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連載小説《魔法少女えりっこ×りょっこ》第3話:少女達の決意と恐怖心(1)

 《前回のあらすじ》
 学校を襲撃したノワールを駆除した恵璃子達。塔子の後を着いてきた魔法少女・臨美も仲間に加わる。
 しかし、ノワールを駆除して皆が笑い合う中、塔子だけが険しい顔をしていた。
 その帰り道、喫茶店『Charme -シャルム』の店長・絢子が恵璃子と稜子をバイトに誘う。
 恵璃子達が了承すると、絢子はひとり含みのある笑みを浮かべたのだった。



 ノワールが恵璃子たちの学校を襲撃した翌朝。緊急の全校集会が行われた。校長の高弘が全校生徒の前で昨日のことについて話している。
「昨日、謎の生物が現れてみなさんに危害を加えましたね。この謎の生物が何なのか、まったくわかっていません。幸い、大きな被害はありませんでしたが、みなさん怖い思いをしたと思います」
 その後、教頭の美千子が続ける。
「今後もこういったことがあるかもしれないので、十分に気をつけるように。また、下校の際は──」
 話が続く中、恵璃子と由希と茉弥、勇司は小声でなにやら話している。
「気をつけろって言われてもな……。まあ、恵璃子たちがいれば大丈夫だよな!」
 勇司は頼もしそうに恵璃子たちを見る。
「ええ……」
 恵璃子は少し控えめな表情で返事をする。
「もちろん大丈夫よ!」
「うちらがやっつけるもんな!」
 自信ありげに、由希と茉弥が言う。小声で話をする恵璃子たちを、担任の修がジッと見つめていた。

 *

 集会の後、恵璃子と由希と茉弥は修に呼び出され、体育館の用具室にいた。そこには恵璃子たちの他に稜子もいた。稜子の担任の雄貴もいる。
「お前達、昨日は危ないことしていたようだな?」
 雄貴が腕組みをしながら4人に言う。
「確かに危ないことですが、みんなを助けるために戦っていただけです」
 そう答えたのは稜子。
「そうは言っても、お前達に何かあったらどうするんだ!」
「井川先生」
 大声を出した雄貴を、修がなだめる。そして恵璃子に言った。
「椿野……お前の言ってた魔法少女ってこういうことだったのか」
「私の言ってたこと、これで信じてもらえましたか?」
「どうやら、本当のことらしいな……」
「私達が戦わないと、人間界はこの魔物──ノワールに支配されてしまうんです」
 真剣な表情でそう言った恵璃子に、由希が続く。
「私も北村先生みたいに信じてなかったけど、この状況を知った今、この世界を守るために戦うって決めました」
「でも、お前達が危険な目に……」
 話に入ってくる雄貴に、今度は稜子と茉弥が口を開いた。
「危ないこととはわかってます。命がけのことだってことも……。でも私たちがやらなきゃいけないんです!」
「みんなのことは、ウチらが絶対に守ってみせるんで!」
「お前ら……」
 修は4人を見据える。
「だからお願いです。私達に戦わせてください!」
 恵璃子が力強くそう言って頭を下げると、それに続いて3人も頭を下げた。
「……」
 それを見て黙り込む修と雄貴。そして修が口を開いた。
「……わかった。俺からは何も言わない」
「北村先生……!」
 頭を上げた恵璃子が、晴れやかな顔で修を見つめる。
「いいですよね? 井川先生」
「し、しかし……」
「責任は私がとります。信じましょう、こいつらを」
「北村先生……」
 真剣な修のまなざしに、雄貴は黙り込んでしまった。
「お前らを信じても、いいな?」
 修が4人に尋ねる。
「はい……!」
 噛み締めるように返事をする恵璃子。
「私達は大丈夫です!」
「ウチら、簡単には死なないんで!」
 胸を張って、由希と茉弥が言う。
「全力でみなさんを守ります!」
 稜子は力強く宣言する。
「そうか……」
 修はそんな4人を順番に見つめる。4人とも、ゆるぎない真っ直ぐな瞳で修を見つめ返していた。
「ただし、無理はするなよ。……まさか、お前らに守ってもらうことになるとはな……頼んだぞ」
「はい!」
 恵璃子達は新たな決意を持ち、大きな返事をした。

「ちょっと北村先生! 本当にいいんですか!?」
 用具室から恵璃子たちが出ていった後、雄貴は修に言う。
「大丈夫ですよ。きっとあいつらは本当にやってくれるし、本当に簡単に死んだりなんかしない。根拠はありませんが、俺はそう思います」
 修は腕組みをして、恵璃子たちの後ろ姿を見送りながらうなずいた。



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