小説 開運三浪生活 3/88「されどオリエンテーション」
公共政策学部の講義室に入ると、すでに七、八人の学生がオリエンテーションの開始を待っていた。留年するような不真面目なヤツはどうせ男子だろう――と自分のことを棚に上げて文生は決めつけていたが、女子も数人いた。さっと見渡したところ、幸い顔見知りは見当たらなかった。文生は心底ほっとした。
「あれ? ひさしぶりじゃん!」
「てっきり辞めたのかと思ったっけよ」
「いったいどこ行ってたの?」
そんなごもっともな質問攻めに遭うことを、文生はゆうべからひどく怖れていた。彼の顔は無表情だが、