デザイン事務所を始めてから、お金についての認識が変わったというお話
副業でデザイン事務所を始めて、もうじき4カ月が経つ。おかげさまで売り上げが順調に伸びている、という話はすでに何度もした。ありがたいことに定期的な動画制作の案件を頂戴して、これが月に¥100,000~の売り上げになっている。単発の案件も安定して受注しており、数万円のプラスオン。サラリーマンの副業としては、上々の稼ぎだ。恐ろしいほど忙しいけど、なんとかやれている。それはきっと、やらされている仕事ではなく、自分でやりたくてやっている仕事だからだろう。
で、デザイン事務所で得た稼ぎのぶん、貯金がはかどるかな~、と最初は気楽に考えていた、んだけど、結論からいうとそうはならなかった。ええと、単に金遣いが荒くなっただけだった。具体的にいえば、酒の量が増えた。うーん……まあ、予想はできていたのだが……。
たとえば、何十億も稼いだ経営者が、毎晩のように夜の街で豪遊して、事業が傾いたとき一気に没落して無一文になった、みたいな話、よくテレビでやっていませんか。で、それを観ている人は、思うわけだ。
「何十億も稼いだら、それを堅実に手元に置いて、あとは悠々自適に過ごせばよかったのになあ。死ぬまで困らない財産はもうあるじゃないか」って。
じつは、ぼくもそう思っていた。でも、そこまで稼いでるわけでないにせよ、個人事業を始めてみたら、破産した経営者の気持ちだとか事情だとかが、すこしだけわかるようになったのである。
すなわち、人間は一度大きく稼ぐ→大きく遣うのサイクルに入ったら、もう自分の意志では止められないのだな、と。
というのも、お金を稼ぐこととお金を貯めることは、相反する概念でけっして両立できないからだ。節約や貯金は美徳だ、という昭和の価値観を引きずる人は、若い世代でも根強くいる。会社でいえば、たとえば事務畑の人たちなんか、やれ裏紙を使えだとか、やれエアコンの設定温度がどうだとか、言いがちですよね……。ただ、経験上、こうした節約の嵐が吹き出すと、その会社は早晩、必ず傾くことになる。お金を遣わない方向に舵を切ると、その先に停滞と縮小しか待っていないからだ。「贅沢は敵だ」をスローガンにしたどこかの国は、先の大戦で大惨敗を喫している。節約を意識しだしたら負け確。クソデカ前例があるんだから、いい加減学んだほうがいいだろう。
これはなにも企業だけの話ではなく、個人単位でも、同じことがいえる。激安スーパーをめぐって買い物するだとか、映画は観に行かない、服を買わない。水道代を節約したくてトイレを流さない人間なんかもいたなあ。きわめつけは実家暮らしで、誇りにするのは預金残高。そうした人間はどこにでもいるが、総じて聡明とはいいがたい。
そもそもきょうび、銀行預金自体が、時代にそぐわないものになっている。賢明なる読者諸氏なら、銀行預金の金利の推移についてはご存じだろう。日本銀行の統計では、1990年と1991年の1年物定期預金の金利が6.08%。これが2021年になると、金利が最も高いとされるネット銀行、SBJ銀行とオリックス銀行で0.15%。みずほ銀行のスーパー定期に至っては驚異の0.002%だ(スーパー低いという意味だろうか? ネーミングはもう少し考えたほうがいい)
利率は低いうえに、振込や引き出し、通帳発行など、各種の手数料は値上がりする一方。なにより、インフレが進み物価は着実に上がっている。
つまり、いまは銀行に預ければ預けるほど預金は確実に目減りする時代なのだ。昭和や平成初期ならいざ知らず、この令和の時代において銀行に預金するインセンティヴは、なにひとつないといえる。
お金というものは、コレクションして眺めて楽しむ遊戯王のレアカードではない。投げ捨てて初めて、価値が発生するのだ。銀行預金なんてものは、いちばんの死に銭。無限の可能性をわざわさ墓場に埋めて満足しているもおなじである。
それはたとえるなら、せっかくのレーシングカーを、走らせもせず錆びつくまでガレージに飾っているのに似ている。たとえば、手元に100万円あったら、ぼくらはなにをすべきだろう? 手堅く銀行預金? 浮かれず、さらなる節約・倹約? まさか。投資か起業の二者択一だ。
ランチを菓子パンにして500円を節約。マイボトルで100円を節約。喫茶店でのお茶を我慢して300円をさらに節約。バス代を節約して自転車通勤、往復500円の節約。ぜんぶ庶民がやりがちな生活習慣で、気持ちはとても理解できる。ぼく自身、そうしていた時期がある。だけど、いつか勇気を出して、そうした習慣は段階的にやめるべきだ。
100円、200円を節約することを考えるより、1万円、2万円を稼ぐために勇気をもって動きだすほうがはるかに効率的だし建設的である。喫茶店でのコーヒー代400円をしぶる人は多いだろうが、それはサラリーマン特有の悪しき発想だ。喫茶店にパソコンを持ち込んで動画編集なりライティングの仕事をすれば、コーヒーも飲めて5,000円からの稼ぎになりコーヒー代は経費で落とせる。個人事業主の立場でいうと、むしろ喫茶店でコーヒーを飲まないのは損だ、という話にならないか。
お金を無駄遣いすることを恐れてはいけない。お金は遣わなければけっして増えないのだ。大きく稼いで大きく遣う、その高速回転を如何にコントロールするかが大切なのである。
かくいうぼくも、Yellow Houseで得た利益はガンガン自己投資につぎ込んでいる。新しい教本を買い、新たなスキル構築に励んでいる。どんな分野でも、停滞は後退にほかならない。今後はweb方面を強化して、動画と併せて収入の二本柱にしていきたい構想だ。パソコン周辺環境の整備もそうだし、飲み歩いて知見や人脈を築くことも、けっしておろそかにはできない。
要は、稼ぎを貯金にまわしたところで税金で持っていかれるだけなので、稼ぎはすべて経費の扱いで投資したほうが効率的なのだ。それはさらに多くの利益を生むことになる。
多くの経営者はそれを知っていた。だから、お金を遣うのをやめなかった。そして遣ったからこそ、さらに多くのお金を得た。惜しむらくは、そのほとんどがお金の高速回転に飲み込まれて破産していったわけだが。
Yellow Houseはそれを見てきたから、失敗はしない。大丈夫、きっとうまくやる、し……そもそもそんな……コントロールできないほど大きく稼げてるわけでもないので……ええ、なんかすみません……、
まあ、ぼちぼちやっていきますよ。
名著。
貯金をするのは馬鹿、という考えは堀江さんの影響でもある。
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