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自分のことを棚に上げる覚悟を持つ-「新版 はじめての課長の教科書」に学ぶ(14)

「遠くの親戚より近くの他人」という言葉がありますが、人から信頼や愛着を寄せてもらう源泉はどこにあるのでしょうか?

それを考える上で、「新版 はじめての課長の教科書」の最後を飾るコラム「『伝える』という絶対」は非常に示唆深いお話でした。

著者はある遠洋マグロ漁船の出航に立ち会います。また長い別れになる家族達にとって悲哀に満ちた時間になると思っていたそうですが、黙々と出航準備に励む漁師さん達を見送る方々は皆笑顔で、送迎スピーチや紙テープに彩られた港は幸せな空気で満ちていたそうです。

著者は、信頼関係や愛着を維持する上で、相手を思う気持ちをきちんと口に出して伝えることの大切さを説きます。もしそれができていれば、しばらく離れ離れになったとしても、人は幸せを感じ生きていけると。

私は非常に共感しました。人が人に求めるのは、自分が愛されている、存在する価値があるという証であり、それを感じられなくなった瞬間に、それは物理的に隣にいたとしても意味がなくなるということなのでしょう。口に出すのは「恥ずかしい」とか、「そんなことを言ったら相手にどう思われるか?」と思ってしまうのは自分に焦点があたっている状態だと思えてしまいます。

少し自分語りになりますが、今の会社で私が社員全体に対して思いを口に出すようになったのは実は2年ほど前でした。既に5年以上会社内で役職としての立場はあったものの、社長や他の役員の存在に気を遣う自分もいて、どこか遠慮をして社員全体に対してメッセージを発信するのをためらっていました。

ただある時をきっかけに、自分が役割を果たすためには「自分のことを棚に上げる」覚悟が必要だと思うようになりました。(残念ながら特にドラマティックなきっかけがあったわけではありません。責任を果たしていないとあるときふと思いました)
「お前に言われたくない」などの批判を勝手に恐れる自分は封じて、社員の仲間達のために今一番伝えるべきだと思うことを正々堂々と伝えることができるようになりました。

そうするようになって、いかに伝えたいことが伝わらないかということも学べました。なんで伝わらないんだろう?ではなく、一度話したぐらいで300人以上の人たちに伝わるわけがないじゃないかと思えるようになりました。人に想いを伝える技術と熱意は、管理職という責務を引き受ける以上、ずっと磨きつづけなければならないんだろうなと思っています。

いつも新しいことを言える人もすごいですが、変わらない信念や相手を大切に思うシンプルな気持ちを、繰り返し繰り返し言葉出来る人も素敵です。自分もそうなりたいなと思っています。

参考書籍

組織の管理職としての振る舞いが網羅的に学べます。文字通り初めて課長など管理職になる方、管理職を目指す方におすすめの書籍です。

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