研究を進めていく上で、「人は、昔をなつかしむ傾向がどのくらい強いのだろうか」という疑問にぶち当たりました。 あれやこれや本を紐解き、ネットでくまなく調べると、ありました。「日本心理学会」という学会がそれに少し関連する内容を発表しています。 これについて、学会はアンケート調査を行っており、代表的な次の3項目について、5段階で回答者が評定しています。 (1)古き良き時代に憧れる。 (2)今より昔の方が自分は幸せであった。 (3)私はときどき人生をやり直

        • なつかしさ/脳科学/手続きの記憶/プライミング記憶

          これまで、人の〘長期記憶〙には、〔エピソード記憶〙と〔意味記憶〙があるといいましたね。この二つを併せて〘陳述記憶〙とも呼んでいます。 一方で、〘非陳述記憶〙、或いは〘潜在記憶〙と呼ばれる記憶に、〔手続きの記憶〕や〔プライミング記憶〕、また〔習慣記憶〕や〔非連合記憶〕があります。このうち、〔手続きの記憶〕と〔プライミング記憶〕についてお話します。 例えば、私たちは服を着たり脱いだりしますね。これは生まれたばかりの赤ちゃんの頃には出来なかったことですから、今まで生きてきた時期

        自叙伝のデジタル化と書籍化

          なつかしさ/心理学/脳科学/記憶(4)

          〔記憶〕というのは大きく3つあって、そのうちのひとつ〔エピソード記憶〕については、No322で書きました。 ふたつ目が〔意味記憶〕。つまり知識に関する記憶ですね。これは、日常、働いているところとか、学校や家庭などで長い間にわたって獲得してきた知識のことを指しますね。 ただ、この記憶は、一般的な知識として頭の中から思い起こすことができても、時間などの詳しいことは思い出せないことが多い。 例えば、田舎の田園風景、大正や昭和時代の建物に〔なつかしさ〕を感じるとき、なつかしい風

          なつかしさ/心理学/脳科学/記憶(4)

          なつかしさ/心理学/脳科学/認知症予防(3)

          〔なつかしさ〕の研究は、今、アメリカやヨーロッパ先進国において盛んになっています。特に、〔なつかしさ〕とは何か、それを引き起こすきっかけは何か、自分との関連はどうなっているかといったような研究ですね。 このように、〔なつかしさ〕の心理学的な問題は、現在注目され始めていますが、まだ〔なつかしさ〕を引き起こす〔心のメカニズム〕の研究は、それほど多いとは言えず、まさにこれからですね。 現在、そして未来に向って、どの国も〔高齢化〕というたいへん大きな社会問題を抱えています。そこに

          なつかしさ/心理学/脳科学/認知症予防(3)

          セミナーの講演

          〘日野原重明記念新老人「滋賀の会」〙(嘉田由紀子世話人代表)という団体があるのですか、令和5年講演会で、僕がお話しますのでお知らせします。 ◆講演会名:いきいきと生きるための新しい記憶回想法 ◆日時:11月12日㈰13時〜 ◆場所:滋賀県立琵琶湖博物館セミナー室 ◆演題:心理回想法と口述自伝制作〜カタルシスと介護予防に向けて〜ライフヒストリー良知代表 姜永根 ◆要旨:心理回想法と口述自伝制作  高齢者の生きてきた歴史や物語を聞き書きすることによって、その方の自尊心を

          なつかしさと記憶

          今、多くのカウンセリングや介護現場で、〔なつかしさ〕と〔記憶〕と〔回想〕との関連性を高く評定する傾向にありますね。 記憶は、〔なつかしさ〕の中核にあって、〔なつかしさ〕に関わる認知過程を支えています。 記憶の中には、〔短期記憶〕と〔長期記憶〕があって、この内〔長期記憶〕は、大きく4つに分けて考えることができます。 まず〔エピソード記憶〕。自分がいつどこで、誰と何を経験したかという出来事の記憶ですね。その一つに、今まさに私たちが推進している過去から現在までの自叙伝のような

          なつかしさ(ノスタルジア)について(1)

          これからしばらく、「なつかしさ(ノスタルジア)」について、心理学の側面から、お話をしていきます。 では、なつかしさ(ノスタルジア)とは、何でしょうか? なつかしさは、昔よく聴いた歌を耳にしたり、学生時代の同級生に久しぶりに会ったりすることがきっかけになって、過去を思い出すという意味で〔記憶〕にかかわります。 その時、とても心地よい、時には苦しく悲しい気持ちを引き起こすという点で〔感情〕にかかわります。 また、昔に戻ってやり直したいという望みを持つときには、小さい時から

