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秋は気持ちが半音下がる


反政府主義な秋

行政に管理された無機質なコンクリートを塗りつぶし、都市と私の緩衝材となっている落ち葉に自然の偉大さを感じる。
落ち葉にはグラフィティ文化が抑圧や、情勢、政府に対するアンチテーゼの手段として描かれ始めたような精神性を感じる。
それに付随して落ち始めた銀杏を避けながら、つま先で歩き続ける。


愛される秋

秋が年々短くなっている気がしてならない。
夏は男のように傲慢に居座り、冬は女のようにせっかちに訪れる。
そんな中で、秋は静かにかき消されてしまう。
秋は、スポーツや食、読書といった形容詞を与えられているから、運動神経が良く、博識で、教養を備えている。
ちょっと自己主張が苦手で、謙虚で、おっとりしている。
友達に欲しいタイプだし、恋人にしたいタイプだ。

それをみんな知っているから、
好きな季節の1位はいつも秋になる。

おセンチな秋

心は単純で、暑くて明るいほど元気で、寒くて暗いほど沈んでいく。
秋の空気は、気持ちを切なくさせ、大脳皮質さえも忘れかけていた思い出を蘇らせる。
感情が静かに揺れ動く。
遠い日々の情景が浮かび上がり、失ったものの大きさを改めて実感させられる。
選択をしなかった物事への後悔もよぎり、心の隅で燻る。

手に入れた物事よりも、得られなかったもの、意図的に得ることをしなかったそれの方が記憶に残り続ける。

秋の空気は私を過去に引き戻す。
影をも落としながら。

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