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エッセー

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2016年8月の記事一覧

ヌーブラのゆくえ

好きだった子と会ってきた。予備校時代からの友達で、大学も同じだ。私から展示を見ようと誘ったのだ。単純に、友達がいないから。ダメもと。そう思っていたのに彼女はあっさりオーケーした。人前でご飯を食べるのをあきらかに避けていた彼女が夕食も一緒に食べようと言い出したのは不思議だった。私たちの関係性も多分変わったのだろうと思う。彼女は複雑な色のカラーコンタクトを付けた目をくりくりさせながら話す。お金が欲しく

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白線の内側

体育祭予行だった。

小さいグラウンドにゆがんだ白線が沢山ひかれ、それをひいたと思われる体育委員が白線を踏まないで!と叫んで呼びかけている。運動が苦手な私にとっては正直楽しいイベントではない。1学年8クラスある私の高校の生徒数はかなり多く、全員を座らせ、黙らせることもなかなか難しい。座る位置や順番をクラスを案内をしていくあいだに、もう座っているクラスがぺちゃくちゃ喋り出してしまうのだ。今回もまた然

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夢日記 演劇の稽古場にて

夢を見た。

演劇の稽古中らしく、下の舞台で、みんなが既に集まって各自稽古してる中、私は上半身裸、下はジャージで、遅れて登場し、走って舞台に降りていった。自分の身体は軽く、すっきりしていた。風が吹き抜けて、気持ちが良い。私の体はいつかみたいに平坦だった。恥ずかしさはない。何も恥じることはない。

稽古中の誰かとすれ違う。私が彼らを誰か と認識するように、彼らもまた私を誰か と認識して、全く気にも留

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氷の城と都内某所の廃校にて

某所で開催されたイベントへ行ってきた。イベントと言ってもそこまで規模の大きいものではない。せいぜい参加者は12人ほどで、プラス運営のボランティアの方が3人程度。廃校になった小学校の図書館を利用した会場で、いろんな話をのんびりしようではないか、という趣旨のイベントである。私は主催の団体やこのイベント自体を随分前から知ってはいたが、受験生活が予想外に長引いてしまったことなどもあって今回が初参加となった

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