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徳久 望/Nozomi Tokuhisa
2024年9月18日 21:55
「誰でもいいなら、誰かで埋めてよ。」そう言って、彼女はジントニックに口をつけた。午前2時。常連客がちらほら残っているだけの店内は、薄暗い。彼女の隣に座っている僕は、返す言葉を見つけられず、ただ耳を傾ける。「でも、結局さ、私じゃないとダメな場所なんてないんだよね。誰でもいい場所に、たまたま辿り着いただけ。それを運命だなんて嘯いて、適齢期だからって結婚して、不倫は文化だなんて都合のい
2024年10月2日 17:40
ハイボールを飲んでいる。ディワーズというスコッチウイスキーの。すっきりとした味わいで飲みやすい。ただいまライブのリハーサル終わり。今宵は、バーライブ。ライブの前には飲んだり飲まなかったり。いやほとんどの場合は、飲まない。やっぱり多少なりとも演奏に支障があるから。でも今日は、ソロライブ。飲みながら色んな話をして歌を歌いたい。人の身体って実直だよね。そんな事を思いながらグ
2024年8月13日 18:56
「色に例えると透明じゃない?」遠くに引っ越した知り合いが手土産で持ってきたバーボンウイスキーを飲みながら、そんな矛盾した事を呟いていた。それなのにも関わらず。「でしょ。ほんとに。そうだね。」と、その人は、頷くのだった。「まるくて、透明。」琥珀色の液体を飲みながら、味をそう表現する。お酒を飲む事が好きなのは、例えばそんな言葉を分け合えるからなのかもしれない。味に硬さやまるさ
2024年3月11日 18:33
深夜二時の帰り道。その日は落ち込んでいる人と会っていた。心のチャンネルを合わせて言葉をポツポツ。相槌をうんうん。人が人に出来る事って少ない。だからちゃんと出来る事は、したいよなぁ。なんて思い返しながらとぼとぼと歩く。そんな帰り道。その”気”から抜けられない気がしてハイボールを一杯。いつもの店へふらり。ディワーズのソーダ割りをチビチビと飲んでいると隣の席の定連さんが不意
2024年2月22日 19:53
ひとり旅が好き。知らない街をふらふらと思いのままに歩き出す。全てのことが新鮮で意識の向かないところまで細胞が何かを感じようとしている。そんな体感を得て楽しい。九州に住んでいるけれど先日関西でライブをする為にたまたま神戸三ノ宮に立ち寄った。今日は、直感で飲む会を開催するぞと思い立ち。ふらふらと飲み屋街を歩く。ここには、何があるんだろう。どんなお店がどんな価格帯でどんな