小説 開運三浪生活 27/88「適性無視」
文生は三年生になった。高校生活後半からの巻き返しを期したまま、実態は相も変わらず劣等生のままだった。五教科全体の偏差値は毎回40代の前半をさまよい、肝腎の数学と化学と生物に至っては、偏差値30代とまったくお話にならないレベルだった。記述式の模試になると答案に何も書けなかった。試験中は退屈で、苦痛で、やるせない時間だった。そのくせ、センター試験でしか使わない国語と地理は無駄に快調だった。まったく勉強しなかった現代文は長文読解問題が好きで、自分が読んだことのない小説やらエッセイや