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連載小説《Nagaki code》第10話─それはきっと、恋

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 次の日。僕と高校生ふたりのアルバイトはせっせと働いていた。要領は昨日だいたい掴めたから、仕事はなんとか出来ている。……はずだ。
「休憩しましょ」
 佐伯さんは僕らに言った。その時、職場の奥のドアが開き、ひとりの女性が現れる。
 僕は息を呑んだ。その人に目を奪われていた。透き通るように真っ白な肌、ぱっちりとした澄んだ瞳、天使の輪が輝く長い髪、凛とした顔立ち、すらっと長い手足。女神でも現れたのかと思った。
 服装は、袖付近に赤のラインがぐるりと入った黒のジャケットにタイトスカート、縦に一本、横に一本、赤のラインが入っているネクタイ。郵便局の制服だ。
「お疲れ様です。アルバイトの子達ですか?」
 その女の人は、穏やかな声で佐伯さんに尋ねる。「ええ、そうよ」と佐伯さんが答える。
「へぇ、そうか。頑張ってね」
 僕らに笑顔を振りまいたその人は、そのまま職場を横切って給湯室の方へ消えた。キラキラした空気があたりに残る。
「あの子は、椿恵理紗ちゃん。薬師岱郵便局のマドンナよ」
 不思議そうな顔をする僕らに、佐伯さんは説明した。そうか、ここは郵便局が併設されているんだ。
「椿さん……」
 僕はぽつりと呟く。この職場のすぐ隣に、こんな綺麗な人がいたんだ……
 僕はその場にボーッと立ちつくしていた。不思議そうな顔をする靖歩ちゃんと、僕をニコニコ見守る佐伯さんに気づいたのはしばらく後だった。

 年末年始はあっという間に過ぎた。誤配もなく、無事に最終日まで来た。
「この仕事、楽しかったから、終わるの寂しいです」
 僕は、照内さんにそうぼやいた。
「だったら、正式な社員としてここで働いてくれよ」
「……えっ、いいんですか?」
「ああ。うちとしては大歓迎」
「ぜひ働かせてください! 僕、この仕事やっていきたいです!」
 興奮した僕は即答し、照内さんの手を取った。照内さんはびっくりした様子で「あ、ああ……」と小さい声を上げた。
 いい雰囲気の職場で、自分に合った仕事が出来る。その事が嬉しすぎて、ちょっと泣きそうになった。
 たまたまから始まった出会いが、こんな風に結びつくなんて、偶然にしても嬉しかった。
 
 僕、本格的に、人と人とを繋ぐ架け橋になれるんだ!

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