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外資でリストラされても驚かない為に、転職時に検討すべきポイントとは?

日本では景気が良くて採用も活発ですが、
欧米では見通しが怪しくなってきたかも知れません。
東京でも外資系金融機関ではレイオフをしており、
少し前にはツイッターなど外資IT企業が
大規模な人員削減を行いました。

人材エージェント業務では、私や同僚も、
リストラの対象となった人々に
お会いすることが多くなっています。
今後、日本でも景気悪化や業績悪化があれば、
今までよりも簡単に解雇される時代になるのでしょうか?

米国の経営陣が負っている義務~自社を売却時の例~

外資でもすぐに社員を解雇するのは米国企業です。
株主資本主義の米国では「会社は株主のものであり、
株主の利益を最大化するために経営されるべきである」
と考えられています。

それが良く表れている例を雇用とは別の観点で述べると、
米国企業の経営陣が自社を他社に売却することを決め、
買い取ってくれる会社A社と契約したとします。

この時に別のB社が「うちはもっと高い金額で買うよ!」
とA社との合意後に言ってきたとしたら、
自社を売却することを決めた経営陣はどうすべきと思いますか?
既にA社と合意して契約済みの時ですよ。

答えは、B社の提案を検討しなくてはなりません。
そして、B社の提案内容がA社のそれよりも
高い金額で買収するとの提案であれば、
A社との契約を解除してB社の契約に乗り換えなければなりません。

なぜなら、会社は株主のものである米国では、
身売りをする企業の経営陣は、
自社の株主にとって最も有利な条件、
つまり最も高い価格で自社の売却をすべき義務
(レシプロン義務と言います)を負っているからです。

標準的な日本人の感覚では、極端ですよね。

でも、株主資本主義の米国では、こうなっています。

日本の経営陣が負う義務

一方で、日本ではどうなのでしょうか?

上記の自社を売却する時の例で言えば、
日本では、対象会社の経営陣は、必ずしも
最も高い価格で自社を売却する義務は負っていません。
価格にも配慮しながら、会社にとって最も良い
スポンサーに売却を決めれば良いのです。

なぜなら、日本では、会社法において
取締役は自社の株主に対してではなく、
会社に対して善管注意義務を負っているからです。

私が採用活動で協力をしているPEファンド
(企業に投資する投資ファンド運営会社)の多くも、
投資先企業を次のスポンサーに売却する時、
高い金額だけを優先して売却することは殆どありません。

売却価格を重視しながらも、
投資先企業がこの先も持続的に発展していける会社、
そして、その会社の経営陣や社員にとっても
ハッピーになれるはずの会社を探します。
そうやって会社全体にとって最も良い売却先に
バトンタッチすることを模索しています。

株主のみに責任を負う米国企業の経営陣と、
会社に責任を負う日本企業の経営陣。
経営方針の選択は、だいぶ異なりますよね。

転職したい先の会社はどのタイプか?

最近の人気就職先や転職先の会社には、
外資系コンサルティングファームや、
外資系金融機関が名を連ねています。
これらの外資系とは主に米国系です。

マッキンゼー、BCG、ベインから、
ゴールドマンサックス、JPモルガン、
そして、グーグル、アップル、ツイッターなど、
多くが米国系です。

給料が高く、専門性も身につくし、
会社が業界のリーダーだったりしますので、
若手には人気の企業です。

ただし、上述したように、
米国系企業の経営陣が負っている義務は、
日本企業のそれとは異なります。
多くの日本人の価値観とも違います。

自分が勤める会社のことを考えた時、
経営陣が株主の方だけを向いていたら
自分はどう感じるか?

社風が良さそうに見えても、
業績悪化や景気後退の時、株価が下がった時、
会社を身売りする時などの判断で
社員の為を思って行動することは、良くも悪くも
(建前以外では)ありません。

ですから、外資、特に米系企業を選ぶ場合は、
個人としては会社に期待せず、
主体的に自分のキャリア形成を考えて、
行動していかなくてはなりません。

もし自分が「会社は社員を思いやるべきだ」とか、
「会社は仲間とのコミュニティだ」といった
考え方に親近感を持つならば、
グローバル企業、特に米系企業はカルチャーフィット
しない可能性が高いです。

その場合は、国内企業も考えた方が良いでしょう。
国内企業は何も保守的な大手企業だけを指してはいません。
新しい成長企業なども含めて、です。

企業の根本的な価値観を見極める

ですから、転職でカルチャーフィットを検討する時は、
面接で会った人の印象だけで決めるのではなくて、
その会社の根本的な価値観を見極めることが必須です。

その会社がどんな価値観に基づいて経営されているのか。

これは、単に、経営理念とか、パーパスとかを見て
考えると言う意味だけではありません。
それも大事ではありますが、もっと根本の価値観です。

その会社は誰の利益を追求する為に存在しているのか?
ということです。

株主利益の為だけの組織なのか、
株主だけでなく、顧客や取引先、社員の為の組織なのか。

その会社の根本的な価値観を見極めて、
本質を見抜いた上で働く会社を選択すれば、
入社後にどんなことがあっても
自分のキャリアの判断に納得感を持てると思います。

(2023年7月3日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士

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