本の棚 #103 『販売魔女と死の眼鏡』
『販売魔女と死の眼鏡』
竹内謙礼
「お客様の心の声が読める眼鏡」は
どうやら魔女の世界でつくられた代物らしく
経営不振の鞄屋さんの店主のもとに
突如現れた。
(炒めていた焼きそばの中に突然…)
魔女から丁寧にその眼鏡の能力の説明を受けた店主は
「これがあったら百人力やん」
とばかりに魔女に返却するどころか
接客で使いまくる始末…
お客様の心の声が聞こえることで
最初はうまく販売できていたが、
時が経つにつれて…あれ?様子がおかしい。
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「ビジネススキルの高い人は、多くの人の意見を聞き過ぎないように、情報の量と質のバランスを取ってコントロールしているのよ」
魔女の一撃、いや、魔女の一言。
誰でもかれでも意見を取り入れるのではなく
この人だ、と思える人たちの意見を
バランスよく収集して、適切な判断をする。
この人だ、という基準は
居心地がいい人、優しい人、仲良い人…
そんなものではなく、
成果を出している人
であるべきだろう。
またお客様の声についても同じことが言える。
すべてのお客様の声に反応しまくっていると
成果は出にくいように思う。
つまりお客様に喜んでもらうことができない。
自分たちが幸せにすべきお客様の声に集中し
そこに対して真摯に対応していくこと。
「バカね。客を喜ばすには、自分が儲からなきゃダメなのよ」
お客様の望み通り、商品を安くすれば
それでみんな幸せになれるだろうか。
品揃えを増やせば、満足してもらえるか。
残念ながら…そうはいかないのだ。
近江商人の教え「三方よし」のように
お客様だけのことを考えても
商売は続かない、続かないということは
サービスを継続できないから
結局お客様も不満足になる。
利益を得ることは決して卑怯なことではない。
適正な利益を得て、その利益をもとに
お客様に還元できる仕組みがあれば
良い循環になっていく。
手間と時間のかかる販促は簡単にマネできない
「セール、値引き」は簡単だ。
簡単だからこそ、その麻薬的な力から
抜け出せなくなってしまう。
もはやセールをしなければ売れないという
負のスパイラルに陥っている小売店も
たくさんあるだろう。
価格だけではネットと比較されて
逃げ場がなくなることはわかっているのに。
それ以外の簡単にはマネできない
手間と時間がかかる販促はないか。
最初は効果が出ないかもしれない。
そういうものはジワジワとくるのだ。
リアル接客もそうだろう。
人と人とが接して、笑い合い、感動して
「また来よう」「家族に話そう」
そんな気持ちと行動を起こさせる。
客の声を“超える”
耳を傾ける戦略から、それを超える戦略へ。
「こんなものがほしい」
「こんなサービスがほしい」
その声に単に応えるだけでは
大した成果は出ない、そして感動もない。
想像力を働かせて、声の奥にある
お客様すら気づいていないところに
思いを巡らせてみよう。
そこから導き出されるこたえは
レベルの違う体験や感動を
お客様に与えることになる。
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