見出し画像

サブスク研究【修士・博士課程】完全オンラインでエンタメ化できないか(月額2万)

何かを研究することは、エンタメではないか。

研究することは、ちょっと楽しいとか、面白いというようなものではなく、人間において本質的な営みである。

今回は、研究といえば大学院の修士・博士過程で行われるのが基本なので、それをもっと多くの人に享受してもらえる方法を考えてみたい。

結論、月2万円程度でサブスク的に研究のサポートを受けられる仕組みを提案したい。

これは、これから何かの分野で研究したいという方にメリットがあるだけでなく、サポートする側の修士・博士学生、大学教員、さらには社会全体の三方良しとなっている。

**

私自身が文系学問で2つ修士過程を修了しているので(理系学問については言及せず)文系学問に限定した話をしたい。

(ちなみに、文系理系という分け方についてはこちらで吟味したことがある)

研究こそが人生といっても過言ではない

研究を我々の人生の中心に位置づけてもいいかもしれない。

どこまでも世界の原理を追い求めてしまうという人間像は、ギリシャ哲学時代がから今に至るまで広く共有されている。

真理の探求に向かう性質は、間違いなく遺伝子レベルに根を持つだろう。

そもそも、人間は、遺伝子を残すというミッションを与えられている生物であり、生きている外部環境(世界・社会)や内部環境(身体)を理解し、攻略する(個体保存と子孫繁栄)ことが生の中心的課題になる。

あらゆる物理現象を整合的に説明できる法則や、生命の神秘を解き明かすこと、心の中の法則を探求するなど、さらには、人間はどこからきて、どこへ向かうのか、こうした真理の探求は、古代から現代に至るまで普遍的に行われている。

一人で研究する場合の5つの課題

研究をもっと多くの人に身近にすることはできないか。

研究に必要なことはなんだろうか。

誰でも、何らかの仮説を出し、それを根拠で示すことはできる。突き詰めて考えれば、研究は自分ひとりでプロジェクトとして実行することは可能だ。

しかし、そこには多くの課題があるし、そもそもこれまで人類が築いた知識から学ぶことが先決だろう。

一人で研究をする場合の問題は、以下。

1.その領域の基礎学力どう身につけるか(効率的に)

2.研究に必要な資料や、設備、資金をどうするか

3.研究に必要な人的資源(専門家とのコミュニケーション)はどうするか

4.研究が形になった(なってきた)場合のレビュー(以下のような観点)

①研究に使われている言語が厳密に定義されているか、論理の飛躍がないか

②仮説の前提となっているものに根拠はあるのか

③仮説を支える根拠は妥当なものか

④独自性があるか(既に同様の研究がなされていないか)

5.論文の査読

**

これらを一人で進めていくのは難しいし、効率が悪い。

大学院における5つの課題へのサポート

以下、上記の5つの課題について、私の経験から大学院の研究室でどのようなサポートが最低限必要かを考えたい。

1.その領域の基礎学力どう身につけるか(効率的に)

これは、確実に必要だと思う。私の場合、哲学を専攻したが、それまでに哲学を大学等で学んだ経験はなかった(本を個人的に読んではいたが)ので、特に必要であった。

サポート内容は以下。

①哲学の基礎を作るための必読書のリストアップ

②上記の必読書をどのように読むかの方法の教授(レジュメを作る)

③上記のレジュメを発表し、教授やゼミ生と議論(必読書の一部のみ)

このようなことだ。

これをやっていれば、基礎学力はある程度身につく。

2.研究に必要な資料や、設備、資金をどうするか

私の場合、文系学問であったので、基本的に本と論文があれば良い。また、大学の図書館は非常に勉強に適した環境だったので、毎日居座っていた。

この資料や設備という点についていえば、必ずしも正規の大学院生にならなくてもいいと思う。大学の本や論文は、部外者でも使える方法はあるだろうし、図書館や自習室は地元でも無料に近いものがあるだろう。

とはいえ、やはり、大学の図書館で読みたい本や論文をすぐに読めることは研究の効率を高めるのは事実。

3.研究に必要な人的資源(専門家とのコミュニケーション)はどうするか

これが、大学院で学ぶ最大の意義かもしれない。

同じような領域を研究している人と関係を築くことは難しい。SNSやネットで繋がれるかもしれないが、ネットがあるとはいえ定期的に交流するとなると、その規律を保つのが難しいし、哲学のような領域であれば絡みづらい人も多いだろう笑

先の基礎体力をつける際に、わかる人に聞いたり、自分の研究成果についての意見をもらったりすることは絶対的に必要。

また、別の視点で、仲間がいるから、なんとか続けられるというような意見もあるだろう。

しかし、そもそも、修士以上であれば、自分だけの領域で探求していくわけであり、かなり強い動機が必要。関連する領域の人たちに積極的に連絡し意見交換や議論をする意気込みがなければやっていけない。むしろ、一人じゃできないといっているなら、やらなければいい。

4.研究が形になった(なってきた)場合のレビュー

これは、ある程度自分の研究成果(論文)が出てきた際に、同じ領域で一定レベルの知識がある人に、レビューしてもらう必要がある。

次のような観点でのフィードバックは、自分では原理的にできない。(他者の視点で吟味が必要だから)

①研究に使われている言語が厳密に定義されているか、論理の飛躍がないか

②仮説の前提となっているものに根拠はあるのか

③仮説を支える根拠は妥当なものか

④独自性があるか(既に同様の研究がなされていないか)

