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「幸せな未来」研究プロジェクトを始めました。お付き合いください。

0.長い目でこれから目指すこと(マクロ的な目的)

学ぶことって好きですか?

 多分、義務教育の学齢の子たちは、殆どが嫌いだと言うと思います。確かに時代は変わり、学校という教育機関の存在意義やあり方も大きく変化してきましたので、昭和の時代に教育を受けた我々とは段違いな教育がなされているのは知っています。それでも学ぶことが大好きな子供は、余りいない気がします。しかしよしんばそんな子がいたとして、それはそれで、親御さんは心配なんじゃないでしょうか。
 日本橋田所町三丁目、日向屋半兵衛のせがれ時次郎などという人物を思い出します。親っていうモノは、面倒なものです。自分なんか生涯子供でいいやとか思ったりします。

 いつから、学びに興味が出てくるんでしょうか。明らかに多くの社会人は学びが好きです。自己啓発、リカレント教育、社会人教育、他にも大人の学びは数限りなくあります。

2022年度のリカレント教育市場規模は、前年度比4.9%増の490億円が予測されている。

出典は以下

 市場は存在しているらしいです。おそらくここには入らない、軽いカルチャースクール的なものを入れれば、膨大な「社会人」が、何らかの学びを求めているし、実践しているということがわかります。但し、こと大学という教育機関では、集客面をはじめとした収益性に課題があって、極めて後ろ向きです。新入生集めすら汲々としている昨今では、大学に期待はできません。
 人はいったいいつから学びが好きになるのでしょう。おそらく人によっていろいろな事情はあるのでしょうが、総じて学校という制約が無くなった時からじゃないでしょうか。誰かにヤレと言われると、やりたくなくなるという、人間ってめんどくさいものです。

学ぶことの目的は何ですか?

 では、学校を出てしまったのに、何を目指して学ぶのでしょう。学びの目的は何ですか?
 これもいろいろな意見もあるとは思いますが、おそらく代表的なのは、以下のようなものでしょう。

 時代の流れに伴って新たな技術が次々に登場しているため、キャリアアップやキャリアチェンジをして長く働き続けるためには、情勢の変化に合わせた学び直しが不可欠であるといえます。
 技術の進化のスピードも年々速まっているため、時代に取り残されることなく、自分自身を高め続ける姿勢がビジネスシーンにおいて重要視されているのです。

LIBERARYLab

 こうしたミクロな動機が出発点になることが一般的でしょう。ではキャリアアップしたり長く働き続けることは、何を目標とするのでしょうか。結論的に言えば、未来に「幸せ」になること、それが大きな目標じゃないかと思います。
 そもそも学問には、領域は何であれ、未来という要素が含まれています。
古典でも歴史でも、人が為してきた事柄を知ることによって、今の我々のことを考えることもできるし、その先の未来の営みも考えることができます。つまり、知識を得るということは、我々が未来に向けてより合理的な判断をすることができるということを意味するわけです。
 我々の日常は、全て意思決定の連鎖です。朝起きて、会社行こうかな、休んじゃおうかなとか悩んだり、朝食を食べようかな、抜いちゃおうかなとか、傘を持っていこうかなやめようかなとか、全ての行動は意思決定によって行われます。人間が意思決定をするときに、より「正しい」選択をするには、情報と理性に基づいた判断が必要です。理に叶った、すなわち合理的な判断を行うために有効なのが、知識、すなわち学問と言っていいと私は考えています。
 極論すれば、理に叶った判断をしてより「正しい」選択によって未来を迎えること、我々にはそれしか「幸せ」な未来を迎えることはできない、あくまでも個人的な考えですが、そう思っています。

 こうした前提で、これから「幸せな未来」を目指して、緩やかに研究プロジェクトをスタートします。大きなテーマとしては、我々の未来を、感情や思い込み、バイアスを抜いて考えていくこと、それを通して未来への扉を開きましょう。

