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日本酒の生酒を温めてみたら、予想以上に美味しかった。

こういう事態とあって、初めてオンライン販売で日本酒を購入してみました。合計3本購入したうちの1本が、写真にある『赤武/純米吟醸NEW BORN 雄町/生酒』。

季節的なものもありますが、この数ヶ月は火入れのお酒よりは生酒を集中的に飲んでます(*生酒とは、日本酒製造工程において行われる加熱処理をあえてしないことで、しぼりたてフレッシュ感を残した日本酒のことです)。

上記『赤武』は、1年ほど前にどこかの飲み屋さんで口にして美味しかった記憶があり、今回購入。「限定酒!次はいつの入荷かわかりません!」なーんて、酒屋さんの大々的セールスにもっぱら弱いぼくは、まずこのお酒をカートに入れてました。。

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まずは生酒のセオリー通り、冷蔵庫保管で冷やした状態(かつ開栓したて)で味わってみた結果は以下の通り。

上立香は、甘みたっぷりジューシーなマスカットを思わせる。
口に含むとほんのり微炭酸をかき分けるように、厚めの柔らかい酸味に乗って雄町の旨味がたっぷりと口の中に広がる幸せ感。 
柔らかい酸味と優しい苦味が最初からお米の旨味をしっかりと支えてくれる。これだけの甘み旨みたっぷりのジューシーさを出しながら、くどさを全く感じさせないところがすごい。  
何杯か飲んでみると、決して前面には出てこない酸味が、この分厚いお米の旨味とフレッシュジューシー感を最高のバランス感で演出していることに気付く。 

と、自分で書いたテイスティングのコメントを見返してみて、このお酒の特徴を考えた際、お米(雄町)のたっぷりの旨み甘みはもちろんのこと、決して前面には出ないが裏方としてしっかりとその存在感を感じさせる「酸味」にあることに気付く。

お米の旨み甘みと、柔らかながら厚めの酸味。

この特徴は、熱燗に向いてるのかもと思い、試してみました。

通常、生酒は冷やした状態でそのフレッシュ感を楽しむのがセオリー、というよりは冷やした状態で飲めば一番美味しく感じるように造りが設計されているはずにて、あまり熱燗にするものではない、と言われることが多いのですが。

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アルミ製のチロリで湯煎。沸騰寸前で火を止めたお鍋のお湯にチロリを浸けること約2分。

人肌燗=35度~ぬる燗=40度くらいを狙ったものの、軽く指で触れた感じは熱燗=50度くらいになったと思われ、入口のアルコール感と苦味を感じたため、チロリを流水で冷やして再度お鍋にドボン。(こんな適当なやり方でいいのか。。)

人肌燗程度になったと思われるタイミングを見計らって飲んだところ、これが予想以上に美味しい!人肌燗でのお味は以下の通り。

上立ち香は、味の分厚いヨーグルトやバターを思わせる。
口に含むと酸味が際立つことで、甘みとのバランス感がさらに良くなる。これは美味い。
酸味の輪郭がはっきりすることで、このお酒の旨みと甘みがまろやかながらも酸味のバリアーと一体となってバランスの取れた「美味しさ」としてやってくる。
酸味の輪郭がフレッシュ感を伴うのは、生酒の特権かも知れない。
合いそうなのは、ずばり炊き立てご飯。塩気がこのお酒の甘みを引き立てると思うので、ジャコかけご飯なんて最高だと思う。

生酒なのに温めても美味いんです、これが。書いてる通り、温めても酸味の輪郭にフレッシュ感を思わせる辺りはすごい。

冷やして飲んだ際に、いわゆる「華のある香り」を持つお酒ではないと感じた一方、旨み甘みと酸味が特徴だと感じたので、やっぱりこういう酒質のお酒は「生かどうか」に関わらず、温めても美味しいんだと思います。

もっと言えば、実力のあるお酒、丁寧に造られたお酒は何をやっても美味しいんだと思ってます。

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「飲用温度帯が非常に広い」

というのが、他の酒類にはない日本酒の特性の一つです。「ホットワイン」や「ホットウイスキー」なんかもあるにはあるし、ぼくもヨーロッパ駐在中の冬の寒い時には時折飲んではいたものの、日本酒の燗ほどの美味しさは正直感じませんでした。

その点、今回の生酒温めバージョンは、改めて日本酒に対する好奇心を高めてくれる結果となりました。

いやいや、やっぱり美味しいですね、日本酒は。

ちなみに、温めて飲んだテイスティングコメントで「炊き立てご飯」に「じゃこ」をかけたら最高に合うと思う!なんて言っておきながら、どちらも準備してなかったので、代わりに冷蔵庫にあった生ハムと一緒に。

生ハムの脂の上品な旨さが、このお酒のまろやかな旨み甘みと一体になり、温かいお酒の温度が脂の旨みを口の中で溶かしながら大きく広がっていく様子は、何とも言えない最高のペアリングでした。

今回の生ハムは「コッパ」という、通常のプロシュートに比べると赤身の脂肪分がやや多く、サラミに近い旨みと甘みを持つものなので余計にマッチングしたのかも知れません。

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お燗、良いですね。

今回の実験では、熱燗=50度と人肌燗=35度の間にもかなり味わいの違いがあるように感じたので、従来の酒器別味わいの違いを探る「おいしい酒器」シリーズと平行して、熱燗シリーズもやってみます。シリーズ名は「おいしい温度」ぐらいですね。

と書きながら、実はAmazonで熱燗用の温度計を既に注文しちゃってます!

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