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★仏像展★「祈りの仏像 出雲の地より」in 島根県立美術館

出雲と言えば出雲大社で!?なにかと神社のイメージが強く、仏像はあまり知られていない認識だが、いや、京都・奈良・滋賀・鎌倉の美仏クラスがいるじゃないか!!満足の仏像展!!

▼公式HP、博物館

チラシです。仏像の写真が見れます!

https://www.shimane-art-museum.jp/upload/cfc3b8ea4197a2180c2132e0133fc3f5a4f2a8a8.pdf

▼動画紹介(リンク) 

寺では見られない勇ましさも 仏像の企画展 島根県松江市 (nkt-tv.co.jp)


▼ニュースメモ

祈り・・・。自然災害、天候不順、戦乱や疾病、近しい人の病や死・・・。ひとの力ではどうすることもできないものに向かうとき、祈りは捧げられました。6世紀以来、わが国で千年をこえて拝され続けてきた仏像は、こうした人々の思いを一身に受けとめてきたのです。本展では5つの特徴的なテーマにそって、石見の仏像はもとより、中国地方5県から仏像・仏画が大集結。この地に生きる人々に受け継がれた祈りの造形(かたち)に迫ります。2009年の企画展「千年の祈り 石見の仏像」から6年の歳月を経て、当館による仏像調査は石見全域に及びました。これにより得られた最新の研究成果を中心に、さらに壮大なスケールで開館10周年を記念します。国宝2点、重要文化財16点、新発見・初公開作品12点を含む展示総数約60点。

↓引用元

 島根県立美術館では、企画展「祈りの仏像 出雲の地より」を開催いたします。
祈り—。自然災害、天候不順、戦乱や疫病、近しい人の病や死・・・。ひとの力ではどうすることもできないものに向かうとき、祈りは捧げられました。6世紀にわが国に伝来し、千年を超えて拝され続けてきた仏像は、こうした人々の思いを一身に受けとめてきたのです。かつて出雲国と呼ばれた島根県東部地域は、古代以来、地域性豊かな歴史文化を育んだことで知られます。その出雲において、人々の祈りを受けとめてきた仏像はどのような展開を見せたのでしょうか。本展では飛鳥時代から鎌倉時代までに制作された尊像が一堂に会し、出雲国の600年に及ぶ仏像の歴史を振り返ります。

↓引用元

▼仏像感想

文中の「※写真あり」は次のサイトを参照ください。

▽第一章:飛鳥・奈良時代

→出雲・鰐淵寺「観音立像@重文」「観音立像@重文」「如来立像」「誕生釈迦如来立像」

 確か京都や奈良の仏像展でも登場する有名人ですね。法隆寺、一乗寺、鶴林寺などの金銅仏相当である。

→出雲・法王寺「菩薩立像」


→出雲・大山寺「菩薩立像@重文」「観音菩薩立像@重文」

  延暦寺比叡山クラスの霊山ですね。菩薩立像は腰捻り系の鶴林寺・あいたた観音に似ている気がする。観音菩薩立像は姿勢が良いのが特徴かな。金銅仏は難しい・・。

▽第二章:平安時代 --

→安来・清水寺「十一面観音立像@重文」

 鰐淵寺と大山寺と並ぶ、出雲・伯耆を代表する古寺で、滋賀にいそうな十一面観音立像である。本堂に安置され江戸時代には秘仏だったらしい。
 カヤの一木造りで、雰囲気は奈良・當麻寺(当麻寺)に居ても違和感を感じない仏像で、白鳳時代から平安時代の変換期のものに感じた。

