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半導体製造がよりクリティカルに

去る4月9日に発売した、私の初書籍『最強の外資系資産運用術』の関連の記事を投稿していこうと思います。今回は以前にも話した半導体製造に関してです。

過去投稿は下記をご確認ください。
出版記念インタビュー(対談)
シリーズ①(資産運用の重要性)
シリーズ②(コロナ禍での資産運用)
・シリーズ③(半導体の日系企業は何処へ)
・シリーズ④(アナリスト業務と日本企業の将来)
・シリーズ⑤(出会いと再会)
・シリーズ⑥(長期目線と目利き)
・シリーズ⑦(未来図は人口動態が暗示?)

以前にも上記のように投稿をしていますが、半導体はPCやスマホなどの所謂メモリ領域を超え、自動車など非メモリの方面での活用頻度が上がったことに加えて、高性能の半導体製造ができる会社も世界で限られているという現実と所謂米中対立が重なり、下記のような半導体製造に特化した台湾のTSMCの企業戦略が今一度注目を浴びています。

TSMCは微細化技術で最先端を走るだけでなく、高収益企業としても知られます。台湾の調査会社トレンドフォースによると、2020年度の半導体受託生産における世界シェアは50%を超え、営業利益率も40%を上回りました。TSMCはしたたかに業界構造を自社に有利な方向に導きながら、「規模」と「微細化」をたゆまず追求しています

半導体の製造は日本企業が以前はリードしていましたが、その日本企業の姿をしり目に、アメリカのTI(テキサスインスツルメンツ)で働いていた、その後TSMCの社長となる、モリス・チャン氏が台湾へ招聘され、同社の創業となったわけです。

またどこでもチャン氏のビジネスモデルがコピーできるわけでも全然なく、半導体製造への特化に加えて、環境(電力や水道を含め)、それにまつわるコスト、そして人材育成という多面的な要素に加えて、チャン氏のリーダーシップも加わり、という今でいえば美談な話でしょうが、ここまで長期で業界の成長を信じてずっと事業を行っていたということに私はすごいな、と感じます。

ところで日本に目を向けると、半導体への投資を再度行うという話も多く、上記のようにつくば市に、TSMCを含めた民間企業と日本政府からの支援を受ける形で研究所ができる模様です。また日本でTSMCのような会社を模倣しようとして、例え人材育成は可能であっても、環境面でのコスト負担増やリーダーによる業界の発展ビジョンを持った長期的な経営の明確化の難しさ、など課題は多いなと感じます。


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