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51:49の場数こそが管理職を強くする-「新版 はじめての課長の教科書」に学ぶ(15)

これまで約14回にわたり、「新版 はじめての課長の教科書」を元に中間管理職の代表である「課長」という仕事を通して、マネジメントについての考察を綴ってきました。

中間管理職の苦悩への招待
マネジメントとリーダーシップの共存
部下のモチベーションをどう上げるか?
価値観の通訳という言葉へのもやもや
ルーチンワークと例外業務
中間管理職にとっての自己管理の大切さ
「成り行き」を正しく見極めそれに抗う
人事評価で納得感を得る唯一の方法
成果が上がらない部下との向き合い方
部下に辞めたいといわれた時の対応
年上先輩部下への対応
課長のキャリア戦略
課長の要件
「自分のことを棚に上げる」覚悟

私はこの本を読むのは今回で3週目ぐらいですが、改めて読み進めることで、管理職という仕事の幅広さと奥の深さを再認識できました。同時にその暗黙知が解像度高く言語化された本書の価値を再認識できました。

中間管理職には、部下を率いて成果を出すという攻めの側面と、会社の中で自チームを組織の一員として成立させ続けるという守りの側面があると思っています。また経営と現場という価値観や目的の異なる両者間の調整役という役割もあるということは、本書や過去のnoteでも触れられてきた通りです。

ただ特に守りを意識し過ぎるがあまり悩むことも多くあるはずです。組織の論理に従うだけで本当にいいのか。間違っていることは間違っていると主張すべきこともあるのではないか?そんなときのことを、本書のあとがき(新版)が以下のように記しています。そのまま画像で引用させてください。

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二つの相反する意見に対して、どこで折り合いをつけるか?このギリギリの迷いの日々こそが、管理職の醍醐味であり成長の機会だということですね。

昔読んだSEの在り方を示すの中に「51:49の法則」というものがありました。これは顧客と自社のどちらを優先すべきか迷った時の判断基準を示すものでした。最終的にお客様を優先せざるを得ないのはやむを得ないとしても、ぎりぎりまで自社との共存を目指して欲しいという内容です。(この内容についてはよろしければ以下の記事をご覧ください)

管理職の判断は、組織か個人か/顧客か自社か/短期利益か長期利益かなど、常にこの「51:49」の連続です。ただ判断のタイミングでどれぐらいの比率で悩んでいるのかは正直本人にしかわかりません。実際は悩むのが面倒になり、考えているふりをして周りの意見へ安易に傾けるという判断をしてしまうときもあるかもしれません。

ただこの苦悩の経験こそが、判断に必要な「筋肉」を太くすることにつながります。難しい場面でも力強く意思決定できる力は、そうした経験を繰り返すことによってのみ鍛えられるのです。

本書にある通り「清濁併せ呑む」という言葉は、濁ったものを呑み込むという意味ではありません。清も濁もどちらも受け入れる海のような心の広さこそを表現した言葉だそうです。常に濁で良いという安易な妥協や低い倫理観でもなければ、清しか認めない不必要に自己防衛的な潔癖さでもありません。ましてやこだわりもなくどっちでも良いという惰性の産物でもありません。自分のためではなく、誰かのために濁を受け止められる姿こそが、「清濁併せ呑める」管理職の姿なのです。私はそう信じ、引き続き51:49の勝負に臨み続けていきたいと思っています。

参考書籍

組織の管理職としての振る舞いが網羅的に学べます。文字通り初めて課長など管理職になる方、管理職を目指す方におすすめの書籍です。

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