俳句のラジオ番組「夏井いつきの一句一遊」に投句してみた(その1)

はじめに

皆さんどうもこんにちは、Rx(アール・エックス)です。

この記事では、私が「プレバト!!」に感化され、俳句に興味をもって投稿をするようになった、南海放送のラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』への参加・俳句採用歴をまとめていきます。

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もともと、自身の採用歴をまとめるページだったため、詳しい説明は割愛しますが、参考としたいリンク集を下に掲載しておきますので、知りたい方はご参照いただければと思います。

Wikipedia:夏井いつき
Wikipedia:夏井いつきの一句一遊
落書き俳句ノート(有志による過去放送の文字起こし掲示板)
一句一遊 兼題(洒落神戸さんによる兼題解説ページ)

(追記)2020年9月12日に紹介記事を作成しました。合わせてご覧下さい。

初投句(火曜日(凡人)デビュー)

2018年8月29日に『夏井いつきの一句一遊』という番組を初視聴して、投句初挑戦となった兼題が「漢字一文字シリーズ『胃』」でした。

(01)18/09/19(火)「胃」
 豊の秋胃の音拾うアフレコマイク

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歳時記から「豊の秋」という季語を見つけて連想した火曜日らしい俳句。気づけば初手から下五を崩してかかるという生意気な初投句者でしたなぁ。「どういうマイクや」と言われる始末で、組長に殆ど伝わりませんでした。それで火曜日採用なのだから、ビギナーズラック的な感じでしょうか?

(02)18/10/10(水)「渋取」
 渋取や臼搗く歌の細き声

次の採用はほぼ1か月後。2回目にして初の水曜日でした。
「渋取」という生活の季語、実感に乏しかったのですが、『細き声』と描写したことを評価していただきました。

(03)18/10/17(水)「本」
 長き夜や本因坊の大落手

その翌週で2週連続採用は「漢字一文字シリーズ『本』」。
ただ、本は、胃と比べて類想類句になりやすそうだったので、「本」のつくマイナーめな熟語を調べて、囲碁の「本因坊」に目をつけました。

(04)18/11/14(水)「産」
 寒雷や国産み神話を語る君

初投句から3か月連続「漢字一文字シリーズ」に採用される格好となった「産」の兼題は、『国生み神話』に着目して、連続しての水曜採用でした。

(05)18/11/28(水)
 蒸飯固く尾根の火頼りなく

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渋取に続き、生活の季語『蒸飯(ふかしめし)』は、実感に欠けたので、(現代において)飯を蒸すのはどういうタイミングだろう?という所から『登山』に場面設定をして必然性を出すことにしました。
8・4・5という句またがり的な感じなんですが、個人的には音韻的にも、定型よりこういう方が好きだったりもします。

初回を除いて、採用が全て水曜日クラス。更に今回は結構後半に読まれたということもあって、手応えが出てきていた頃でした。

(06)18/12/03(月)
 霜降かますや宇和海の凪の朝

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というところから、お便りとの同時採用とはいえ、まさかの『月曜』初登場にショックを受けたりもしながら、2018年は実働3か月で採用6回でした。

(金曜1)凍て空の食や殉ずる奴婢百名

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2019年1月3日、『新年の季語で作句する期間は短い』というお便り採用でスタートした一句一遊ライフ。
その翌週、自身初の「金曜日(優秀句)」採用となります。

(07)19/01/11(金1)「食」
 凍て空の食や殉ずる奴婢百名

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「食」で『食べ物/食べる』系ではない方に発想を飛ばそうと思い、『日食』というワードを思いつきました。

その翌週も水曜日クラスでの採用となり、私の投句もワンステップ進んで、「金曜日」そして夢の「天(最優秀句)」採用へと照準を当てる形に。

(08)19/01/17(木)「寒猿」
 猿さかる恐山地の奥へ奥へ

「寒猿(かんえん)」が4音で使いづらかったので、より本意が際立つ5音の傍題「猿さかる」を上五に起き、下五は敢えての字余りを起用。
この「奥へ奥へ」みたいなリフレイン、組長が(大)好きなんですよー
(プレバト!!でも一句一遊でも結構良く登場する技法です。)

ここから春クールは、ちょうど「月1ペース」での採用が続きます。
2月の採用は、自身初の「曲のリクエスト」(50年前のヒット曲)と共に。

(09)19/02/13(水)「春暁」
 一限の古典春暁の悪あがき

3月、10度目の句採用となったのが、「春苺(はるいちご)」の週です。

( 豆知識 )
今や「苺」というと春の果物のイメージですが、それは昨今、技術の進歩で春にも収穫できるようになったからだそうで、歳時記の中の季節感では「夏」の季語となり、それと区別するために「春苺」という季語が別項目で立てられているんだそうです。(これ、クイズで出しても、かなりの誤答を呼べるので重宝してますww)

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(10)19/03/13(水)「春苺」
 春苺ほのかなる石垣の熱

これ意図せずだったんですが、「石垣いちご」というのは、かなりローカルなものだったんですね(苦笑)
子供の頃、静岡県静岡市付近で「いちご狩り」をした経験に基づいた一句。ここまで殆ど「妄想」(実体験に基づいていない)句ばかりだったですが、この句ははっきり実体験がベースにあったこともあって、夏井組長からも、『これはね、現場証明ありますねえ。』と褒めて頂きました。

