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そして、海外へ!

皆さま、こんにちは!
初回をお読みくださった方々、ありがとうございます。
季節は冬、まだまだ舞台のお仕事は全力でできる状況にはないため、冬眠がてらこつこつと記事をアップしてまいりたいと思います。

今回は私が初めてフリンジに参加した2007年モントリオールのようすなどをご紹介してまいりたいと思います!
(この記事はマネトラガールにて2020年に連載したコラムに加筆したものです。)

そして、海外へ!

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                      (初期の小心ズ ©️仁礼博)

小心ズは2007年にカナダのモントリオール・フリンジ・フェスティバル(演劇祭)に初めて参加しました。
そしてこれが、私の人生を大きく変えることになったのです。

世界はなんて広いんだろう!
舞台芸術というものは、なんて豊かで自由なんだろう!

モントリオールは北米のパリと呼ばれ、英語とフランス語の二つが公用語です。世界的に有名なジャズフェスをはじめ、映画祭やF1レース、サーカスフェスなど、夏はお祭りだらけです。

あ!そうそう、シルクドソレイユの本拠地もモントリオールです。

私はそのシルクドソレイユの正式登録アーティストでもあります
(そのシルクも経営が破綻し、今はたいへんな状況ですが。)

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                         (週末のにぎわい!)

真冬にはマイナス30度以下にもなるモントリオール。短い夏を楽しむために、人々はそれはもううれしそうに夜遅くまで街で騒ぎます。日没が遅く、夜8時半くらいにようやく夕暮れという感じ。

フリンジ(演劇祭)は毎年6月のおよそ2週間、町中のいろんな会場で開催されます。

フリンジの発祥

フリンジ・フェスティバルの発祥はスコットランドのエジンバラで、その歴史は70年以上

1947年、エジンバラ国際演劇祭が開催された際に、そこに招待されなかった劇団や演劇人たちが、ならば自力で!と始めたのがフリンジだと言われています。

「フリンジ」には「周辺」という意味があり、まさにこの演劇祭の「周辺」で自発的に始まったムーブメントが、フリンジのスピリットの核となっています。

中心でないもの、つまりメインストリームではない実験的なもの、前衛的なもの。サブカルやインディーズのスピリットにも似ているかと思いますが、とにかくあらゆる舞台芸術に開かれた場であることが理念です。

有名無名を問わず、プロアマを問わず、人種や宗教や国籍も問わず、ありとあらゆるにんげんに表現のチャンスを等しく与えるというフリンジ

今や世界中に広がり、モントリオール・フリンジも30年になります。

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           (町中に壁画があるのも、モントリオールの特徴)

劇場はもちろん、教会や図書館やライブハウス、バーや学校が会場となる場合もあり、週末になると同じ会場でなんと8本も異なる演目が次々と上演されることもあります。

100本を超える作品が、2週間のうちに町中の会場で!

チケットはおよそ1000円弱です。映画よりも安い!当時は驚愕でした。

あれも観たい!
これも観たい!

パラダイスの2週間

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(フリンジの一大イベント、ポスター貼りレース!解禁と同時にダッシュでポスターを貼りまくれ!©Cindy Lopez)

人生最初のモントリオール・フリンジで、私は世界中からやって来た膨大な数の舞台作品を、できる限りたくさん観たい!と、興奮しました。

こんなパラダイスあるだろうか!

わくわくしながらプログラムを熟読し、観たい作品を選び、ショースケジュールと自分の公演スケジュールなどを照らし合わせ、パズルを作るように2週間の計画を立てるのです。

これがフリンジの醍醐味のひとつ。

人気のある公演はチケットがソールドアウトになることもしばしば。

そして新参者の私たちは連日連夜、自分たちの宣伝もしなくてはなりません。
一日中あの白塗りメイクと衣装とカツラをつけ、炎天下で何百枚ものフライヤー(チラシ)を配り歩き、ポスターを貼りまくり、そのままの格好で観劇もするのです!

これぞフリンジ・スタイル。

ありとあらゆるジャンルが集まる

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(私が世界でいちばん尊敬している、天才デュオThe Cody Rivers Showの二人 ©Cindy Lopez)

フリンジには想像をはるかに超える様々なジャンルの舞台表現が集まります。

・ドラマ(シリアスな内容の演劇)
・ミュージカル
・コメディ
・ストーリーテリング(主に実話を語る、ソロショー)
・ダンス(コンテンポラリーやバーレスク、ヒップホップ、なんでも!)
・サーカス(アクロバットなど様々な技と芸)
・クラウン(道化)
・インプロ(筋書きのない即興劇)
・人形劇、影絵劇
・映像やテクノロジーを使った前衛的なもの
・パフォーミングアート(町中全部を使うものまで)

まだまだ書ききれない……。

さらにコメディとひと口に言っても、いろんなスタイルがあるのです!

・スタンダップコメディ(一人でマイク一本で観客に向かってしゃべる芸)
・スケッチコメディ(コントのように状況や役割のあるもの)
・インプロ(即興劇。台本も筋書きもないもの)
・フィジカル・コメディ(セリフよりも身体表現を多用するもの)
・クラウン(道化。無言劇もあれば、しゃべるタイプもある)
・スラップスティック(ドタバタ劇)

肌の色も、宗教も、国籍も、生い立ちも、年齢も、何もかもが異なるいろんなアーティストたちが、それぞれのスタイルで自由に舞台に立ち、表現する。

その面白さと言ったら果てしなく、人生で観たことないものばかりでした。あまりにも衝撃を受け、2回観に行ったショーもありました。
毎日が感動の連続で、身体も頭も心も、ぐるんぐるんと回転しっぱなし。

さあ、皆さまもご一緒にモントリオールへの旅を楽しんでいただけましたでしょうか?
I hope so!

ではぐるんぐるんのジェットコースターのような旅は次回へ続きます。

たっぷり食べて、たまにはビール飲んで、どうぞお元気で!



あなたのサポートにより、ヤノミがビールを飲むことができます。そのビールはエネルギーとなり、新たなコメディを生んでいきます。乾杯!