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<8>終わりは始まりの入り口~自分のキャリアは終わった・・・と絶望した人のその後~

新たな自分に変わる為のプロセスは、リセット→ジャーニー→スタートの3ステップであると以前のコラム*で書きました。つまり、古い自分を終わらせて(リセット)、終わったは良いけど始まっていない宙ぶらりんの時期に自分探しをして(ジャーニー)、そうこうしていると新たに始まる(スタート)という3ステップが変化のプロセスです。
*参考:新たな自分に変わる秘訣は3つのステップに有り


突如リセットされることもある

新たな自分に変わる為には、まず古くなった自分をリセットすることだと本マガジンのコラムで数回述べてきました。3ステップの1つ目リセットです。
このリセット(終わり)は、自らリセットすることもあれば、突如として外部からリセットされることもあります。解雇、失恋、などなど。

「終わり」とは人が最も恐れていることの1つでしょう。人生の終わり、雇用関係の終わり、大切な人との人間関係の終わり、楽しい時間の終わり、などなど、良いと思っていることや心地よい状態が終わることは、誰も望んでいませんよね。

人は終わりを感じると終わらせたくないと焦ります。これまでに私は人生の節目にある多くの人々にお会いしてきましたが、終わりに直面し混乱している人々も沢山いらっしゃいました。

不況で職を失った外資系投資銀行の男性は「金融の終わりだ。投資銀行ビジネスはもう終わりだ。」といつもの聡明で自信ある態度からは想像できないくらいに取り乱していました。例えその業界が不況になっても、短期間で歴史ある業界が消滅することなどまずないのですが、突然の終わりを上手く受け入れることが出来ず過剰に受け止めてしまうことはよくあります。

また、かつてある友人は恋人との別れに直面して「俺の人生は終わった」と本当に世界が破滅したかのように号泣して悲しんでいました。

終わりをむかえた人々の今

上記のそれぞれの出来事から10年程が経過していますが、投資銀行業界や友人の人生は終わったのでしょうか?

現状を申し上げると、金融も投資銀行ビジネスは終わってはおらず、景気に浮き沈みはありますが、産業に必要な金融機能として重要な役割を担っています。また、失恋した友人は、元気に生きています。

投資銀行業界も、彼の人生も終わってはいません。それどころか、職を失った投資銀行の彼は別の業界の会社に転職をして財務分野の経営幹部として活躍中で活き活きとしています。

失恋した友人は、別の女性と結婚してお子さんと3人で幸せに暮らしています。

強制シャットダウンが未来に繋がった

こうやって二人の人生を俯瞰して見ると、二人に生じた解雇と失恋という2つの終わりは、実は終わりではなくて新たな始まりの入り口であったことが分かります。終わりの後は、しばらく二人とも辛い時期を過ごしたと思いますが、数年後には新しい幸せを手に入れています。

「終わり」は状況や関係が終了するという1つの出来事だというだけではなく、その先に続いていく変化のプロセスの入り口です。

皆さんにも似た経験がるのではないでしょうか?ご自身の人生を振り返って全体を俯瞰して見ると、自分が経験した終わりが(場合によっては辛い終わりが)、その後の新たな始まりにつながっていたということを幾つか見つけることが出来るはずです。

終わりを消化する

もちろん、人生のそれぞれの場面では誰も「終わり」を望んではいません。「終わり」は恐ろしくて避けたいという気持ちが自然です。しかし、望んではいなかった終わりが生じてしまった場合は、その「終わり」を苦しみながらも消化して受け入れることが新たな自分に変わる為の第一歩です。

「終わり」を消化出来ていないと、過去をいつまでも引きずってしまい新たな始まりは訪れず、新しい自分には変われないのです。

具体的に言えば、自分の古い考え方や思い込み、習慣などを維持したままでは新しいものは育ちません。ガーデニングで木の古い枝や葉を取り除いたら、新しい葉が芽吹き始めるのと同じです。

人は「終わり」に向き合い消化する必要があります。自分に起こっている「終わり」を理解し、過去をとらえ直して、古い自分を終わらせるのです。古い自分のリセットです。そのうえで、新たな自分を始めるにはどうしたらよいのか、探索を開始しましょう。

(2023年10月10日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士

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