          なつかしさ(ノスタルジア)について(1)

          記憶の研究の進化

          記憶というものが脳の中でどんな働きをしているのか、近年、脳の機能を解明する機器類の技術開発などによって、少しずつ明らかになってきましたね。 17世紀、フランスの哲学者でルネ・デカルトという人がいました。「我思う。ゆえに我あり」という、たいへん有名な言葉を遺しています。 簡単に言うと「世の中のすべてのものの存在を疑ったとしても、疑っている自分自身の存在だけは疑うことができない」という意味です。 デカルトは、「心は身体から分離している」というこれも有名な〈心身二元論〉を主張

          司馬遷の『史記』のこと、これからのこと

          私が、口述自伝制作〈ライフヒストリー良知〉事業をやろうと思ったきっかけは、司馬遷の『史記』、福沢諭吉の『福翁自伝』、勝小吉の『夢酔独言』、内村鑑三の『後世への最大遺物』などの書籍を丹念に読んだことにあります。 これらの著書に触れて感銘を受け、功なり名を遂げた人たちばかりでなく、ごく普通の人たちが自分の生き様を語り、自伝として後世に残すことの素晴らしさや意義を感じ取り、事業を推進してきたのです。 この『ライフヒストリー良知の世界』の中で、これまで、いろいろ学んだことや知った

          司馬遷の『史記』のこと、これからのこと

          勝小吉の夢酔独言のこと

          勝海舟の父親の名前が勝小吉。彼が、かの有名な《夢酔独言》という自伝を著し、後世に遺しています。 小吉は放蕩無頼を尽くした旗本で、後に露天商の親分になった人です。 歴史的に名高い水野忠邦の「天保の改革」で、不良旗本としてマークされ、謹慎処分を受けている際、この自伝を一気に書き上げた。小吉が42歳の時でした。 《夢酔独言》は、小吉が緻密な構想を練って書いたものではないですね。 無学な人間が一念発起して書いたので、文語体を知らず、話し言葉のまま書き綴っている。それが実に活き

          勝小吉の夢酔独言のこと

          EQ(心の知能指数)を高めるために

          常々、「老年期こそEQを高めることが大切だ」と思っています。 IQ(知能指数)のことを知っている人は多いのですが、EQについて知る人はどれほどいるでしょうか? EQとは、Emotional Intelligence Quotientの略称で、日本語では「心の知能指数」と訳されています。 これは、1990年に米国の心理学者ピーター・サロベイとジョン・メイヤーによって提唱された理論であり、1995年に同じアメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンが著した「EQ(心の知能指数)」

          EQ(心の知能指数)を高めるために

          記憶から歴史へ~オーラルヒストリーの世界/ヨーロッパの自伝文化

          ポール・トンプソンというイギリスの社会学者が書いた〔記憶から歴史へ〜オーラルヒストリーの世界〕という書籍があります。 かなり分厚い本なので読むに時間がかかりますが、私はこの本をとても大切にしています。 何故なら、ここには、私が〔口述による自伝制作事業〕を推進する上で必要な知識やノウハウなどが、随所に散りばめられているからです。 ヨーロッパでは、昔から人ひとりが生きてきた証として、〔自伝〕や〔自叙伝〕、〔回想録〕を著すことを必須としてきました。 功成り名を遂げた人ばかり

          記憶から歴史へ~オーラルヒストリーの世界/ヨーロッパの自伝文化

          スタイルは紀伝体

          〔紀伝体〕とは、中国の歴史書の一つのスタイルのことを指し、〔本紀〕・〔列伝〕・〔表〕・〔志〕で構成されています。 これを生み出したのが、あの歴史書《史記》を著した中国前漢の歴史家・司馬遷ですね。 〔本紀〕とは帝王の事績を記した年代記のことであり、〔列伝〕はその時代に生きた主要人物の伝記、〔表〕とは{年表}を言い表し、〔志〕は諸制度のことを示しています。 この〔紀伝体〕に対して、もう一つの歴史書編纂のスタイルが〔編年体〕と言い、出来事の生起した順に記述していくものです。

          日本一低価格の自伝制作

          今回、口述自伝制作〈ライフヒストリー良知〉では、インターネットを活用しスマホで見る自伝・自叙伝・自分史の中で、国内最安値を実現するシステムを開発しました。 「特別企画」として、〔ライフヒストリーホームページ〕を48,000円(消費税込)で提供します。 🟪ライフヒストリー良知ホームページ https://life-history.jp/ 顧客の家族や親戚、また友人や知人に、顧客の〔ライフヒストリー〕をご覧になって頂きたいと思います。 この「特別企画」の手順は次

          日本一低価格の自伝制作