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映画『エゴイスト』を観た後、余韻をより一層深く味わう方法(※ネタバレなし)

こんにちは。やすゆきです。
鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんがゲイカップル役を務める映画『エゴイスト』はもうご覧になりましたか?
先月2月10日に公開されたこの作品。
2人の演技がとても自然で、ゲイの間で大変話題になっていたかと思います。

僕も公開日翌日に劇場へ足を運び観てきました。

とても余韻の残る作品で、観た翌日も翌々日もこの映画のことがなんとなく脳裏によぎる。
そんな映画でしたが、皆様はいかがだったでしょうか?

今回は僕なりに映画を観た感想と、この映画の余韻をどのように楽しんだかについて書きたいと思います。

映画『エゴイスト』基本情報

予告

公式HP

あらすじ

14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである⺟を⽀えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。
自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の⺟も交えながら満ち⾜りた時間を重ねていく。亡き⺟への想いを抱えた浩輔にとって、⺟に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。

公式ページより

個人的レビュー

この映画の公開を昨年から楽しみにしていた半面
「ゲイカップルがすったもんだしながら、イチャイチャする作品なんでしょ?」
とどこかうがった見方をしていました。

だけど違った…全然そんな話ではありませんでした。

2人の切ないラブストーリーかと思いきや、想定をはるかに超えたヒューマンドラマ。というより、まるでドキュメンタリを観ているような、リアリティと没入感がとても印象的でした。

後になって知ったのですが、この映画、ほとんどセリフなど決まっておらず、大体の大筋は決まっているのですが、細かい言い回しなどは俳優さんたちのアドリブだそうです。
ワンシーンをワンカットで撮っているため、まるで自分がそこに居合わせて目の前で出来事が起こっているような、妙な臨場感がありました。
監督の深いこだわりを感じます。
(※カメラを大きくふり、俳優さんの表情にクローズアップする演出が多々見受けられるため、三半規管の弱い方は少し酔ってしまうようです。乗り物酔いなどしやすい方はスクリーンから少し離れた位置での鑑賞がおすすめです。)

物語が進むにつれ、目の前に映し出される俳優の鈴木亮平さんが、鈴木亮平さんではなく、浩輔にしか見えなくなるという、変な錯覚まで起こしてしまいました。
周りの友人も同様の感想を話しており、鈴木亮平さんのストイックな役作りのなせる技なのかも知れません。

老若男女関わらず、今を生きる全ての人に刺さる何かがあるはず。
演者の皆様がとても丁寧に表現されていて、いい意味での生々しさを感じたました。

映画に優劣をつけるのは、あまり好きではありません。
しかし、この作品の持つリアリティや完成度は、今後日本におけるクィア映画のハードルを著しく高いものにしたかも知れません。

きっと5年後、10年後とまた観直した時に感じるものや得るものが変わるはずです。
この映画の制作に携わった全ての人に感謝。
一人でも沢山の人に観てもらいたい作品です。

この作品の余韻をより一層深く味わう方法

上記のとおり、僕にとってこの作品はとても深く胸に刺さりました。
このnoteをはじめて10日ほどですが、この作品について書くのはやめておこうと考えていました。
公開から1か月以上が経っていますし、旬ではないかとも思ったからです。
しかし、この映画をより深く楽しむ方法があるなとも感じたので、今回書いています。

原作を読んでみよう

結構原作を既に読んでいる人も多いかと思いますが、皆様いかでしょうか?
僕は電子書籍でスマホにかじり付きながら、通勤電車の中で読破しました。
この映画を観たほとんどの皆様はすでにご存知かと思いますが、この映画は原作者である高山真さんの実体験をもとに描かれています。
映画の中で語られなかった、高山さんの心の声が、浩輔というキャラクターをとおして、繊細に描写されており、何度も読み返してしまいました。
その他、映画という約2時間の枠に収まりきらなかったエピソードなども含まれており、映画の中で消化しきれなかった部分も、なんとなく腑に落ちた気がしました。
原作のみに描かれていた浩輔の心の声やその他エピソードについて、映画で描かれていないのは勿体ない気もしましたが、それを全て映画に詰め込んでしまったら、逆に鬱陶しく押しつけがましい作品になったかもしれません。
原作は原作で素晴らしいし、映画は映画で素晴らしい。
映画では観客に考えて想像させる余地があったからこそ、ここまで魅力的な作品になったのだろうと感じました。

新宿二丁目おじょんママの動画を見てみよう

Youtubeにおじょんママさんの動画がおすすめで表示されていたのですが、あまのじゃくな僕は、高山真さんの知人が、映画のヒットに便乗してアップしたのだろうと思い、なんとなく見ないようにしていました。
しかし友人から「おすすめだから見てみて。この動画を見た後に、松田聖子の“風立ちぬ”を聴くと、グッと来るものがあるから」と言われ、見ることに。

確かにグッと来た… 笑

原作者の高山真さんはすでに他界されていますが、今は亡き彼の晩年に思いをはせることができたような気がしました。

何のことか分かりませんよね?
おじょんママの動画の内容、しっかり聴いていただければ分かるかと思います。

良かったら皆さんもおじょんママの動画を見た後に、“風立ちぬ”ぜひ聴いてみてください。

さらにもう一度、映画『エゴイスト』を観てみよう

前情報なしでエゴイストを観た後は、原作を読み、おじょんママの動画などを見て原作者の高山真さんに思いをはせた後にもう一度エゴイストを観てみましょう。
初見では気が付かなかった細やかな演出やダブルミーニングにも気が付くことができ、また違った見え方になるはず。

最後に

残念ですが、公開から時間が経ち、徐々に上映館が少なくなってきています。
劇場公開が終わったら、サブスクとかでまた観ることができるかな…?
その時は間違いなく3度目の鑑賞をすることになるでしょう。
(どんだけ好きやねん 笑)

まだ観ていない人は、ぜひ劇場へ!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
フォローやコメント、スキしてくださると大変嬉しいです。
それではまた!

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