→松江・佛谷寺「薬師如来坐像@重文」「菩薩立像(伝虚空蔵菩薩)@重文」「菩薩立像(伝観音菩薩)@重文」

 出雲を代表する仏像寺はここだと思う。佛谷寺の宝物館で安置されている重要文化財セブン!
 まずは「薬師如来坐像+日光・月光菩薩立像」といえば「薬師三尊」ですね。中尊の薬師如来坐像の顔と頭が特徴で白毫が目立つなという感じで、結跏趺坐で薬壺の蓋が十六菊に見えたので、国分寺のものでは?とも思ってしまう。なお、寺では出雲式仏像なんだそうな・・。ただ、どこかで見た気がする顔なんだよな・・。

 寺では日光菩薩立像と月光菩薩立像が安置されており薬師三尊がそろっているのだが、今回は出展されていない・・。

 「菩薩立像(伝虚空蔵菩薩)@重文」の特徴は右手首に衣文が巻き付いているのが超特徴的。腕が膝下あたりまであるので、良く観音の特徴を出しているなと思う。若干、お腹のポッコリ感が達身式に通じるのではと思ったり。
 「聖観音菩薩立像」も、虚空蔵菩薩と同じく天衣が右腕に巻き付き、丁寧な衣文。

→雲南・禅定寺「菩薩立像(伝観音菩薩)@重文」

 聖武天皇勅願で行基が建立した寺。こちらも天衣が右腕に巻き付いている。出雲様式という仏像様式なのだろうか?ということは仏師集団がいたということだろうか。江戸時代の古書によると33年に一度の秘仏だったようだ。

→松江・萬福寺「薬師如来坐像@重文」「菩薩立像(伝日光菩薩)@重文」「菩薩立像(伝観音菩薩)@重文」「四天王立像@重文」

 一般には大寺薬師とよばれ、推古天皇のころ鰐淵寺の開山智春上人が建立したと伝えられる。

 仏像は古都・奈良に居てもおかしくない薬師三尊である。と言いたいが、月光は寺でお留守番で、聖観音が展示されていた。。薬師三尊が揃っているのに出さないのは何なのだろうか・・。
 図録によると、六波羅蜜寺の宝物館に安置されている薬師如来坐像に通じるものがあると解説しているが、確かに言われてみれば、そう感じる。
 
 次に菩薩立像、四天王を見仏すると完全に奈良・大安寺だな!と思った次第である。

  四天王立像@重文だが、大きい!こちらは興福寺っぽくも感じる(言いすぎかな)。四天王といえば、邪鬼が見どころの1つだが、ここは邪鬼ではなく磐座になっている気がした。

▽第三章:平安時代 -都との繋がり-

 良い仏像が多いのはここから。どうも安来、松江あたりは京都の摂関家の荘園でもあったようだ。ということからも、よい仏師を呼んだか、都から仏像を持ってきた可能性はある。ここから京都に居てもおかしくない!という仏像が続く。

→松江・萬福寺「大日如来坐像(金剛界)」「大日如来坐像(胎蔵界)」

 京都の影響を受けやすくなった時代のようだが、この大日如来は地方仏に感じる。ただ、大きさは出雲大社並みだ!?
 ふと思ったが、京都でも大日如来の金剛界と胎蔵界を両方揃えているのって結構少ない気がする。
 さて、仏像の感想です。
 金剛界式大日如来坐像は良い大日如来に感じた。京都・浄瑠璃寺(奈良・国立博物館に寄贈)を思い出させるバランスの良さと智拳印が良い感じだった。一方、胎蔵界は若干、お金がなかったのか、金剛界式と比べると、落ちた感じがする。

→松江・千手院「不動明王坐像」※写真あり

 寺外では初めてらしい!この仏像展に行きたいと思わせた仏像の1つですね。
 京都・醍醐寺、正寿院に安置されている不動明王坐像に感じた!!右手の剣、左手に羂索を持ち、口の右牙は上で、左牙は下と不動明王様式をきっちり守っており、怖さとやさしさを表現されている。

