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今週消費した10のこと レディ・ガガが魅せたリスペクトの在り方/有害な男らしさ

・そのジョーク、笑う必要なし

ウィル・スミスが妻ジェイダの脱毛症をジョークにしたコメディアンのクリス・ロックをビンタしたこと、「ドライブ・マイ・カー」の濱口監督のスピーチ持ち時間が極端に短かったことなど、あまりにも残念なことが記憶に残った今年のアカデミー賞。

世界が注目しているアカデミー賞で堂々と人種差別的な言動や行動、暴力行為が行われていることに心底ムカムカした最低な1日でしたが、そんな中で目にしたニューヨークタイムズの「ジェイダ・ピンケット・スミスはジョークを笑って済ます必要などない。あなたも無理に笑う必要などないのです」という記事にとても共感しました。

ホイットニー・ヒューストンやジャネット・ジャクソンなどの過去を例にし、今までどれほどの非白人女性がその見た目をジョークにされ侮辱され、無礼を受けてきたかという切り口の記事で、コンスタントにジョークのターゲットにされる人たちが、一生その屈辱に耐えるのは、無理だ、という内容に繋げていました。

セレブや公の目にさらされる仕事をしている人たちは、ある程度の批判や嘲笑いに合うことは避けられないのかもしれませんが、ジェイダのように今まさに最前線で人種差別的ジョークを受ける人が真正面からこの問題に向き合い、冷静さを装い笑って見過ごすのは大変な努力が必要なことは容易に想像できます。
なので、当事者ではない私たち視聴者も、こうした問題を声高に指摘していかなくては変化は起きない、と実感したアカデミー賞でした。

・有害な男らしさ

ウィル・スミスのビンタについて、私の周りには肯定する男性もチラホラいて、男になったことのない私には全く理解できない男らしさが存在することに驚いたのですが、どうやらアメリカでもウィルのビンタを肯定する人とそうでない人に意見が分かれている模様。

この記事には、社会の中には「男性が暴力で仕返しする」ことが「男らしさだ」という凝り固まった考え方存在し、「有害な男らしさ」「toxic masculinity 」を社会全体が受け入れる可能性があることを証明したのがウィルのビンタだった、という一節がありました。

私たちはこの件によって、笑えないジョークや「有害な男らしさ」について考えを改める機会を得たように思います。

・レディ・ガガが魅せた、人を敬うということ

ハリウッドの重鎮ライザ・ミネリと共にプレゼンターを務めたガガ。
ミネリの手は常に震えていて、スピーチ原稿を読むことも難しそうな状況の中、ガガが機転を効かせミネリの手を取り「I got you」と一言。
そして「私がレジェンドであるライザと仕事ができるのがどれほど最高だと感じているか、皆さんなら分かりますよね」とスピーチ。

僅か1分の間にガガが魅せた親切さ、お年寄りに対するリスペクト、そして人間が持つ心の温かさに胸がいっぱいに…!!殺伐としたアカデミー賞でしたが、ガガの周りには優しい空気が漂っているようでした。

・春を感じる白菜の蕾

冬に結球しなかった白菜を残しておくと、春、茎をのばして蕾をつける、と映画「リトル・フォレスト」で知ってから、食べてみたかった白菜の蕾。

白菜を育てた人だけが味わえるおいしさが詰まっているように感じ、春が訪れるのをジーッと待った甲斐がありました。

・蕾菜、マイラブ


リトル・フォレストで見た「塩マスとノビルと蕾菜のパスタ」。
「スパゲティのかわりにジャガイモで炒め物にすれば、おかずにいいかも」というセリフがあり、それらしき代物を夕食に。
つまるところ、アブラナ科の蕾ならなんでもおいしいのではないか、と思える一品でした。

•春は何かを始めるのに良い季節

冬を越してから収穫しようと土に残しておいた野菜を全て掘り起こし、耕しまくった今週。全身筋肉痛になりましたが、春のような風が爽やな1日で、なんとも心地良い疲労感でした。

・旬を味わうせせレシピ

その季節の旬の食材を存分に味わえる渡辺康啓さんのレシピは、まるで日本の四季が写し出されているようです。
「毎日たべる。家で、ひとりで。」を拝読し、収穫した小松菜で「豚と小松菜の生姜炒め」を夕食に。一瞬にして過ぎていく季節のうつろいを口いっぱいにとらえた気がしました。

・三食ごはん 山村編

「料理は文化」だと感じられるところが好きで見始めたのですが、作ってみたい韓国料理が沢山でてきて、とにかくワクワクします。

・必ず誰かが助けてくれる

人は生きている限り、必ず穴に落ちる。みんな誰かと繋がりたいと感じているのに、なぜか1人きりで穴に落ちる。そして、穴に落ちたことで今までと違う目線で物事が見え始め、今まで生きてきた世界とは周波数が合わなくなります。
見えていたものが見えなくなり、聴こえなかったはずの声が聴こえてくる。今までの人生って何だったのだろう、と穴の中で1人きりで後悔しなくてはならないかもしれない…。

物語の結末は「自分を殺してまでも、人と同じことをして世の中の標準に合わせなければ生きていけない社会」を象徴しているようで、胸が詰まりました。

「人と同じこと」をして生活することが幼い頃から苦手だった私は、無意識にあさっての方向に1人で突き進んで勝手に穴に落ちるということを繰り返した結果、ある程度の年齢になった頃には「あの人、変わっている」といわれるようになり、結果的に結構孤独になったりした時期もありました。

とはいえ、穴に落ちる前と後では物事の見方が少し変わり、人と違ったとしても自分の好きな道を選び人生を謳歌しよう、と決心できたのは最後に落ちた穴から引き上げてくれた人が「大丈夫だ」といってくれたから。

穴に落ちても必ず誰かが手を差し伸べ引き上げてくれるのだから、死んだりしない、大丈夫なんだ、と心から思えた、かけがえのない大切な1冊になりました。


・デルタクロンって?

デルタとオミクロン株の要素を合わせ持ったリコンビナント・ウィルス「デルタクロン」が世界各地で見つかっているようですが、さほど問題視されていない模様。

ところで、Consider this from NPRは、アメリカ全国規模の非営利団体National Public Radio が配信している、最新のニュースや政治などの深い話が聴けるポッドキャストです。
その道のプロを呼び、とにかく分かりやすく興味深く語ってくれます。

アメリカでは昨年12月中旬からBA.2が蔓延し始め、今でも毎日700人近い人がCOVID-19 により亡くなっています。

全く終息する見込みのない中、ついにFDAは50歳以上の人の通算4回目ワクチン接種にゴーを出したのですが、アメリカ連邦議会は追加のCOVID-19 支援金(治療費含む)を拒否。現在、健康保険未加入のCOVID 患者用に$9.8M(およそ12億円)の予算が残っているそうですが、医師たちは不足を訴えていました。

日本の国民健康保険も破綻寸前だと言われていますが、「最大多数の最大幸福」という目標からみると充分に機能しているようにも思える。
ですが「超最先端医療」という点からみると、アメリカがワクチン開発を可能にしたのは医療も資本にしているからなワケで…。
なんとも複雑な気持ちになったポッドキャストでした。


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