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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき… もっと読む
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2020年10月の記事一覧

Arida Vortex / Riders of Steel

Arida Vortex / Riders of Steel

Arida Vortexはモスクワで1998年にデビューしたパワーメタルバンドです。ツインリードを擁し、いわゆる王道パワーメタルを演奏していますがロシアらしさがメロディにでてくるのがポイント。基本はドイツのジャーマンパワーメタルの影響下にあるサウンドですが、北欧、東欧的というか、ルーツたるロシア的なメロディセンスが出てきてやはりドイツのバンドとは違う味わいがあります。ロシアのバンドは希少なので、聞

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Harem Scarem / Change the World

Harem Scarem / Change the World

カナダの生んだハードロックバンド、ハーレムスキャーレムの2020年作。1987年結成、1991年デビューのベテランです。爽やかなハードロックで日本でも人気を得ましたが、グランジオルタナの隆興を受けて1990年代後半にはバンド名をRubberに変えるなど試行錯誤を経て2008年に一度活動休止したものの、2013年に復活しその後はコンスタントに作品を発表しています。ベテランらしい円熟味のある演奏力、爽

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Nightwish / HUMAN. :II: NATURE

Nightwish / HUMAN. :II: NATURE

フィンランドの誇るシンフォニックメタル、Nightwishの2020年作。一ジャンルを築き上げたバンドです。さすがの風格のある作品でしたが、2枚目のオーケストラのインストはやや冗長。ただ、こうした挑戦をすることはアーティストの姿勢として素晴らしいと思うし、声や、各種電化された楽器のエフェクト(ディストーションとかその他もろもろ)の緩急に頼らず、クラシックのフォーマットで聴けるメロディを作るというの

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Poppy / I Disagree

Poppy / I Disagree

YouTube発のシンガーソングライター、Poppyの2020年作。メタル音楽に接近した作風となっており、Babymetalら「Kawaii Metal」に対するUSからのアンサー的な内容になっています。「Kawaii Metal」は音楽的にはメタル+J-POPのアーティスト群ですが、こちらはJ-POPの影響を多少感じさせはするもののあくまでUSのポップスとメタルを組み合わせているのが斬新。なるほ

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Mahsa Vahdat / Enlighten the Night

Mahsa Vahdat / Enlighten the Night

こちらもe-Latinaでおススメされていたアーティスト。中央アジア~北アフリカの音楽が好きなので聴いてみました。

 マーシャは、クラシックおよびワールドミュージックの範疇で活動する女性ヴォーカリストで、長年ペルシャ/イランの古い伝統的民俗音楽の唱法を彼女なりのやり方で習得。本作は、現代ペルシャの詩にクラシカルなメロディーを付けたものです。

確かにクオリティが高く、古典的で優美な伝統音楽の音世

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Finntroll / VREDESVÄVD

Finntroll / VREDESVÄVD

フィンランド、ヘルシンキ出身のフォークメタルバンドFinntrollの2020年作。1997年デビューとフォークメタル界では古株。7年ぶりのニューアルバムです。これが素晴らしい出来で、バンドコンセプトたるダークファンタジーな世界観を余すところなく音で表現しています。基本的にボーカルはグロウル、デス声のゆがんだ怪物声ですが、アルバム全編を通してメロディに満ち溢れています。ダークファンタジーといいつつ

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Dead Lord / Surrender

Dead Lord / Surrender

スウェーデン、ストックホルム出身で2012年結成2013年デビューのデッドロード。Thin Lizzyなど70年代、80年代のハードロックに影響を受けたヴィンテージロックを奏でていました。聴いた印象だけだとThin Lizzy関連の人が作ったバンドなのかと勘違いするほどそれっぽい。特に関係ない若手バンドのようです。人間椅子の鈴木研一さんが「70年代HRは完成した芸術だと思っている」と話していました

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Trivium / What The Dead Men Say

Trivium / What The Dead Men Say

USメタル新世代の雄、Trivium。メタル音楽のフォーマットは70年代のハードロックを経て80年代のN.W.O.B.H.M、80年代後半からのスラッシュメタル、インダストリアルメタル、プログレメタル、90年代のメロデス、メタルコア、グランジあたりで基本的なフォーマットは出そろい、あとは洗練させていく、極端にしていく、あるいは異質なものと組み合わせて拡張していく、といった段階に入ったと思っています

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Lionheart / The Reality of Miracles

Lionheart / The Reality of Miracles

元IRON MAIDEN~PRAYING MANTISのデニス・ストラットン、UFOの元ドラマー、クライブ・エドワーズ、マイケル・シェンカーフェストに参加中のスティーヴ・マンなど、UKメタル界のベテラン達が在籍するイギリスのLIONHEARTの2020年作。スティーブハリスがアーリーイヤーズのビデオの中で「デニスはいいプレイヤーだったけどTOTOみたいな曲を作ってくるから音楽性が合わなくなったんだ

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The Flaming Lips / American Head

The Flaming Lips / American Head

アメリカン・サイケデリックロックのベテラン、フレイミングリップスの2020年作。相変わらずドリーミーでサイケデリックな音世界。ソフトブレティンのRace for the PrizeやヨシミのDo You Realize??ような一聴して耳を惹く突出したポップアンセムはないものの、ベテランの職人芸と確立された個性ある音世界を楽しめる良盤。カラフルながらフォーキーで静謐な音作りで、後半に行くにつれ世界

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Lamb of God / Lamb of God

Lamb of God / Lamb of God

現在のUSメタルシーンの雄、Lamb of Godの2020年セルフタイトル作。徹頭徹尾アグレッションが高く各種エクストリームメタルのエッセンスを煮詰めて進化させたような作品です。「ヘヴィメタル」と聞いて想像される激烈な部分を抽出したような出来栄え。かといってプロダクションは高品質で音楽としての娯楽性もあります。速さ、重さ、残虐性、美しさ、など、それぞれ突き抜けたアルバムは他にもありますが、各種要

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Marilyn Manson / WE ARE CHAOS

Marilyn Manson / WE ARE CHAOS

ショック・ロックの雄マリリン・マンソンの2020年作。それほど熱心に聞いたことがありませんでしたが、けっこう70年代ロック的な質感も持っているのですね。ブラックアルバム以降のメタリカもそうですが、ある程度ビッグになったメタルアーティストは70年代ロックの語法に回帰していくのかもしれません。シアトリカルで物語性があり、ボーカルパフォーマンスが主体の70年代ロック、ということで、ピンクフロイドのロジャ

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Bab L'Bluz / Nayda!

Bab L'Bluz / Nayda!

Peter Gabriel主宰Real Worldレーベルから期待の新人。ワールドミュージックチャートで軒並み高評価なので聴いてみました。自国のルーツミュージックを掘り下げつつ60年代、70年代の初期ロックと組み合わせ、現代のセンスで料理しているのが新鮮。前知識なしで聴いてみて「音階がオリエンタルだけどトルコ程節回しが強くないし、北アフリカのバンドかな」と思ったら当たりました。伝統音楽の解釈や演奏

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Chelmico / maze

Chelmico / maze

あまり聴かないジャンルの音楽シリーズ。聞いたきっかけはこの記事です。

フォローしている書き手さんの熱量ある記事を読んだのと、友人のデザイナーからEasy BreezyのMVを「この3Dアバターの使い方はぶっ飛んでて面白い」と紹介されたのがきっかけ。同時期に二方向からおススメされて、その後もちょくちょく目にしたので興味を惹かれて聴いてみることにしました。

2020年リリース

★ つまらない

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