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小説 開運三浪生活 86/88「走馬灯」

三月八日の正午近くに、文生は広大西口のバス停を降りてキャンパスに入った。合格発表まではま二十分ほどの時間があった。

春休み中でもあり、キャンパスのなかでも外れの南西端のエリアだけあって、学生の数はまばらだった。時折り西図書館を出入りする学生が目につく程度だった。文生は総科棟と学食の間に配されたベンチに腰掛け、その時が来るのを待った。

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