5.論文の査読

これは最終的な研究成果を、教授レベルの方数人に査読してもらう必要があるということ。

大学院に所属していないと、担当してくれる人をみつけるのが難しいかもしれないが、研究課題が明確で、野心のある人なら、関係性がなくても引き受けてくれる人はいる可能性が高い。

**

以上、大学院の5つのサポートを考察した。

あったらよかったサポート

上記のサポートに加えて、以下があればよりよかったのでは?と思うこと。

学習スケジュール管理サポート

このサポートは教授レベルがやることではないが、スケジュール管理をやってくれるとありがたい。

もちろん、研究室でもざっくりいつまでに計画を出して、これこれを読んでおく、とかそういうスケジュールはあるが、1週間単位、さらには1日レベルまで落とし込んで、それを週1で定期的に振り返るような仕組みがあったら尚良い。

自分でやれよという話だが、やはり他者と定期的にこれを確認することで、リズムが現実的になる。

理論を実践する場

これは、私の状況に限定されるが、哲学を学ぶ場が中心になっており、それを現実的な社会の事象や課題と結びつけて実践する場があまりなかった。もちろん、まずは理論を深く学ぶことは重要だが。

文系大学院の学費

東大の場合、ざっくり入学金が28万円で、年間学費が52万円。

5年在籍したら、280万円と、けっこうな額になる。

1ヶ月換算だと、4.6万円。

興味本位で始めるのには少し厳しい金額かもしれない。

大学教授の問題

学生(研究生)にとって、最も重要なことは研究成果を出すことだ。そのためのサポートに対して、研究室や教授がどこまで価値を創造できるか?

現状の大学では、その視点が非常に弱いと思う。

大学の教授の仕事は、教職、大学行政、研究の3つになる。それぞれが関連しているが、大きくこのように分かれている。

研究の指導(サポート)というのがおろそかになってしまうこともある。

これは、どこからお金が出ているのかを不明瞭で、自己採算でやっていない故に責任の所在が不明になることから生じている。

大学の収入は、学費を中心に、寄付、さらには研究費を国や企業から調達するかが、何に対して金をもらっているのかを再認識すべきだろう。

オンラインでどこまでできるか

先の5つのサポートをオンラインでどこまで行えるか?またどのように最適化できるか。以下検討する。

1.その領域の基礎学力どう身につけるか(効率的に)

これは、研究室ごとに教授を中心に、基礎学力の付け方をカリキュラム化してしまえばいい。ざっくりではなく、何をどのようにどれくらいやるかを、かなり細かく明確にする。ここは、インプットに集中する期間なので、徹底して言語化し、わかりやすさを追求すればいい。

2.研究に必要な資料や、設備、資金をどうするか

まずは、自分の周りの図書館や、実費購入でやることをベースにすればいい。

将来的には大学の図書館がデジタル化すれば最強だ。

3.研究に必要な人的資源(専門家とのコミュニケーション)はどうするか

4.研究が形になった(なってきた)場合のレビュー(以下のような観点)

①研究に使われている言語が厳密に定義されているか、論理の飛躍がないか

②仮説の前提となっているものに根拠はあるのか

③仮説を支える根拠は妥当なものか

④独自性があるか(既に同様の研究がなされていないか)

上記の3と4が、研究室によるサポートの核心になる。

これは、まず研究室の修士・博士課程の学生や非常勤の先生などが中心に行うのがよい。

サポート内容を規定して、質問の仕方やコミュニケーション方法を確立して行えば効率的に行える。

5.研究の査読

この、最終部分は教授がやる必要がある。

**

ということで、オンラインで全く問題なくできる。

月額2万でサブスク

東京大学で文系学問をやる場合、最低でも月に4.6万円かかる。

これが仮に、月2万円などになればどうだろう?

しかも、サブスク型で、月ごとや四半期ごとに更新する形で。

得られるサポートは、以下。

・オンライン上での定期的なゼミ(研究発表・フィードバック、基礎学力向上のための議論)

・研究計画(スケジュール含む)に対するフィードバック(教授)

・質問し放題(博士課程の学生による回答)

・研究計画や途中成果へのフィードバック(博士課程の学生による回答)

・研究成果に対するフィードバック、査読(教授)・

欲を言えば、研究スケジュール管理のサポートもほしい。

サブスク研究の意義(三方良し)

このようなサブスク研究ができるようになれば、まず第一に研究が多くの人に身近になり、人間の中心的な欲求である真理の探求をより身近なものにできる。

また、お金をもらってサポートする側(供給者)への利点も大きい。コンビニバイトをしていることすらある博士課程の学生に、専門領域で安定した収入を提供できることも大きな意義。素人への疑問に答えることは、自分の研究にも資するはずだ。

さらに、視点を広げると、社会全体にもよいことがある。研究室が、研究のサポートでお金を稼ぐことで、その責任が明確になり、品質向上、研究の成果がひいては社会により多くの成果を還元できるようになる。

課題

敷居が低すぎて、裾野が広がりすぎれば、研究に関係のない人たちも入ってきてしまうかもしれない。ただ、この辺りは入り口でしっかりと身元調査をすればいいのではないか。

まとめ

日本の大学院には、けっこう中国からリモートで修士課程で学んでいる中国人がいる。(文系の学問しか聞いたことないけど)入学するための選考もオンラインで完結するらしい。異文化体験はできないけど、純粋に研究なら、なんてお手軽なんだろう。

こういうやり方は現実的に機能することはある種証明されている。

あとは、金額や入学の手軽さ、オンライン研究への最適化のところ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?