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共感します。でも、十分な考察が必要です。

よこはま発達相談室の佐々木です。いつも記事をお読みいただき、また「スキ」「フォロー」「シェア」してくださっている皆様、ありがとうございます。シリーズで書かせて頂いている"ASDの方の認知特性"について、前回は”ASDの方のプランニング”について記事を書かせていただきました。今回はだいぶ間が空いてしまったのですが、「相手の気持ちを推し量る力」について書かせていただきます。宜しければ、最後までお付き合い頂ければ幸いです(なお、過去のシリーズは文末にリンクを貼っておきますのでご関心あればご一読ください)。

心の理論【セオリー・オブ・マインド】って?

心理学用語で、”心の理論”というものがあります。そして、ASDの方々は、この”心の理論”が不得手であると言われています。では、”心の理論”とはなんでしょうか。端的に言えば、「相手の意図や気持ちを読む力」のことです。僕たちは、誰かとやりとりをするときに、相手の口調、目、表情、身振り、態度などから、自然に、相手が今何を考え、どう感じているのかを推測しています(もちろん見当違いになってしまうこともありますが)。そのため、「今、これを言うと怒られそうだから、あとで言おう」、「あ、なんか伝わってなさそだから、少し言い方を変えてみよう」、「今は忙しそうだから後で話しかけよう」などを、相手に言われなくてもその場その場で判断し、できるだけ円滑にやり取りができるようにしています。

ASDの方の心の理論は?

"定型発達の人はわかるのかもしれないんですけれど、言われていないことを察しろというのはエスパーというか超能力に近い感覚があります。それが自分の特性だと思うのですが"

ある時、このように教えて頂いたことがあります。一方で次のように教えて頂いた方もおりました。

"昔からすごく気の利く子どもだったらしいです。今も相手にはとても気を遣っており、よく気がつくねって言われます"

一見すると真逆のお考えなのですが、僕はどちらにも心の理論の不得手さが関係しているように思います。前者は、ご理解頂きやすいのではと思いますが、後者はどうでしょうか?

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