2020年の寄付事情（10月編）

2020年12月30日 11:25

寄付に関する報道やインターネットの情報から2020年の寄付事情を探っていきます。今回は、2020年10月の寄付事情です。
2020年10月は、これまでの特定のテーマ色が薄まって、様々な形で寄付が実施されました。

１．寄付付き商品

ネットで検索した範囲ですが、10月から実施されたものは合計で82件でした。7月は77件、8月は58件、9月は75件でしたので、増加傾向です。
そのうち、新型コロナウイルス関連は14件でした。テーマとしては、ピークが過ぎたようです。
その他、テーマというより、個別のNPO支援の寄付付き商品が多くありました。わかる範囲でピックアップしました。テーマ型としては、季節柄ピンクリボン運動の支援が目立ちました。

NPO法人TABLE FOR TWO、NPO法人キープ・ママ・スマイリング、（公財）日本自然保護協会、（公財）アニマルドネーション、NPO法人表皮水疱症友の会DebRA、NPO法人犬と猫のためのライフボート、（公財）プラン・インターナショナルジャパン、（公財）世界自然保護基金ジャパン（WWFジャパン）、NPO法人カタリバ、（公社）セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、（公財）日本対がん協会、NPO法人森は海の恋人、NPO法人テレ・ルネッサンス、（一財）全日本野球協会、（公財）日本ユニセフ協会、NPO法人国連WFP協会、（公財）ジョイセフ、（一財）グラミン日本、H2Oサンタ、NPO法人NICE、NPO法人Teach For Japan、NPO法人難民を助ける会、NPO法人STORIA、（一財）Earth Company

その他、通販会社のフェリシモが実施している取り組みは自社で設置したかテーマ型の基金にプールして、そのテーマにあわせた団体や活動を支援する仕組みは珍しいケースです。

２．企業の動き

企業の動きとして、新型コロナに関する寄付以外は、大きな特徴はなく、様々なテーマがありました。検索で見つけた件数では38件。その内訳は、新型コロナ15件、復興支援10件、医療支援1件、福祉1件、貧困1件、地域支援6件、アート1件、動物1件、助成型2件でした。
企業による寄付や支援について、1億円以上の大口のものをピックアップしました。

・JIDグループ　新型コロナウイルス関連の医療機関に総額1億円の寄付
・リップル社　金融包摂目的で世界的人道支援団体に10億円を寄付
・LVMH　コロナ研究に6億円超を寄付
・イオングループ　首里城復興支援１億円を贈呈
・九州フィナンシャルグループ　傘下の肥後銀行と鹿児島銀行　熊本・鹿児島両県に1億円寄付

３．有名人の支援

ネットで検索した範囲で見つけた、寄付を積極的に行っていた有名人やスポーツ選手です（チャリティイベントを主催したり、参加しているケースはここで対象外にしています）。
9月あたりから、有名人による支援のニュースも少なくなっていますが、10月はさらに少なくなっていました。
韓国の「BTS（防弾少年団）」が黒人人権運動キャンペーン100万ドル寄付したことや、サッカーのイングランド代表のラヒーム・スターリング（ジャマイカ出身）が1億円を寄付し、恵まれない子供支援の財団設立へというニュースが目立ちました。

上田桃子（ゴルフ）、石原詢子、香川真司（サッカー）、前田健太（野球）、アンディ・ラウ、SHINeeのジョンヒョン、BTS（防弾少年団）、霜降り明星・粗品、スアレス（サッカー）、「SEVENTEEN」Hoshi、キム・ユジョン、EXILE ATSUSHI、パッカーズ（アメフト）、リーズ（サッカー）、Arctic Monkeys、チョン・ヘイン、ジェジュン、スターリング（サッカー）

４．新しい動き

10月の寄付動向について、新型コロナウイルス関連の支援についても今までとは違う動きが出ています。9月頃から、「新型コロナウイルスで影響を受けた○○支援」というように、新型コロナと以前からある社会課題をテーマにした組み合わせた支援が増えてきました。また、新型コロナでは、舞台芸術やプロスポーツリーグの裏方を支援する取り組みがアーティストやプロスポーツ選手によって実施されています。
また、10月1日に赤い羽根共同募金が開始されますので、関連ニュースが目立ちました。
日本ユニセフ協会がこの時期に実施する募金キャンペーン「ユニセフ　ハンド・イン・ハンド募金」も開始されました。
10月24日は世界ポリオデーです。国内ではあまり注目されていませんが、海外ではいくつか支援活動のニュースがありました。

