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今月の短歌 23年6月1日~6月15日

「ヨーイドン」朔に始めた維持と意志 興に染まれば学も広がる

陽の光求めるシャツに洗濯機ジメジメするねと五月雨は降る

ご近所のあの女の子に見てもらおう 母がせっせと蒔いた朝顔

「青が似合うね」その一言が君であり生きる価値塗り替えていく

視線すら交わせなかった同級生 告げる言の葉 今でも好きだ

流星群 誰かに届くはずだから 幾万億の時節拾って

「俺の五倍苦労するよ」と上司言う 向かい風に誓った笑顔

足元に少し軽さと涼しさを初夏の陽気の大事な要素

緊張は起爆剤へ変わるんだ破裂しそうな胸握りしめ

履き心地で選ぶコルクサンダルが季節を一層新しくする

「Buon giorno」ブーツを履いたあの国に行ってみたいと高い辞書買う

スクーターがスラリと風を感じ始めた先に待つ夏の入り口

淡々と反復実るアウトサイド 時の支配者コートを射抜く

木々奏でお疲れ様のコンチェルト 湿り気の空暮れのカフェオレ

おはようと声掛けるその太陽が淡黄色で光り輝く

遠い夢 羊はいつか時を知るふと瞬けば数を数えた

「君は口だけ」「君は口だけ」「君は口だけ」だと告げられた日々よ

飛び込んで息を吐きつつ満ちる世界 青が静まり過去を忘れる

黄ばむので仕舞う白いスニーカー 汚れ履きジワ無いのが今風

後ろからギュッとされて気持ち知る同じクラスの少し目立つ君

微睡みよハローハローと矛盾して静けき部屋で眠り待ち侘ぶ

難聴の右耳にイヤホン突っ込んで まだ聴こえるよと暗示かける

血を吸われラケット状の武器持って部屋中周る徹底抗戦

つばくらめ引越し先が決まる中お昼はまだかと母急かす雛

裸足になりその踏み込みを確かめて羽撃けたなら東へ向かうよ

頑張ってフリック入力両手持ちしてみるけどやはり慣れない

ふたりきり時よ止まれと神に祈る終わらない夢叶いますやう

再現と根拠を求める空間で笑顔のステッキ振り続けた

曇天に霹靂鳴る朝 長い髪ヘアゴム巻けばからだは軽く

チュンチュンと雀のコーラス 窓際を黄色くする空「おかえりなさい」

パタパタと音鳴る革のサンダルは毎度靴擦れ起こす天敵

最後まで使い切りたいけど余るシーザーサラダのドレッシング

残る痣 15の夏に巨悪を知り孤独はある日覚悟へ変わる

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