1.最初の問いかけ(時代のパラダイム)

 今の我々はどこにいるのでしょうか。どこからここに辿り着いたのでしょうか。未来を考える上で、大前提となる問いがこれです。
 現代社会を表現するキーワードには枚挙の暇もないほど、たくさんのものがあります。筆者の専門である情報化社会、高度情報化社会という概念自体もその一つですが、他にも多様性、女性活躍、人生100年時代などというのもあります。根付きませんでしたが、VUCA時代、Volatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)というものもありました。
 ここで一つ問いかけます。通称タイムスリップトライアルと呼ぶ、思考問題です。

現代を生きるあなたが、数十年先の未来にタイムスリップをしました。そのことがわかったら、あなたはまず何を周りの人に尋ねますか?

タイムスリップトライアル

 例えば80年前の日本人が現代にタイムスリップしたら、「大東亜戦争はどちらが勝ちましたか?」という問いになるでしょう。50年前でしたら「日本は豊かになりましたか?」でしょうし、30年前でしたら「日本経済は世界一になりましたか?」じゃないでしょうか、異論はありそうですが…。
 これは時代のパラダイムを意味しています。パラダイムとは、元々は同時代を生きる専門家の価値観を指す用語でしたが、より広く人々に共通する価値観を指す言葉です。
 では現代人が未来にタイムスリップをしたとするならば、「この国はまだ存在していますか?」という問いになるように思います。いろいろ意見はあるとは思いますが、この国の経済や政治、社会など、様々な局面で成長ではなく、退行、衰退を起こしているという認識は共通でしょう。理由はいろいろあるとは思いますが、犯人捜しをしても意味はありません。現状は現状だからです。脳内で理想の国を夢見ても、何の意味もありません。
 現在、この国は衰退の過程にある、多くの人が直感的に感じているその根拠のうちの大きな一つが、少子化、少子高齢化という現象を迎えているという点にあると言えるでしょう。

 さてそれを前提として、その少子化については、どこまで理解していますか?
 改めて、イメージや伝聞、感覚ではなく、データそのものを客観的に見ていくことから始めたいと考えています。未来を考えた場合、最も大きくインパクトを与えるであろう因子は、言うまでもなく人です。その国や地域には、どういう人がどのくらいの数を占めているのか、それはその場所の在り方に大きな影響を与えるのは間違いがない話です。

 おそらく少子化と言えば、以下の図を思い出すのではないでしょうか。厚生労働白書(令和2年版)からの引用で、日本の「出生数、合計特殊出生率の推移」を示すグラフです。

出生数、合計特殊出生率の推移

 おそらく少子化という言葉と共に、このグラフは広く知られているでしょう。確かに少子化というイメージがよくわかります。ただ詳細にこのデータを見たことは余り無いとは思います。併せてエクセルのデータとしても公開されていますので、そちらもリンクを貼っておきます。

 ですので、少子化にまつわる議論は、印象とイメージで終始する可能性もあります。特に、現在の経済の低迷や社会的な課題と結びつけて、感情的な帰結になることが多いと思います。
 改めて強調したいのですが、良し悪しや犯人捜しをしたい訳ではありません。あくまで、これが現在の事実であるということということは強調しておきたいのですが、にもかかわらず、将来に渡ってこの事実が様々な領域、分野で大きなインパクトを持つということで、この問いを抜きに、未来は考えられないのです。 

最初の問いかけです。
まず、これを見た印象、気づき、発見、 疑問点などを簡単にまとめてください。感情や良し悪しは抜きます。要因や犯人探しもしません。

以下に、Voicyでもまとめておきました。

2.コンテンツをまとめてみました

 教室で情報倫理の履修学生に、この問いを流してみました。

またリスナーの方々にも考えていただきました。

以下はnoteでのコンテンツです。

さぁ、面白くなってきました。ここから本格的に課題をスタートします。ゆるりとお付き合いください。


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