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人事評価で納得感を得る唯一の方法-「新版 はじめての課長の教科書」に学ぶ(8)

管理職になって悩むことの一つに、人を評価することの難しさがあります。
その難しさは「新版 はじめての課長の教科書」の以下の表現に凝縮されているといってよいでしょう。

「限りあるお金と昇進の機会を、いかに従業員に割り振るのか?」、
「割り振った結果を社員一人ひとりにどのように納得させるのか?」
という2つの事柄が、人事評価というゲームの本質的なテーマ
なのです。

引用:はじめての課長の教科書
第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム より

自分の若い頃と比較してしまい部下への目線が厳しすぎてもダメですし、部下に良い顔をしたいというだけで評価を上げるのも役割を果たしていません。

いづれにしても自分が過去受けた人事評価(早く引き上げてもらったとか、なかなか評価されない時期が長かったなど)に引きずられることも少なくないので、できるだけバイアスを拝した公平な目線を心掛けたいものです。

人事評価は本当に難しく、それだけで一つの専門領域です。専門書籍もたくさんありますし、人事評価専門のコンサルタントの方も多くいます。具体的な制度設計や運用のコツの詳細はそうした書籍や専門の方に委ねたいと思います。

ただ結局のところ完璧な人事評価の制度や運用など理想でしかないと思う自分もいます。評価基準が曖昧だからというのがよく不満に挙がりますが、どれだけ厳密に基準を作っても、適用の仕方はどうしても個別性が出てきますし、その曖昧さで冒頭に引用した組織としての「ゲーム」を乗り越えている部分は一定あるのは事実です。(もちろん組織としてより公平で適切な評価基準制度の準備は全力で臨む必要があるのは間違いありません。)

そういう意味で、人事評価は結局のところ当事者の「納得感」をどう引き出すかについて管理職の技量に頼る部分が大きいと言わざるを得ません。そしてその納得感を引き出す上で一番大切なのが、人事評価というイベントに至るまでに蓄えた日常的なコミュニケーションの質と量です。

人事評価というイベントが年に1回または2回程度なのは、昇進や異動が伴ったり賞与算出などの都合から企業内で一斉に行う必要があるためという組織都合です。部下をマネジメントし導くという観点で言えば、評価は日常的かつ即時的にコミュニケーションされ、直すべき課題はすぐに改善に動くべきです。人事評価のタイミングにまとめてフィードバックというのは一番避けたい状態と言えるでしょう。(自分がそうされたらSANSANのCMではありませんが「早く言ってよ」と言いたくなります・・・)

倉庫や在庫管理の業務に例えると、人事評価は単なる決算に伴う棚卸に過ぎません。年に数回実地棚卸をするからといって、日常的に棚卸ししたり普段全く管理しなくてよいわけはありません。日常的に整理整頓をして日次や週次でチェックもなされ在庫の期待が整っていることが大前提なのです。

普段からこまめにフィードバックを重ねて、評価に対して断続的なコミュニケ―ションが取れていれば、それまでの部下とのやり取りを人事評価というルールに当てはめるだけで済みます。人事評価のイベントに合わせ、あわてて部下の仕事振りを思い返すようでは管理者としては残念な状況と言わざるを得ません。

人事評価は部下の成長ためにあるべきという立場に立ち、日常的に評価が前向きにコミュニケーションされる状態を目指したいものです。ちなみに日常的なフィードバックサイクルの具体的な運用イメージを掴むのには以下の書籍がおすすめです。この本にちなんでいくつかnoteも書いているのでよろしければ覗いてみてください。

《新1分間マネジャーに対するnote》
目標設定はすべてのはじまり
やる気のスイッチはどこにあるのか?
ミスを効果的に指摘する方法
目標は日常化してこそ価値がある
なぜ褒めることが大切なのか?
「ほったらかしてバッサリ」との決別
部下のミスへの向き合い方
マネジャーの目指すべきゴール

あわせて読みたい(はじめての課長の教科書編)

中間管理職の苦悩への招待
マネジメントとリーダーシップの共存
部下のモチベーションをどう上げるか?
価値観の通訳という言葉へのもやもや
ルーチンワークと例外業務
中間管理職にとっての自己管理の大切さ
「成り行き」を正しく見極めそれに抗う

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