プロフェッショナル「俳人/夏井いつき」 の心に残る言葉を纏めてみた(前半)

【はじめに】
この記事では、2021年12月7日にNHK総合で放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」『17音、言葉の力を信じて〜俳人・夏井いつき』から、私(俳号:Rx)が特に心に残った言葉をまとめました。

後半の記事はこちらからどうぞ(↓)

0.オープニング:橋本さとしのナレーション

NHKの番組でありながら、冒頭いきなり民放(毎日放送)の「プレバト!!」の映像や、レギュラー出演者のコメントを流すあたり「NHKの本気」を感じます。

なっちゃんの一番弟子(?)である「おっちゃん(梅沢富美男・永世名人)」に続いて、千原ジュニア名人は、

千原ジュニア
「ライフスタイル変えられたんですよ、俺。かばんに『歳時記』入れて持ち歩くようになるとは思いませんでしたからね。(タブレットを開きつつ)」

00分20秒頃から

ナレーション:橋本さとし
「古びたイメージのあった俳句を、この人は人気のエンターテインメントに押し上げた。空前の俳句ブームの立役者、俳人:夏井いつき。」

プロフェッショナル
仕事の流儀
file:499

17音、言葉の力を信じて

1.十七音じゅうしちおん「一句一遊」二十年

なんか(現代は)SNSとかでやたらめったら人を誹謗中傷して、そういう風潮でしょう? そんなマイナスのことで生きている実感を手にするよりは、(俳句の)たった17音でもプラスのことで生きている実感を手にしたほうが建設的だし健康的だし、

05:15~05:40

5分50秒あたりから登場した、地元・愛媛で20年以上続くラジオ番組というのが、南海放送ほか(放送時点で全国5局ネット)の「夏井いつきの一句一遊」というラジオ番組です。

「プロフェッショナル」内でも映像が流れましたが、今や日本全国どころか世界中から投句が寄せられる人気番組となって、枚数では数え切れず、印刷した紙の束の「重さ」をキロ単位ではかっているんだそう。(↓)

2週間分のおよそ5000句(ナレーション)の1句1句に目を通すというのは常日頃からラジオなどでも仰っていますが、「専用フォーム」が設けられてからの選句作業の手元が映し出されたのは、初めてかも知れません。

確かに、3句が詠みやすい大きな字で、選句されていることが窺えました。(右に俳号が見えましたが、これは選句の際には伏せられているのでしょうか? いずれにしても既に選句を終えたペンの跡が見えました)

ちなみにこの番組については、私がまとめ記事を書いていますし、この番組に私も投句(挑戦)していますので、よければご覧ください。

ちなみに、番組で取材をしたプロデューサーの下北アルトさんが「よく投句してくれる方のことを覚えていますね」と関心すると、夏井組長は、ボソッと『だって(投句してくれる人は)親戚やからね』と仰って下さいました。

番組で取り上げられていたのは、2021年10月1日(金曜)の週に放送された「兼題:つゆ」の週でした。その中で、夏井組長が夫という名のマネージャー・兼光さんに意見を求めたのがこの句でした。

『牛ぶっふぁと吹きつ露さら喰らひつつ』

澤村DAZZA

ナレ:意味の分からない言葉を含んでいる1句。普通なら、選外となってもおかしくないが、夏井は『悪くないにおいがする』と語り、『たった「さら」の2音だけど、言葉の意味がちゃんと分からないまま何かいい加減な鑑賞もできないし、これ詩の匂いはするでしょ?』と続けます。

夏井:自分が理解できない句を否定しない。あらゆる句を愛すことのできる体になりたい。
例えば愛しにくい句を放られたときに、ひょっとしたら私はこの俳句の本当の良さを知らないから今 愛しにくいんじゃないかしらと思って。

9分00秒~20秒

結局、この句は、翌月のラジオの本放送で、次のように紹介され、その週の最優秀句の手前(番組内の用語で、金曜日・天そば)で披露されました。

下記リンク(有志によるラジオ聞き書き隊・落書き俳句ノートさんから画像で引用)

