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課長の要件-「新版 はじめての課長の教科書」に学ぶ(13)

課長の要件とはずばり何でしょう?

「課長」を「管理職」と読み替えてもよいかもしれません。私は以前も以下のようなnoteの中でまとめたことがあります。

ただ「新版 はじめての課長の教科書」の「第六章 活躍する課長が備えている5つの機能」ほど的確に言語化された管理職の要件記述を私は知りません。若いうちはあれこれ試行錯誤する前に、巨人の方を借りるべく、まずこの章を読むことをおすすめします。管理職という仕事の全体像を認識することができます。ベテラン管理職の方にとっても、多くの気付きが得られるのではないかと思います。

この章では課長の機能(要件)を5つに大別した上で、全部で30個の要件項目に分解して記述しています。一つ一つの解説が味わい深いので是非本書を手に取っていただきたいのですが、ここではそのお題目だけ30個ご紹介します。

すっきりと構造化され、言葉も洗練されています。きれいにまとまり過ぎている感すらありますが、ここまで言葉を紡ぎだすのに、著者のマネジメントの実務経験と並々ならぬ苦労がうかがえました。

それでは5つの機能とそれを支える30個の要件項目を以下にご紹介します。

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個の力=組織長としての正当性

(1)高い人望
□ 現状ばかりではなくどうあるべきかについてビジョンを持っている
□ 自分の責任範囲を超えて、全体のために「善いこと」をする気力に充実している
□ 他の皆があきらめるような最悪な状況でも、ポジティブに笑顔で前進することができる
(2)知識と経験
□ 問題が発生したら、いきなり我流でこなそうとせず、まずは先人の知恵を求める
□ 少なくとも2つの分野において、組織内では専門家と言えるレベルにある
□ 数多くの挫折や修羅場を乗り越え、他人に認められる成功体験を経てきた

指示を受け、指示を出す=経営情報の翻訳

(1)経営の指示を正しく理解する
□ 多種多様な仕事の経験を通じて、組織の仕組みに精通している
□ ビジネス一般(マーケティング、会計、IT、グローバル)について、十分な教養をもっている
□ 全社レベルで、物事のプライオリティを理解することができる
(2)適切な指示を出す
□ 目的を達成するためのタスクを、ロジカルに分解することができる
□ 指示を出す相手に、適切な「粒度」で指示を出すことができる
□ 押し付けにならず、部下も納得する形で指示を出すことができる

報告を引き出し、報告する=現場情報の翻訳

(1)部下からの報告を引き出す
□ ホウレンソウの徹底が組織内に浸透している
□ 報告を待つのではなく、部下のところに情報を取りに行く態度をとる
□ 部下が報告している事柄が、「事実」なのか「意見」なのかを常に気にする
(2)上長に適切な報告をする
□ いかなる物事も測定し、グラフや図として報告する習慣がある
□ 経営層が把握すべき指標(KPI)を理解し、最新の数値を記憶し、必要に応じてアラートを出せる
□ 経営層にエスカレーションすべき問題と、そうでない問題の切り分けを間違えない

社内外の個人や組織との連携

(1)社内連携で「チームワークを作り出す」
□ 他部門の目標を理解し、その目標達成を積極的にサポートする姿勢がある□ セクショナリズムを嫌い、他部門との意見交換や人材交流を積極的に行う□ 部門をまたがる組織横断プロジェクトで、リーダーシップを取ることができる
(2)組織外と「双方の利害を調整」しつつ、組織理念を達成する
□ 組織の代表者として、組織外の目から見て恥ずかしくない対応が取れる
□ 利害が対立する現実から目を背けずに、交渉すべきときはどこまでも交渉する強さがある
□ 守秘義務やコンプライアンスなど、組織外の人々と連携するときに必要な法務規定を遵守できる

組織力の強化=部下育成と業務効率向上

(1)部下の育成
□ 部下のキャリア観を理解しつつ、部下のキャリア形成を積極的にサポートしている(簡単にあきらめさせない)
□ 「雑談」「対話」「議論」の違いを理解し、意識して部下と「対話」の機会を持っている
□ 自分自身も、さらなる高みに向けて常に学習を心がけている(部下や周囲の同僚の手本となれる)
(2)業務効率の向上
□ 組織内に高い就業倫理感を醸成し、一般的には高いレベルの仕事でも「当たり前」と判断する
□ ノウハウを溜め込むような態度は認めず、ノウハウを組織内で効率的にシェアしている
□ なんとなく理解していること(暗黙知)を、言語化(形式知化)することに価値を置く

参考書籍

組織の管理職としての振る舞いが網羅的に学べます。文字通り初めて課長など管理職になる方、管理職を目指す方におすすめの書籍です。

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