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亡き人の想いや願いを想って

 愛知県岡崎市の浄土宗西山深草派の寺院、欣浄寺(ごんじょうじ)に「岡崎本宿はなえみ墓園」がオープンしました。欣浄寺と矢田石材店が共同で運営するお墓です。矢田石材店がお寺でのお葬式をサポートする「お寺でおみおくり」の賛同寺院としてインタビューをした、住職の祖父江義典さんに、もう一度、お墓をテーマにお話をうかがいました。


お墓の心配を解消する魅力

 ――前回のインタビューでは、欣浄寺の歴史や浄土宗西山深草派の宗旨にのっとって開いた模擬葬儀のこと、お寺でお葬式をする意義などについて話していただきました。今回は「はなえみ墓園」です。

 「お寺でのお葬式ということでご縁をいただいて、社長をはじめ矢田石材店のみなさんとお話する中で、この人たちならしっかりした仕事をしてもらえると感じましたので、石材店の仕事のメインとなるお墓という部分でも、一緒にやることになりました」

祖父江義典住職

 ――一番のきっかけは何でしょうか?

 「最近、墓じまいという言葉をよく耳にしますが、実際にお墓をしめようかなぁ、と相談を受けることが増えています。自分の代で終わってしまうからという、先の心配であったり、子供が遠方に住んでいるので世話をかけたくないとか、だから今のうちにと言われる方が多いです。
 でも本当は、心の中では、お墓を残して、自分のできる限りはお参りしたいと思っている方がほとんどなんです。
 そうした中で、はなえみ墓園は、お墓を購入する、つくるということはもちろん、もし自分がお墓の面倒を見られなくなっても、安心して最後まで任せられる。みなさんが一番心配をされていることへの、ニーズにそったお墓をつくれる、というところが一番の魅力ですね」

山門から

桜やアジサイ咲く山の上に

 ――どんな墓園にしたいですか。

 「前回、お寺の裏山にアジサイを毎年100本植えていくというお話をしました。この山は、かつて檀家さまたちによって約200本の桜を植樹していただきました。この春にもきれいに咲き誇り、秋には紅葉も楽しんでいただける自然あふれる山です。こうした景色を楽しみながら、多くの方にお寺へ足を運んでいただきたいと考えております。いずれは1万本のアジサイで山全体を埋めるということを夢に、妻や子供たちにも手伝ってもらいながら、毎年100本以上の植樹をしています。
 この山に、はなえみ墓園がオープンしました。季節の草花に囲まれたこの墓園も、山の自然と合わせて、みなさんがお寺に足を運んでいただけるきっかけにしていただけたらいいなあと、期待しております」

桜山から名鉄本宿駅をのぞむ。中央の大屋根が欣浄寺本堂

 ――自然散策をしながら、ご供養できるんですね。

 「新しいお墓もできましたし、お墓参りについて、少しお話ししたいと思います。みなさんはどんな気持ちでお墓参りをされるでしょうか。『お参りをしなきゃいけないな』とか、『先祖代々のお墓があるから守ってあげなきゃいけないな』と思って、お参りされている方が多いのではないでしょうか」

亡き人は一番の応援団だったかも

 ――自分がやらなければ、と思う方もいらっしゃるでしょうね。

 「そういった自分の気持ちももちろん大切ですが、お墓に入っている人たちの視点に立って、どんな気持ちでいるんだろう?と考えて、その人たちの想いや願いに目を向けていただきたいなぁと思うんです。
 私たちがお参りする、お墓に入っている方たちは、自分の大切な家族や友人ですから、生前中に、いろいろなことを教えてくれたり、自分のことをいつも想ってくれた方たちです。
 自分が元気に笑顔で暮らしていたら喜んでくれて、自分が一生懸命頑張っていたら応援してくれる。そうした方たちの想いや願いは、命が終わっても、決して消え去ってしまうものではないと思います」

桜山への入り口

 ――想像するんですね。

 「ですから、そんな想いや願いにこたえるように、『こんなに頑張ることができたよ』『元気に暮らしているよ』っていうことをお墓の前で報告することは、大切な方々に一番喜んでもらえることであり、何よりの恩返しになると思います。
 自分のことを想ってくれる人がいる、ということはすごく大切です。現代の世の中には、一生懸命がんばっても報われないと感じてしまうことが多々あると思うんです。でも、そんな時には自分の頑張っている姿を応援してくれる人がいる、笑顔で過ごす姿を喜んでくれる人がいる。そう思うと、それが心の支えとなって、前向きな気持ちで、明るく生きることが出来るのではないかと私は思います」

形があれば思い出しやすい

 ――お墓参りで勇気づけられるというお話ですね。

 「大切な方々の想いを心の支えとして、いつでも思い出すことができれば、散骨のような形の残らない供養の方法でも悪いことではないと思います。
 でも、それができないのが私たち人間なんです。大切な方とお別れするのは辛く、苦しいことなので、人間の防衛本能で、辛いことは忘れよう、苦しいことは忘れようとしてしまいます。
 でも形があれば、『そこに行けば、この人に会えるんだ』と大切な方々の願いや想いを思い出せます。そのためにお墓やお仏壇、お寺という形があると思うんです。
 ですから、お墓の前で大切な人を思い出して、『こんなに頑張ってるよ』『笑顔で暮らしてるよ』と報告していただくことは、なによりの供養になると思います。
 そんなお墓参りをされてはいかがでしょうか」

寺名:林光山 厭離院 欣浄寺
宗派:浄土宗西山深草派
住所:愛知県岡崎市本宿町字東木竹16


永代供養のついた安心のお墓「はなえみ墓園」。
厳かな本堂でのお葬式を提案する「お寺でおみおくり」。
不安が少なく、心のこもった、供養の形を、矢田石材店とともに考える、お寺のご住職のインタビューをお届けします。
随時、月曜日に更新する予定です。


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