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ADHDなど多様なメンバー/部下がいるチームを生成AI(MyGPTs)でマネジメントした話


私は普段のnoteでは昇進試験の攻略方法をまとめています。

そこでよく会社側から出される課題についてみる機会があるのですが、近年は昔よりもさらに多様性に重きを置いたチームマネジメントが求められているように感じます。

また、私自身としても、マネージャーとしてチームメンバーとの向き合い方についても考える場面が多くあります。

そして、私自身も人と変わっている点が多く心理学的な面で多くの書籍を読み実際に心療内科に行くなどし、"一般の人とは違う人"について知見が深まりマネジメントではそのあたりも強く意識しています。
私自身、ADHDの傾向があったり、他いくつかの観点が気になり心療内科にいったり、発達心理学などを学んで詳しくなっていますが、
一方で前の上司なんかはいわゆる"普通の人"で全然そんなことが詳しくなさそうでした。

しかし、通常の人はそんな機会も少なく、一般の人とは違った多様な個性の人を前にすると「扱い方がよくわからなくて困る」というのが本音ではないでしょうか?
少なくとも私は周囲を見ているとそのように感じることがあります。


一方で近年は技術の著しい発展で、生成AIを使うことで自分の知らない未知の分野について、自分の疑問ベースで調べて回答を得ることが可能になってきています。

今回はそんな背景を踏まえて、
「ADHDなど多様なメンバーがいるチームマネジメントを生成AI(MyGPTs)を使ってやりやすくした」
話を紹介したいと思います。

具体的には、メンバーの特性情報をMyGPTsへインプットすることで、AIがマネジメントの相談に乗ってくれるようになったのです

少しでも自分の経験が他の人に役立てば良いと思い、本noteを作成しました。


1.多様性のあるチームをマネジメントしなければならない現代の管理職


1.1 多様な働き方と多様な人材

現代の管理職はチームマネジメントをする際に、昔に比べてさらに難しいことが求められているように感じます。

昔は転職もさほど多くないためメンバーも固定され、働き方も同質で、業務内容も多様にはなってなかったと思います。

しかし、現代は次のよう環境で多様な働き方や人材へ対応する必要があります。

・リモートワークの普及や副業など働き方の多様化
・働く女性の割合増加と男性の育児割合増加
・Z世代の多様な価値観
・発達障害の理解促進
・人材不足による売り手市場(企業側は選り好みできない)

これを見るだけでも大変に感じます。

一方で、多様性な人材というのは使い方によっては


1.2 事業環境の変化と多様性の重要性

近年、ビジネス環境は急速に変化し、技術革新やグローバル化の進展により、企業は常に新たな課題に直面しています。この変化に対応するため、多様なバックグラウンドを持つビジネスパートナーとの協業が不可欠となってきました。従来のように同質な人材だけでチームを構成していては、変化の激しい市場で競争力を維持することが困難になっています。

特に、AIやブロックチェーンなどの新技術の台頭により、これまでにない専門性や視点が求められるようになりました。異なる業界や文化圏からの知見を取り入れることで、イノベーションを加速させ、新たな事業機会を創出することが可能になります。

さらに、多様性に対する理解が深まるにつれ、これまで見過ごされてきた才能にも注目が集まっています。例えば、ADHDへの理解が進み、その特性を強みとして活かせる環境が整備されつつあります。彼らのの特徴である高い創造性や集中力は、特定の業務において非常に有効であり、イノベーションを推進する原動力となり得ます。

このように、多様な人材を受け入れ、それぞれの特性を活かすことが、現代のビジネス環境では競争優位性を獲得する鍵となっています。企業は、従来の同質性重視から脱却し、多様性を embrace する文化を醸成することで、変化に強い組織づくりを進める必要があります。


2. 多様な人材のマネジメントでありがちな失敗

現代のビジネス環境では、多様な特性を持つメンバーで構成されるチームが増加しています。
この多様性は創造性と革新性を高める一方で、マネジメントに特有の課題をもたらします。
以下、主要な3つの課題について具体的なケースを交えて説明します。