カルティエが地球規模の自然危機に取り組む「ライオンズシェア基金」に加盟したというニュースがありました。「ライオンズシェア基金」について、はじめて知りましたが、とても面白い仕組みです。国連開発計画（UNDP）や企業が主導し、2018年9月に活動を開始したものです。生物多様性の喪失に歯止めをかけ生息環境を保護するため、動物が登場する広告キャンペーンを展開するたびに広告媒体費の0.5%を同基金に寄付することをブランドに求めるというものです。恒常的に寄付を集める仕組みとして秀逸ですね。

今年はリアルなマラソン大会が開催できないので、チャリティマラソンも趣向を凝らして実施されています。バーチャルでの参加から、それぞれのランナーが自分で走ってアプリで参加するという方法で実施されています。

P&Gが実施する新TV-CM『想いの架け橋〜未来へ』にあわせたキャンペーンが面白いですね。「アスリート・医療従事者・子どもへの支援金の寄付へ」ということで、賞品が当たるキャンペーンにあわせて、応募1口につき100円の支援金が応募者の選んだカテゴリー（寄付先カテゴリー：スポーツ／医療／児童福祉）に寄付するというものです。懸賞キャンペーンに、寄付の仕組みをつけて、さらに応募者参加型にするのはよいキャンペーンです。

フランスのブルゴーニュ地方で、有名な寄付付きワインをご存じでしょうか？「オスピス・ド・ボーヌ」。毎年9月に収穫、醸造され、11月にオークションで樽のまま売買され、その売り上げが医療施設の運営費等になるというものです。そのオークションの受付が10月に開始されました。オスピスとは、「ホスピス, 施療院」のフランス語です。この施設が創立されたのが、1443年ですから由緒あるチャリティオークションです。

ボーダレスジャパンが手掛ける「はちどり基金」や、先日第4回ジャパンSDGsアワードを受賞した「みんな電力」など、再生可能エネルギーを使用した電力会社が寄付プログラムを積極的に導入しています。

気になるトピックスをピックアップしました。

・藤井二冠“封じ手”がオークションで550万円
・埼玉県民のお正月のチャリティ風物詩の『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』がコロナで開催延期　総集編放送へ
・メイベリンニューヨーク、若年女性のメンタルヘルス支援プログラム「BRAVE TOGETHER」を発表、世界中で活動する主要なメンタルヘルスの支援団体へ今後5年間で1,000万米ドルの支援（日本はNPO法人BONDプロジェクトとのパートナーシップを締結）
・パーソルグループ、はたらく笑顔が寄付につながる新しい取り組み「Work, and Smile for Donation」開始
・"佐賀未来創造基金が「第１１回日本ファンドレイジング大賞」受賞
・チャリティが実施される「VOGUE FASHION’S NIGHT」、今年はオンライン開催へ
・「24時間テレビ43」寄付金総額は8億6,626万9,827円
・ＷＨＯのための新型コロナウイルス感染症連帯対応基金　$236,404,014　633,000件以上のドナーの寄付
・劇団四季のクラウドファンディングに2億円
・首里城再建の寄付が50億円突破

最後に、2020年10月に公開された記事を気になったものをピックアップしました。

国内最大級のふるさと納税大賞「ふるさとチョイスアワード2020」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000632.000026811.html
【特集】「犬・猫殺処分ゼロ」目指すはずが...　不妊去勢手術費用のために寄付金「２８００万円」集まるも　昨年度の手術はわずか"猫８匹"
https://www.mbs.jp/mint/news/2020/10/06/079810.shtml
ネットで寄付募るなら動画は不向き？　文章・図表で情報発信の方が額多く
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1178286
【READYFOR ニュースレター】10月のクラウドファンディング支援ランキング
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000164.000031325.html
多数決で寄付先を決定。新しい寄付のカタチ
https://forbesjapan.com/articles/detail/37526
ハッカー集団、大企業から奪った金を慈善団体に寄付　真意は謎
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-54628006
寄付、そして「お金の流れ」に起きている変化。いま求められるファンドレイザーの役割とは?
https://blogos.com/article/492799/
リップル社、金融包摂目的で世界的人道支援団体に10億円を寄付
https://coinpost.jp/?p=191331
ミレニアル世代の課題解決とは。お金だけでない「新・フィランソロピー」
https://forbesjapan.com/articles/detail/37871?internal=nav_cat_business

以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？