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vol 7. Black Lives Matterの誕生と特徴

vol 6.ではBlack Lives Matter(通称BLM)誕生のきっかけとなった,黒人射殺事件を取り上げました。今回vol 7.では,BLMの発足と彼らが用いてる様々な抗議手段についてまとめていきます。

BLMの創設者

まず,BLMの創始者を紹介しましょう。Patrisse Cullors氏,Alicia Garza氏,そしてOpal Tometi氏の3人です。1950-60年代の公民権運動と大きく異なる点は,まずこの創始者3人ともが黒人女性であるということです。また,Cullors氏とGarza氏の2人はQueer Black woman(クィアの黒人女性)です。公民権運動も盛りを過ぎ,1970年代に生まれ黒人女性の社会進出を目指す団体Combahee River Collectiveが"Intersectionality"という言葉を作りました。これは,差別の構造は多層的で交差しているという概念を示し,例えば黒人であり女性であり,かつ性的マイノリティであるというのは当時のアメリカ社会においては最も抑圧されていた人々だったのです。そして,現代のBLMではそのQueer Black womanを含めた黒人女性が運動を始めたことに大きな意義があると考えます。3人の詳細はBLMのホームページから知ることができます。

SNSで広がる#BLM

また,このBLMの特徴としてSNSを通じて運動が広まっている点が挙げられます。TwitterやFacebookのおかげで,誰もが運動に参加できるようになっただけでなく,誰もが実体験を拡散できるようになりました。特に,警官による暴力や日常生活で感じる白人優位社会の脅威などを共有することで,オンライン上での繋がりを強めていきました。BLMにおけるSNSの役割について,米・Wired誌が良い記事を公表しています。

また,公民権運動期においてもメディアは強い影響力を持ちました。南部での運動や過激な暴動が報道されることで,世界中からアメリカに非難が殺到し,合衆国政府として軍を派遣し対処せざるを得なくなった場面はいくつもあります。その,メディアの力がまさに発揮された事件が1963年にアラバマ州バーミングハムで行われたバーミングハム闘争です。この運動を鎮圧すべく,Eugene Bull Connor警察署長は消防用の高圧放水と警察犬を用いました。これらの非人道的な映像は瞬く間に世界中に報道され,市の差別的な法律を変えさせる決定打となりました。

SNSが暴く警官暴力の実態

現代では,携帯を持つことで警官による暴力が振るわれている瞬間を捉えることを可能にしました。その最たる例として,2016年7月6日,ミネソタ州で白人警官によって射殺された当時32歳で一児の父だったPhilando Castile氏の事件が挙げられます。車両後部ライトの故障で呼び止められ,免許証を取るためにポケットに手を入れた瞬間にCastile氏は撃たれ,そして助手席に座っていた恋人Diamond Reynolds氏がその映像をFacebookでライブ配信しました。その映像を英・The Guardian紙が掲載しています。

人種差別を演劇で訴える

また,Patrisse Cullors氏はシアトルにおける人種暴力を社会に訴えるために,演劇という手段を用いました。そのドキュメンタリー映像がアップロードされているので,ぜひご覧になって見てください。

次回は,BLMの活動家が行った抗議運動の例をもっと紹介します。それでは,またお会いしましょう。

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