と言いつつ、翌週は、がっつり妄想句に戻る訳ですがww
でも、触覚などに訴えるのは大事だね、と再認識した一句です。

(11)19/03/21(木)「鶯笛」
 鶯笛の指の湿りや竹香る

そして、前回の採用から丁度1か月後の4月21日に採用されたのが、
自身2度目の「金曜日」採用となる『薊』の週でした。

(金曜2)五尺玉仕込む小屋の辺あざみ咲く

(12)19/04/21(金2)「薊(あざみ)」
 五尺玉仕込む小屋の辺(べ)あざみ咲く

夏井いつき
「『小屋の辺』というのは小屋のあたりという意味になります。
 五尺玉を仕込むんですから花火の仕込みですね。そのまわりを薊が
 取り囲んで咲いている。いつか打ち上げる花火は薊のように
 咲くわけですね。」

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この薊の花の広がる姿がどうも「花火」の広がり方と重なって見えまして。ただ勿論、「花火」と書くと明確な『季重なり』(しかも薊は晩春、花火は晩夏)なので、それを入れない形で表現するのを考えた結果、
「◯尺玉」という、季語ではないが「花火」を間違いなく連想させる言葉で『季重なり』を避けるという技法に挑戦した訳です。

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敢えて、プレバト!! 風に、自句解説をすると、

《 Rx自句解説 》
『五尺玉仕込む小屋の辺(べ)あざみ咲く』

・「◯尺玉」という言葉の「経済効率」の良さ に始まり、
・「仕込む」で、動作。花火職人の姿まで浮かんで来ます。
・「小屋」で場所と建物が浮かぶと共に、「辺(べ)」とすることで
 空間的な小さな広がりを構成することが出来る訳ですね。
・最後、季語は「あざみ」。更に「咲く」として植物の躍動感を演出。

と、持てる力をすべて出しきっての金曜採用、本当に嬉しかったです。

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そして、季節は、春から夏へ。
俳句の世界では「立夏(ゴールデンウィーク真っ只中)」を過ぎると、『夏』の季語が主になっていきます。(こういうのにも慣れつつ)

(金曜3)ピンセットの翅脆き夜の立夏かな

そして、2か月連続の「金曜日採用」となった5月の俳句がこちら。
まさに「立夏」という具体性に乏しい季語での採用でした。

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(13)19/05/10(金3)「立夏」
 ピンセットの翅脆き夜の立夏かな

夏井いつき
「蝶の翅を思いましたね。
 ピンセットの先でつまむその翅のなんともろいことかという。
 その立夏の夏がくるという息遣いのようなものを「もろき」という
 言葉に私は受け止めました。」

「立夏」ともなると徐々に夜も短くなってきます。(「短夜(みじかよ)」という季語もあるくらい)
立夏を敢えて夜でフォーカスするなら、本意を受けそういう感じかなと思いまして、こういう句にしました。では自句解説していきましょう。

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《 Rx自句解説 》
『ピンセットの翅脆
(もろ)き夜の立夏かな』
・上五で出てくるのが「ピンセット」。物のアップから始まります。
 ただ、ピンセットにも色んなピンセットがありますよね。
・句またがりで「ピンセットの翅(はね)脆(もろ)き」とすることで
 「標本」とかかな? と想像させ、
・「脆き夜」と来ることで、時間が一気に夜になります。そして、
・「翅脆き夜の立夏かな」 と、『立夏』という懐の深い季語を、
 「かな」で詠嘆して着地する。 そういう構造になっています。

ピンセットの翅(標本)と、立夏という時候の季語の取り合わせを想像した瞬間に、『これは勝った!』と正直、思ってしまいましたねww
敢えて句切れを意識せず、連続的に推移させていく手法は、先ほどの「薊」の句と同じです。 ちょうど、

・雪原や星を指す大樹の骸    千賀健永
・廃村のポストに小鳥来て夜明け 梅沢富美男
・サイフォンに潰れる炎花の雨  村上健志

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これらのタイトル戦を優勝した句のような、「1単語」ごと、情報に変化をもたらしていくタイプの句でしょうかねー

そして6月らしい季語「牛蛙」の一句。我ながら「水曜クラス」らしい一句での上半期終了でしたww

(14)19/06/12(水)「牛蛙」
 模試終えて重き鞄や牛蛙

おわりに

2018年9月に俳句を初めて作って、実働9か月での結果がこちら。

2018年下半期:採用6回、金曜0回
2019年上半期:採用8回、金曜3回

       採用14回、金曜3回

そこそこ真面目に取り組めば、1年足らずで「優秀句」に入れるような俳句も、運良く作れることがあることが分かりました。

《 宣伝 》
私がここまで紹介してきた南海放送のラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』は、「兼題」に沿った俳句なら、誰でも投句可能です!
リスナーの方のページに要項などが良く纏まっているので、そちらのリンクを貼らせて頂きます。興味をもった方は、ぜひ投句を!

そして、私(俳号:Rx)、ここから、作句2年目に突入してどうなるのか、お楽しみに!


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