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連載百合小説《とうこねくと!》踊る!うさちゃん東子さま(3)

 みなさん、こんにちは。北郷恵理子です。
 前回のお話はこちらからどうぞ。


 と、その時。歩みを止めるウサちゃん東子さま。
 次の瞬間。ウサちゃんの着ぐるみを着た東子さまが、曲に合わせて踊り出したのです。
 ……そうです。東子さまは星野源さんの『恋』を完コピして踊れるんでした。それにしても、ウサちゃんが恋ダンスを踊るなんて……なんとも言えず面白い光景です。
 いつしか東子さまのまわりには人だかりができていました。踊り続ける東子さま。東子さまのお顔は見えませんが、ウサちゃんの顔がまるで笑っているように見えます。可愛さ爆発です。
 
 曲が終わると、屋上遊園地は大きな拍手に包まれました。踊りきった東子さまはちょっとよろけておじぎをして、照れたように頭をかく仕草をしました。
「すごすぎますよ東子さま!」
 人がはけてから、私は東子さまの元へ向かいます。
「ありがと……。あ、暑い……」
 東子さまは地の底から這うような声を上げました。
「頭、取ってもいい……?」
「ちょっと陰に移動してからにしましょうか」
 人目がつかないところに移動した私たち。東子さまは「ぷはっ」と頭を取りました。気持ちよく広がる青空の下で、爽やかな汗が飛び散ります。お顔もやっぱり真っ赤っか。
「東子さま」
「ん?」
「可愛い、ですね」
「……もうっ」
 フッと微笑んだ東子さまは、私の頭をポンポンと撫でてくださりました。ウサちゃんのふわふわの手が気持ちいいです。
「あの、東子さま……」
「どうしたの?」
「あっ、えっと、私……」
 続けようとして、私はその先の言葉を飲み込みました。私の視線の先に見えた複数の人達は、高校時代の同級生。
 
「……!」
 
 私の身体が震えだしました。思い出したくもない、忘れ去ることも出来ない、深い傷となったトラウマが鮮明によみがえります。
「恵理子ちゃん!?」
 東子さまが険しい表情で私の名前を呼んだのを最後に目の前が暗くなり、そこで私の記憶は途切れました。


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