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これを知れば介入が変わる!肩甲下筋の多彩な役割 ~いくつ知っていますか?~

腱板筋群は肩関節の運動に関与するだけでなく、関節窩に対して上腕骨頭を求心位に保つ、肩関節の動的・静的な安定化に寄与するなど、多くの重要な役割が存在します。


その中でも、今回は腱板筋群の中で、唯一の内旋筋である”肩甲下筋”に着目して、解剖や走行から肩関節への機能を考えていきます。


1.肩甲下筋の基礎

一般的に肩甲下筋は肩甲下窩から起始し、小結節(稜)に停止すると記載されています。また、肩甲下筋は上部線維と下部線維で異なる神経に支配され、作用が異なると考えられています。


肩甲下筋の停止部は上部、下部(中部)に分けて考えらえており、停止部の上部は広く、下部は狭い形態です。上部60%の筋が腱として小結節に停止しており、残りの40%は筋肉で構成され、小結節の下に停止します。


実際、肩甲下筋は小結節(稜)や肩関節包に停止しますが、それ以外にも多くの部位に付着すると考えられています。代表的なものに、小結節の上方に延伸して停止する部分の「舌部」が挙げられます。舌部は上腕二頭筋長頭腱を支持する役割があると考えられています。

肩甲下筋の解剖で大切なことは...
・肩甲下筋は上部と下部線維に分けて考える必要がある
・肩甲下筋の停止部は腱性、筋性に分かれている
・停止部は小結節だけ大結節に停止し、舌部が存在する


この解剖学的な情報から肩甲下筋の機能を考えていきましょう!


2.肩甲下筋の運動作用

肩甲下筋は上部、下部線維に分けられます。主たる作用は内旋ですが、線維ごとで作用する関節角度が異なる可能性があります。


上部線維は比較的、平行に筋線維が走行しているため、肩関節下垂位での内旋(1st内旋)が主たる作用と考えられます。


下部線維は斜めに走行しているため、肩関節外転位での内旋(2nd内旋)が主たる作用と考えられます。


肩甲下筋は肩内外旋中間位における挙上角度の変化により、上腕骨長軸に対し垂直に近い線維が最も強く肩関節内旋運動に作用することが示唆されていることからも、想像ができます。


また、肩甲下筋は肩関節内旋以外にも多くの運動に寄与する可能性があります。冠状面上では内転モーメントアーム、肩甲骨面上では外転モーメントアーム、矢状面上では屈曲モーメントアームを持ちます。


肩甲下筋の主たる作用は内旋ですが、それぞれの面上で肩甲下筋は内転・外転・屈曲の作用を持つ可能性があります。


3.肩甲下筋の運動以外の作用

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