→松江・金剛寺「馬頭観音坐像」

 おお~馬頭観音坐像だ!!福井の若狭地方も都の荘園で、快慶作の仏像もある場所で、馬頭観音坐像が多いところでもある。日本海側=出雲色から何らかの影響で馬頭観音が作られたのかも。顔はさておき、頭には馬がおり、馬頭印に注目ですね。あとは2本の腕は初期型馬頭観音で立像が多いのだが、ここは2本の腕で坐像で、珍しい様式だと思う。専門家曰く、石川・豊財院と繋がりを指摘する人がいるが、出雲と高志の繋がりですかね。

→安来・清水寺「阿弥陀三尊@重文」

 公式HPに写真がありますね。

 こちらは完全に京都に居そうな三尊ですね。特に脇侍の勢至菩薩と聖観音が、京都・三千院を意識していますよねという大和坐であるが、妻曰く、甘いな!という感想だった。
 中尊の阿弥陀如来坐像は結跏趺坐で来迎形式の阿弥陀で、まさにお迎いに行き、あの世に導いてくれそうなやさしさに感じる阿弥陀である。この仏像は円派の仏師作ではとされ、延暦寺横川中堂の聖観音立像と作風が似ているとの指摘がある。中央仏師なんだろうなというのは納得する。

→安来・清水寺「不動明王坐像」

 どこかコミカルさを感じる不動明王である。千住院「不動明王坐像」と見比べると頭がでかい気がしてしょうがない。牙などはすごく忠実にルールを守っているのだが、ただ、頭がでかいのはかなり近くで、見上げる形で安置するように設計されているのかも。

▽第四章:鎌倉時代 --

→松江:善光寺「善光寺式阿弥陀如来立像」

 ここにきて善光寺式阿弥陀如来立像。この仏像は源頼朝も持念仏ともいわれ、没後に佐々木氏にわたり、出雲に来た時に安置されたと話のようだ。
 

→松江:浄音寺「十一面観音立像@重文」院豪作

 出雲国造が住む近くにある神魂神社近くの寺。パッと見て聖観音立像に感じたのは私だけだろうか。
 特徴は滋賀・石道寺や奈良・法華寺と同じく口元の朱色だろう。どこか女性さが強い仏像に見える。たぶん玉眼だったら、もっと雰囲気が出ていたのかなとも。
 ちなみに作者は墨書より法眼・院豪であり、三十三間堂でも製作している院派仏師である。

→松江:清泰寺「阿弥陀如来立像」院豪作

 快慶の参酌阿弥陀にも通じる良い仏像。作者はこれまた院豪作であるのだが、弟子である院快、院静、院禅とのこと。院快、院静、院禅は滋賀・来迎院の仏像を手掛けているようで、造立時期は近いようなので、京で作られたのかもしれない。

→出雲:十楽寺「阿弥陀如来立像」

 1223年に鎌倉から来た小野高通が地元の十楽寺と同名の寺を建立したのが始まり。玉眼で良いたたずまいの仏像である。

→出雲:上乗寺「千手観音坐像@重文」院豪作

 実は肥後定慶なんじゃないか?と期待していた仏像で、これ目当てで出雲に来たと過言ではない。
 展示会ラストに展示されていたのだが、やはり美しい!!!!見るポイントは1.5mほどの場所からしゃがんでください。目が合うところがベストポイントです。
 2017年に奈良国立博物館で行われた「快慶展」で京都・清水寺の奥の院の秘仏・千手菩薩坐像@坐像が展示されたが、その時と同じくらいインパクトが強く、遠~くから他とは異なるおーラを発していた。

 島根の美仏を作り上げた院豪作だった。


▽最後に

 しかし、出雲の仏像は白毫が特徴なんだろうか?観音のすべてに玉眼よりも白毫重視になっている気がする。
 全体的に、出雲=仏像の印象がなかったので、東京国立博物館、京博、奈良博で行われる仏像展と比較すると展示数は少ないが、観光寺ではないのだろうから、一気に美仏を見られる貴重な仏像展だったかと思う。

▼旅行記

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