矢田石材店

愛知県岡崎市で1955(昭和30)年に創業。 理想のお墓づくりをお手伝いします。 「は…

矢田石材店

愛知県岡崎市で1955(昭和30)年に創業。 理想のお墓づくりをお手伝いします。 「はなえみ墓園」「お寺でおみおくり」「愛知県石材リサイクルセンター」などを運営。 お寺さまと一緒にみなさまの不安を解消していきます。 ☞https://www.yatasekizai.com

最近の記事

<第1章:その5>祖父との対話で立ち直る

 いちばん大きな決断と言えば、父が失敗して倒産したときに墓石屋を続けるのか、それとも別の会社に入ってしまうのかどうか、の選択でした。父には大きな借金(帳簿上で1億円くらい)もありましたし、当然、妻も生活のために働いてほしいと言いますし、ひじょうに迷ったのは事実です。  借金は父の借金ですから私は知らぬ顔で別の会社に入って生活してもよかったでしょうが(事実、友人たちからは、そちらをすすめましたが)、知り合いに借金を残したまま、のうのうと私だけが暮らしていくことはできません。  

    • <第1章:その4>お墓の前で心を浄化する

       現代人はさまざまなストレスを抱えています。先の見えないもやもや感、不安感、焦燥感は、昔の人に比べて、絶対に多くなっていると思います。  父の会社が潰れた話はしましたが、そのときに私自身も半年くらいまったくお金を稼げず、たいへんな貧乏をしました。結婚していましたが、生活費にも事欠いた時期がありました。妻が車をぶつけられて、補償でもらったお金で食べているようなときもあったほどです。  そんなある日、たまたま妻と買い物に行ったときに、流行の小龍包屋さんがあって入ったのですが、結構

      • 「転ばぬ先の杖」となる

        江戸時代に栄えた尾張名古屋の寺町に高顕寺はある。大きな寺院や歴史ある神社など、多くの神社仏閣が集まる地域の一角で生まれ育った、38歳の加納慈孝副住職は、「仏教は面白い」という。「仏教離れ」「寺離れ」などと言われる昨今、仏教は「転ばぬ先の杖」と穏やかに語り、お寺にいろんな人たちを迎え入れたいと考えている。 清州越と尾張徳川家 ――高顕寺は伏見通に面して、西大須交差点のすぐ南と、名古屋市の中心部にありますね。 「この辺りは寺町として整備された地域で、高顕寺はその中ではちょっ

        • 「ハネタク」ココロのストーリー

          矢田石材店の季刊誌『Hanaemi』の陽春号を発行しました。巻頭の連載企画『ココロ、やどる。』に登場していただいたのは、今夏のパリ・オリンピック代表、カヌー・スラロームの羽根田卓也選手。5度目のオリンピックを迎えるベテランアスリートの「ココロ」のストーリーです。 5度目の五輪へ、見えたものは? 羽根田選手は、矢田石材店のある岡崎市と同じ愛知県の豊田市出身。両市は南北に隣接している西三河の街で、まさに地元のトップアスリートです。気持ちを込めたものや経験、場所などについてお話

        <第1章:その5>祖父との対話で立ち直る

          「生きる」を考える大事なきっかけ

          愛知県豊田市の松平郷にある真宗大谷派の専光寺。ご住職の華埜井究(はなのい・きわむ)さんは、この山間の集落にある、壮大な大屋根の本堂を持つ寺院を守ってきた。軽快で洒脱な語り口の間から、襟を正して仏教に向き合ってきた自負、熱さが伝わってくる。「葬式坊主と言われることを恥じるな」という。 徳川ゆかりの街道にある集落 ――専光寺の周辺はとても自然が豊かなところですね。 「松平の滝脇町は、豊田市と岡崎市との境にある山の中の集落です。地元の滝脇小学校が野鳥の保護活動で日本一の表彰を

          「生きる」を考える大事なきっかけ

          <第1章:その3>どこでも戦える自分になれる

           お墓参りは故人との対話の場でもあります。生きていく上での強さは、お墓参りをして故人と対話をし、先祖を尊敬し、最後には先祖に身をゆだねることからも湧いてきます。  私の場合には、母へのお墓参りなのですが、身辺の出来事を細大漏らさず報告します。子どもが小学校に上がったこと、仕事の状況、最近出張が多くなったこと、少し体重が増えてきて悩んでいること、などなど。どんなことでも、正直に、思いのままに報告できるのがお墓参りのいいところです。  報告もしますが、お願いもします。こういう目標

          <第1章:その3>どこでも戦える自分になれる

          <第1章:その2>死ぬな、生きて帰ってこい

           日本では、江戸時代、一つの家を社会の最小単位としてとらえ、それを基本にコミュニティが形成されていました。それは明治・大正と受け継がれてきたのですが、一挙に変化したのは太平洋戦争に負けて実質的にアメリカ支配が行われるようになった戦後です。  社会も家も分解されて、個というものにバラバラにされてしまいました。戦前があまりにも国家支配の強い社会であったために、その反動もあって、個人を尊重する風潮は社会の隅々にまで行きわたりました。  しかし、何ごとも行きすぎはよくありません。今は

          <第1章:その2>死ぬな、生きて帰ってこい

          イラスト御朱印で戻った風景

          愛知県豊川市の浄泉寺(浄土宗)は、知る人ぞ知るお寺だ。林志宏住職(45)はイラストレーターで、住職の描いた萌え系イラストが入った毎月の御朱印は、遠方から整理券を求めて徹夜で並ぶファンもいるほど。大きな体で趣味のバイクにまたがり、笑顔がはじける林住職は、お寺の縁を広げるイラストの力を感じている。 河口の近く、水害で資料が散失 ――浄泉寺の歴史を教えていただけますか。 「1492年に創建されたのですが、詳しい経緯とか逸話は資料が水害で散失してしまって分からないんですよ。先々

