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なつかしさ/心理学/脳科学/認知症予防(3)

〔なつかしさ〕の研究は、今、アメリカやヨーロッパ先進国において盛んになっています。特に、〔なつかしさ〕とは何か、それを引き起こすきっかけは何か、自分との関連はどうなっているかといったような研究ですね。

このように、〔なつかしさ〕の心理学的な問題は、現在注目され始めていますが、まだ〔なつかしさ〕を引き起こす〔心のメカニズム〕の研究は、それほど多いとは言えず、まさにこれからですね。

現在、そして未来に向って、どの国も〔高齢化〕というたいへん大きな社会問題を抱えています。そこには年々増えていく〔認知症〕を有する高齢者にどう対処していくのか、というたいへん重要な課題があります。

日本には、2021年9月現在で3,640万人の高齢者(65歳以上)が住んでいます。総人口に占める割合は29.1%で、これは断トツで世界一。このまま推移すると、近い将来、高齢化率は40%近くまで上昇していきます。

一方で、認知症の患者数は、2020年で631万人(高齢者の18.0%)。これが団塊の世代が全て後期高齢者の仲間入りする2025年になると730万人(20.6%)、有効な医療や処置方法、製薬が開発されないのなら、2030年は830万人(23.2%)、2040年は953万人(25.4%)、2050年は1,016万人(27.8%)なると、民間の研究機関は予測しています。

このように、高齢者が増加し、認知症に羅患する人々が比例的に増大していくという、歴史上類例のない未曽有の社会が到来しているのです。

ところで、〔なつかしさ〕というのは、認知症を改善したり、発症を予防する効果があることがこれまでの研究によってわかっています。

欧米各国は、現在〔心理回想法〕や〔ライフレビュー〕といった名称で、〔なつかしさ(ノスタルジア)〕に関する技術やノウハウを積み重ねると共に、現場で働く専門家の養成に力を尽くしていますね。

一方、日本はというと、そもそもこれまで、〔心理カウンセリング〕というものにあまり馴染みがなかった。これらは心や精神の病など、医療に関わりがあるものだという理解の中で、〔心理学〕や〔カウンセラー〕が身近なものとして捉えられて来なかったのです。

しかし、これからの日本は、「高齢化社会において、その対処のためには心理学と脳科学は車の両輪である」という考え方に基づいて、

〔なつかしさ〕の研究をはじめ、〔心理回想法〕や〔ライフレビュー〕といった心理学や脳科学、カウンセリングを伴う認知症予防のためのプログラムなどの開発を積極的に推し進めていかなければなりませんね。

次回、これらに関連して、引き続き〔なつかしさ〕と〔記憶〕について書き記していきますね。

ー続くー

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【今から53年前の1970年、大阪で開催された万国博覧会のなつかしい写真〕】

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