2.1 コミュニケーションスタイルの違い

多様なチームでは、メンバー間のコミュニケーションスタイルの違いが顕著になり、誤解や摩擦を生みやすくなります。

具体的なケース
ある技術開発チームで、大雑把な物言いをしがちなプロジェクトマネージャーと、詳細な説明を好むエンジニアが協働しているケースを考えてみましょう。マネージャーが「このコードは改善が必要だ」と簡潔に伝えたところ、エンジニアは具体的に何をどう改善すべきか理解できず、不安と混乱を感じました。結果として、エンジニアは必要以上に広範囲のコードを書き直すことになり、プロジェクトの進行に遅れが生じました。

各メンバーのコミュニケーションスタイルを理解し、適切な橋渡しをすることが重要です。
例えば、マネージャーにはより具体的なフィードバックを求め、エンジニアには質問を促すなど、双方に歩み寄りを促すことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。


2.2 個々の能力特性の把握

チームメンバー一人一人の心理学的特性や個人的なニーズを正確に把握することは、効果的なチームマネジメントの基礎となりますが、これは容易なタスクではありません。

【具体的なケース1】
マーケティング部門で、ADHD傾向があるが難解な課題を与えられると卓越した解決能力を発揮する社員がいました。
しかし、上司はこの社員の特性を理解せず、定型的で単調なタスクを多く割り当てていました。その結果、社員は集中力を維持できず、タスクの完了に時間がかかり、ミスも増えました。上司はこの状況から、この社員を「使えない人間」と判断してしまいました。
実際には、この社員に複雑で挑戦的な課題を与えれば、創造的な解決策を生み出し、チームに大きく貢献できる可能性があったのです。

【具体的なケース2】
ある企業の新規事業開発チームで、ファイナンスの経歴を持つメンバーがいました。チームリーダーは彼の経歴とスキルのみに注目し、財務分析や予算管理のタスクを多く割り当てました。
しかし、このメンバーは本来、イノベータータイプで挑戦的な性格の持ち主でした。単調な分析作業が続いた結果、彼のモチベーションは低下し、期待されたパフォーマンスを発揮できませんでした。



2.3 モチベーション管理の複雑さ

多様なチームでは、メンバーそれぞれが異なる要因によってモチベーションを得るため、一律の動機付け方法が通用しないことがあります。

【具体的なケース】
国際的な研究開発チームで、金銭的報酬に強く動機づけられるメンバーと、自己の成長や社会的影響力を重視するメンバーが混在しているケースを考えてみましょう。チームリーダーが成果に応じた賞与システムのみを導入したところ、後者のメンバーのモチベーションが低下し、チーム全体の創造性と生産性に影響が出ました。



3. 多様な個性を把握するのが難しい理由

マネージャー自身はチームマネジメントをする上で、多様な人材がいることを理解してその特性に合わせた対応が必要なことを頭では理解しています。

しかし、実際には次に挙げるような要因によるそれが難しくなっています。


3.1 心理学的知見の不足

多くの管理者が、よくあるマネージャーとしての役割・心構えなどのトレーニングは受けていても、個人の心理学的特性を理解し活用するためのトレーニングを受ける機会が少ないです。

3.2 集団思考(グループシンク)の影響

チームや組織の中で「普通」とされる行動や思考パターンに囚われ、それから外れる個人の特性を正当に評価できない場合があります。
特に管理職になるような人は、能力に弱点が少なく安定している人が選ばれる傾向があります。
そのため、多様な人を実体験として理解するのが難しい場合があります。


3.3 部下自身の自己認識と表現の難しさ

個人自身が自分の特性を正確に理解し、表現することが難しい場合があります。
そのため、管理者が部下のことを知りたくてヒアリングしたとしても、正確な情報を得ることが困難になる場合もあります。


3.4 一人に向き合う時間の減少

リモートワークの増加や人材の流動化など、昔に比べて管理職が個人個人に深く向き合う時間が相対的に減少しています。
そのため、1人1人を深くする機会も減少しています。


3.5 世代間ギャップ

異なる世代の価値観や行動様式を理解することが難しい場合があります。
特に、急速に変化するテクノロジーや社会環境の中で育った若い世代の特性は、そうではない時代とは大きく異なっています。


