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今月の短歌 23年9月1日~9月15日

悲しみの代わりに劇薬を飲めばその場凌ぎにと思い込んで

冷蔵庫にある醤油差し倒して辺り一面消えぬフレイバー

光の矢よりも大きなコントローラーでいたい おわら風の盆

考えることを諦めないようにと寝ることを放棄す明け方

吹き飛んでいった吾の真夏たち 季節は春までグンと加速する

つま先と踵を行ったり来たりする仕草に溢れる待ちきれない愛

快速の止まらない駅のベンチ探す君が降りてくる筈は無きとも

激痛を伴う過去を振り返りこの十三年、星が見えるよ

月を読み死と永遠の抗いは愚者の旅路も幾星霜へ

褒められることは他者からだけでなく心に留める、自立の姿勢

他罰的な日常見直しつつも牡蠣が苦手な日は変わらない

無味無臭 傷ひとつ無い刀売り 個の失せた賊 いつか我が斬る

精神の弱さにおける自覚すら忘れ去ってはピアノを習う

スポーツが無いとダメだね これ以上動けないので外から魔法を

同モデル 君との違いが眩しくて それは「アイアン」吾のは「R」

その声が未来の果てを拒むなら嘘だらけの道化師になる

ふらつきを伴うダウナーただでさえスワイプ操作覚束ないのに

南の海より降り注ぐ吾の願い 馬鹿げた景色に「no way」と吠えろ

この秋を鳴く鈴虫はイヤホンを貫き届く魔法の音色

才能で全て片付けてきたよな二人の処女作 吾の覚悟は其処

左手に太陽右手にも太陽 浮かない空を漂白させて

あなたには無色の「zéro」がありますか?他を罵る「恥」はありますか?

黒い靴甘えるように履く季節 白き車窓はほらすぐそこに

我儘や自由を具現化出来るなら絶望の過去を書き換えてやる

きっとスタートに遅いは無いのさ、その判断に悔いはないでしょ?

セミの抜け殻を発見。ああ季節はもう秋なのかと更けた夜に

ネガティブな時はグレーで誤魔化しアクティブな時はネイビー多め

フィールドにウォークライを轟かせ国を誇るは十五の魂

両国のスペシャリストである父が今年は「ギブ」と月日は流れし

ドイツ戦「生きるか死ぬか」どちらを選ぶ?構えは袈裟か逆袈裟か

VS(バーサス)の後に付く.(ドット)には身をシェイプする力あるのに

玄関をスッキリさせることにした 一人一足 空間広く

今いちばん始めてみたいスポーツはゴルフのラウンド、スライス強め

やはり今日は恋の色香に流されない うらぶれる事無いデニムもそう

無機質な「コニチワ」8時間続け自己申告で日給決まる

〇〇としたフレームにイメチェンす 新たな装いそぞろな糸目

ストレッチを侮るなかれ 汗かいてイメージ確認してパンクを聴け

結果へは拘らないよ自分のペースへと退屈な向きに雑なパス出す

秋模様 赤くて青いジョーダンを中間色に突き刺していく

静寂とサイレン交じる街の声「あなた」を必要とする時雨

若くして死んでしまった雷は藤紫を帯びつつ昇る

愛より恩、罪より恥を重んじる顔と身を隠し続ける国

宵闇に茫漠とした足跡をオレンジ色の影に重ねて

記憶とは曖昧なもので届かない君との記念日に鐘は鳴る

マリーマリー、緩やかに効く毒薬が夢で逢えない罰を与えた

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