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現代短歌

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2024年6月の記事一覧

覚えてる?ちゃぽりたんとか似せものが本物の顔した月の部屋

覚えてる?ちゃぽりたんとか似せものが本物の顔した月の部屋

「なぁなぁ都会に比べたらこの町、空広すぎるし、星多すぎるし、コンビニの駐車場広すぎるし、ここ月の裏なんちゃう?」

そう言いながら夜空を見上げて後ろ向きに歩いた。

スーパーの袋には13円で買ったちゃんぽん麺がふたつ。

お勤め品のキノコや2割引のベーコンや野菜の切れ端をケチャップで炒めて作ったナポリタン風。

「ちゃんぽりたんって言うらしいで。」

「うそやん。」

「ほんとやって。」

そんな

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名前など知らない鳥が告げる朝。一羽ずつに名前をあげたい。

名前など知らない鳥が告げる朝。一羽ずつに名前をあげたい。

白んで行く空は、季節によってその時間帯を変える。

それに合わせて鳴き始める鳥達。

カーテンから差し込む光より先にその歌声が朝の訪れを教えてくれる。

一体どんな鳥が鳴いてるんだろう。
寝惚け眼でぼんやりと考える。

鳥という種類で呼んでしまうけれど
本来は、それぞれに命があるんだよなぁと考えながら。

一羽ずつに名前をあげて暮らしてみたい。

そんな想像をしてみる。

そんな事が出来たら
もっ

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「目を閉じて。海が見えるよ。」耳たぶを包む指の形を覚えて

「目を閉じて。海が見えるよ。」耳たぶを包む指の形を覚えて

水の中に潜った音が聞こえる。

目を閉じて耳たぶを包みこみ
海に潜った光を想像する。

見たこともない海街の情景が浮かんでくる。

そうやって旅をしてみる。

不思議だ。

身体は、体感を知っているから
今何処に居たとしても
その感覚を思い出せるから。

そんな風に生きてきた事を確かめてみる。

そんな事が嬉しいと喜んでみる。

「目を閉じて。海が見えるよ。」耳たぶを包む指の形を覚えて

例えば

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