          イラスト御朱印で戻った風景

          <第1章:その1>墓碑は命の有限を教えてくれる

           今の日本を救うのは、お墓参りしかありません。  このことは重要なフレーズなので、私は何度でも繰り返したいと思います。  たとえば、現在のわが国では、命を大切にすることの重要性を若い人たちに伝えなくてはなりませんが、命は大切だと、いくら声高に叫んでみたところで、なかなか伝わりません。しかし、お墓参りに行くことで、命が有限であること、だから大切にしなくてはいけないことがよくわかるのです。  その理由を、弟子の事例で申し上げます。  前述しましたが、私の弟子のひとりは、ひきこもり

          <第1章:その1>墓碑は命の有限を教えてくれる

          あらゆる命をもれなく平等に

           愛知県西尾市の阿弥陀院はペットの供養をしています。専用の火葬炉(愛知県認可)でのお骨拾い、本堂での読経などに立ち会う個別火葬を執り行い、いつでもお参りできる永代供養塔もあります。「ちゃんと供養に重きを置いて、真心を込めて」という田中宗龍住職に、その想いやお寺の歴史などを語ってもらいました。 平安末期から、天災も乗り越え ――愛知県の西三河南部、三河湾に面した西尾市にある浄土宗西山深草派のお寺ですね。 「当院があるのは、西尾市の西の端、矢作川を渡ればすぐ碧南市という場所

          あらゆる命をもれなく平等に

          「自分ごと」で見えてくる

           愛知県岡崎市で「橋ふき」をしている人たちがいます。まるで木造校舎の廊下を雑巾がけするように、橋の上をふくという、ユニークな活動です。どんな経緯で始まって、なぜやっているのでしょうか。主宰する宮川洋一さん(52)に聞いてみると、メンテナンスや清掃のボランティア活動とは異なる「想い」がありました。心を込めたものや経験、場所などについてお話をうかがう連載『ココロ、やどる。』。今回は、桜城橋ふきを紹介します。(文・松本行弘、写真・川津陽一) 毎月第4土曜の夕方、桜城橋で  「桜

          「自分ごと」で見えてくる

          <序章:その9>再録『心が強くなるお墓参りのチカラ』

          お墓は愛する故人そのもの  日本人のお墓との付き合い方は、お墓に対して心を投影するものなんだな、という傾向を強く感じました。  足の悪い人が、「お墓を見たら下の方に苔が生えていた、だから足を悪くしたんじゃないだろうか」と思ったり、親が脳梗塞で倒れた人が「墓の頭のあたりが欠けている。親が倒れたのはそのせいじゃないのか」と考えたり、実際に私に相談に来られた方の話なのですが、いずれも心の思い、考えを墓に投影しているのだと思います。  むろん、こうした投影には科学的な因果関係はあり

          <序章:その9>再録『心が強くなるお墓参りのチカラ』

          お寺でできることはいっぱいある

          愛知県岡崎市の矢作地区にある正法寺は、住職の長谷部俊成さん(58)を中心に、長男の悠弥さん(31)、次男の暢弥さん(28)との親子3人によって守られている。寺離れ、後継者不足、お墓じまいなど、お寺を取り巻く環境が変わっているなかで、門徒さんや地域とのつながりの大切さを改めて感じている。 父が住職、兄は副住職、弟は若院 ――ご住職からご紹介いただけますか。 俊成さん「私が27代目の住職で、長男が副住職、次男が若院ですね」 悠弥さん「お葬式やお参りなど今は3人で分担してやっ

          お寺でできることはいっぱいある

          <序章:その8>再録『心が強くなるお墓参りのチカラ』

          無償ではじめたお墓そうじ  これは商売っ気なしの気持ちからスタートしたものです。とにかく何かしなくてはならないが、設備もないから石の仕事はできない。ともかく墓の近くにいたい、ということから、それなら墓のそうじだろうとなったのです。  とはいえ、まったく知らないお宅の墓をいきなりそうじするのもいけませんから、まず、掃除する対象は、過去に数は少ないのですが、私が職人として建てさせていただいた墓です。施主様に連絡して、 「無償でいいですから、お墓を掃除させてください」 とお願い

          <序章:その8>再録『心が強くなるお墓参りのチカラ』

          「おじいさんのお寺」を継いで

          愛知県岡崎市の正覚寺は昨年末、若い住職に代替わりした。33歳の石川滉希住職が思い描いているのは「おじいさんのころのようなお寺」だ。先々代の住職だった祖父の背中を追いながら、自分らしさも加えて、受け継いだお寺を盛り立てていこうとしている。 蓮如上人の阿弥陀如来絵像 ――正覚寺を紹介していただけますか。 「お預かりしている南岡山正覚寺は、JR岡崎駅のすぐ西側にある真宗大谷派のお寺です。 540年前に、今の西尾市でお生まれになった誓珍法師が、遠く京都の蓮如上人を訪ねて仏法を聴

          「おじいさんのお寺」を継いで

          新春 『Hanaemi』発行

          あけましておめでとうございます。 2024年を迎え、矢田石材店がつくる季刊誌『Hanaemi』の新春号を発行しました。創刊から3号目。巻頭の連載企画『ココロ、やどる。』は、橋の上で雑巾がけをする「橋ふき」のお話です。石材加工や墓石づくり、墓園整備や葬儀・供養のサポートなど、社業に共通している「心を込めること」をテーマに、本年も選りすぐりのストーリーをお届けしたいと思っています。 岡崎「桜城橋ふき」を主宰 『ココロ、やどる。』の「橋ふき」は、矢田石材店の本社がある愛知県岡崎

          新春 『Hanaemi』発行