ナレ:伝えたいのは、評価されやすい俳句のつくり方ではなく、自分の思いを正確に表現する技術だ。

夏井:でも、(言葉を)組み立てていく作業というのは、もう本当に単なる技術。技術|は《・》身につけられるんです。

11分頃

俳句って「俳句らしくていい」とか「俳句とはこうあるべきだ」とか、そう言いだした瞬間から本当に俳句は根腐れしていくの。
みんな1人1人が私のための俳句を作れば良いわけであって、俳句のために自分を寄せる必要はないと私は思っているのです。

13分頃

そして16分過ぎには、この句を紹介している姿(ラジオ収録風景)が、ディレクターの「やのひろみ」さんの後ろ姿や、アシスタントである息子の「家藤正人」さんとともに紹介されていました。

ちなみに、後日談については、YouTube・夏井いつき俳句チャンネルでも、番組ディレクターさんとの鼎談の形で紹介されています。

2.「プレバト!!」名人ら、なっちゃんを語る

14分過ぎからは、民放のテレビ番組である「プレバト!!」について、出演者の感想を交えつつ紹介されています。(私も「プレバト!!」に関しては何十も記事を書いているので、興味のある方はぜひご覧ください)

梅沢富美男(永世名人)
「夏井先生が僕の俳句を直したときの出来の違いなんて半端じゃなくすごいですから。……『うまいな』って思わせるから人が付いてくるんですよ。」

と夏井先生のお弟子さんを自称する梅沢富美男・永世名人。夏井先生の添削には日々、感銘を受けている様です。(番組中ではキャラで吠えてますが)

お笑い芸人・村上健志(名人)
「夏井先生って厳しいことも言いますけど、褒めるのも上手なんで、そうするとその気になるというか、俳句というもの自体が好きになるというか。」

と、NHKの番組で「お笑い芸人」と肩書きを紹介されていたフルーツポンチの村上健志さんも『村上ワールド』を端的に表現する言葉が紹介されます。

お笑い芸人・千原ジュニア(名人)
「ライフスタイル変えられたんですよ、俺。この間、村上と俳句だけで1時間ぐらい喋りましたからね、一切、笑い無く。あいつとお笑いの話、1時間したことがないですからね。」

と、同じく「お笑い芸人」という肩書きで紹介されている千原ジュニアさんは、何度も「才能ナシ」の評価を受けながら、ある時「開眼」し、連続昇格の記録も樹立する活躍ぶりを見せています。

ちなみに、番組内で話題にのぼっていた「千原ジュニア×村上健志」の俳句について(一切笑い無く)1時間語った動画については、お互いのYouTubeチャンネルにアップされていますので、ぜひお楽しみ下さい!

【前半のおわりに】
言葉でしか、人と人はつながれない

夏井いつき
「誰かと誰かが分かり合えるのは、言葉以外にありえない。それはもう事実としてそこにある。もうその事実だけに、打ちのめされたのです、私は。」

17分頃

(中学教師だった20代の頃、問題児を受け持った時に)
「本当に言葉ってこれは大変なことなんだと思って。そういう子たちが世の中に山のようにいて、自分は本当は別なことを言いたいのに、そういう表現になっちゃう、大変な困難だと思って。」

自分が考えたことを、ちゃんと自分の伝えたい意味で、伝えたい熱量で、ちゃんと相手につたえることができる言葉の技術? それを教えといてやらないとこの子たちは社会に出ていったら同じことを繰り返すんだと思って。」

「とにかく『言葉の技術』をいろんな形で伝えたい、ちょっとでも育ててやりたい。」

こうした気付きを20代の頃に得、30歳で高校教師を辞して俳人となっていく過程とともに、「プロフェッショナル」で取り上げられた言葉たちを、後半では触れていきたいと思います。

ここまで私の記事をお読み頂きありがとうございました。様々な記事を投稿しておりますので、ぜひ他の記事もお読み頂ければ幸いです。以上、俳号:Rxでした。ではまたっ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?