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見るのは得意だけど、見方は上手じゃない!?

よこはま発達相談室の佐々木です。いつも記事をお読みいただき、また「スキ」「フォロー」「シェア」してくださっている皆様、ありがとうございます。シリーズで書かせて頂いている"ASDの方の認知特性"について、前回は”ASDの方は目で見て理解することが得意です”と解説をさせて頂きました。今回は”見るのは得意だけど、見方は上手じゃない”という前回お伝えしたことと矛盾するようなテーマですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです(なお、過去のシリーズは文末にリンクを貼っておきますのでご関心あればご一読ください)。

実は大切な”注目する力”

”注目する力”というと大袈裟かもしれませんが、僕らは無意識に色々な物事に注目しています。例えば、今皆さんの目の前に1枚のメモを誰かが持ってきたり、飲み物を差し出されたりしたらどうでしょうか?多くの方は、チラッと見るだけではなく、メモに何が書いてあるのかを見たり、飲み物を見たりするのではないでしょうか。その上で、必要があればこの記事を読むのを一度止めたり、飲み物を飲んだり、あるいは記事を読み続けるという判断をすると思います。このように、目の前の情報に注目する、注目し続けるということを僕らは自然にしています。でも、ASDの方は、この注目する力に不得手さがあると言われています。つまり、目の前にメモを出しても全く気に留めない方も中にはいるということです(そうではない方ももちろんおられます)。その時には、”無視しているのではなく、そもそも気がついていないのではないか””本人にとっては意味がない情報なのではないか”ということを僕らは理解しておく必要がありそうです。例えば、療育場面では「スケジュールを使ってみましたが、全然見ません」と見聞きすることも少なくありませんが、この注目する力も関係しています。もちろん、それだけではなく、提示の仕方、内容等も大きく関係します(=ご本人にとって意味があるかどうか)。そうすると僕らは、その方にとって、どのような情報が意味があるのか何なら見てくれるか、どう伝えたら見て理解できるかということを探っていく必要があると思います。また、人によっては、見て欲しい(また、どこを見て欲しいか)ということを具体的に伝える(あるいは目立つようにする、情報を絞る)必要もあるかもしれません。こちらが伝えたいルールだけを箇条書きしたメモは見なくても、好きな料理のレシピ(手順)はよく見る方もおります。つまり、ただ見せれば良いわけではなく、見せ方にはコツやポイントがあるということです。

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