3.6 過去の成功体験への固執

管理者が過去に成功した方法に固執し、新しいタイプの人材や働き方に適応できない場合があります。



4. 生成AIで多様な人材へのアプローチをアドバイスしてもらう

これらの課題に対処するためには、マネージャーの高度な対人スキルと洞察力が求められます。しかし、人間の能力には限界があり、特に大規模なチームや急速に変化する環境下では、全ての要素を適切に把握し管理することは困難です。

ここで、MyGPTsのような生成AIツールが革新的な解決策となる可能性があります。

AIにメンバーの心理学的特性や行動パターンをインプットすることで、個々の特性に合わせたコミュニケーションの提案や、最適なタスク配分、効果的なモチベーション管理の方法など、多様性のあるチームマネジメントに役立ちます。

例えば、ADHD傾向やイノベータータイプの社員の場合、AIがその特性に適した挑戦的なタスクや新規性のある仕事を推奨することで、マネージャー


4.1 MyGPT活用の概要

生成AIサービスの1つ、ChatGPTの機能で「MyGPT」というものがあります。
これは、ChatGPTに色々な情報や指示を事前に登録しておくことで、自分専用にカスタマイズされたChatGPTを作成できるというものです。

今回は、このChatGPTに対して部下の情報をインプットすることで、その部下の特性に合わせた仕事の割り振りやサポートの提案をしてれるCHatGPTを作成します。


4.2 具体的な画面(アップロードとプロンプト入れればOK)としておく

MyGPTの機能が実際の画面でどこにあるかを画像で紹介します。


ChatGPTのTop画面。右上のアイコンをクリックすると My GPTs が選択できる。


Create a GPTを選択して作成画面へ


MyGPTsの作成画面。 右側の"Configure"を使う。


Configureの画面。プロンプトや指示を書いておくことが可能


4.3 アウトプット例


【質問1:モチベーションが低下している要因の相談】

実際にMyGPTsに部下の情報やプロジェクトの情報などを登録し、モチベーションが低下気味のあるメンバーについての対応方法を聞いてみた結果が以下のキャプチャになります。

この回答を見ると
「疲れてるのかな?仕事を減らした方が良いかな?」

というよりも、「簡単でつまらなかったかな?もっと責任・裁量を与えてみようかな?」

という対応の方がベターであることがわかりました。


【質問2:プロジェクトにおけるタスク割り振りの相談】


5. 生成AIの注意点

ただし、今回紹介する方法を使う際に、重要な注意点と課題に留意する必要があります。

5.1 個人情報の取り扱い

従業員の個人情報や心理学的特性データは極めて機密性が高く、慎重に扱わなければなりません。
データの収集と使用に関しては、従業員のプライバシーを尊重し、明確な同意を得ることが不可欠です。


5.2 過度な信用はNG

AIは強力なツールですが、それはあくまでも意思決定を支援するものであり、人間の判断を完全に代替するものではありません。
AIの提案を鵜呑みにせず、常に批判的に評価し、必要に応じて人間の洞察と組み合わせて使用することが求められます。また、AIの判断根拠を理解し、説明できるようにすることも重要です。


5.3 人間の判断が重要

エンパシー、創造性、倫理的判断など、人間ならではの能力は、チームマネジメントにおいて依然として極めて重要です。
AIは数値化できるデータを基に判断を行いますが、職場の雰囲気や個人間の微妙な関係性など、数値化が難しい要素も考慮に入れる必要があります。

これらの注意点を踏まえつつ、AIと人間の強みを適切に組み合わせることで、より効果的で人間中心のチームマネジメントを実現することができるでしょう。


6. まとめ

いかがでしたでしょうか。
生成AIを使うことで、多様な部下に対してどういった対応がベターなのか、より専門的な知見でのサポートを受けながら相談できることがわかったかと思います。


もしも、もっとMyGPT作成方法について
・具体的にどういった情報インプットすれば良いか知りたい
・この方法を利用する上で有効な個人特性を診断する方法を知りたい
・もっと具体的なプロンプトを知りたい

など、より具体的で実用的なことを知りたい方は、以下に書いていますのでご覧ください。

・部下との良い対応方法がわかり人間関係のストレスが減るかも
・部下の仕事の遅れを自分がカバーすることが減るかも
・本来のマネジメント業務に集中できるかも

こういったことに繋がっていくと思いますので、本内容はとても有用かと思います。
※ただし、ここからは有料になります。


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